『水平思考クイズ』【守れてえらい】②
前回のあらすじ
『男と女は同じ時間に同じものを見ていた。
男はその“もの”の全てを見れたが、女は全てを見ることができなかった。
なぜだろう?』
男は女の目の前にいるか?(質問者:コクマー) → いいえ
男と女は知り合いか?(質問者:獅子王) → いいえ寄りの関係ない
全てを見れないは物体の一部が隠れていた?(質問者:ショコラ) → いいえ
女は視力に問題があった?(質問者:ビナー) → いいえ
視力以外に体の不調はあった?(諮問者:アウル) → いいえ
ものは時間と共に変化していくもの?(質問者:コクマー) → はい
女はそのモノの変化を最後まで見れなかったということ?(質問者:コクマー) → はい
男と女は夫婦で、女は子供の成長を最後まで見られなかった(解答者:獅子王) → 不正解(男と女は知り合いじゃない想定だって言ってるだろ獅子王ッ!)
男と女は同じ場所にいる?(質問者:アウル) → いいえ
男と女が見ていたのは映像?(質問者:ビナー) → はい
映像はテレビ?(質問者;獅子王) → いいえ
映像は映画?(質問者:コウマー) → いいえ
映像はネット配信されているもの(質問者:ショコラ) → はい
男は動画配信者で女はリスナー。男はカット編集前の動画を見れて、女は編集済みの動画しか見れなかった(解答者:ビナー) → 不正解
―—
「同時に見ていたということは。男と女はライブ配信されている映像を見たことですか?」
「その通りショコラちゃん」
娘のビナーの失態をカバーするショコラママ。しかし、それがわかってもまだ完全に特定するにまでは至らない。
「さっきのビナー君の解答、男は動画配信者ということは合っているか?」
「はい。だから、ビナーちゃんは惜しいところまで行ってたんだ」
同期のコクマーが更にカバーする。必要なピースは1つずつ揃っているのだ。
「なるほど。わかったぞ佐治ちゃん! 私がここで決めてやる!」
「ほう。獅子王君。もう答えがわかったのか?」
「配信中に機材のトラブル、もしくは配信サイトのサーバーに異常等がありましたか?」
「ないです」
「ええ……」
格好良く決めようとした獅子王。しかし、シュートの方向性は全然違く、ゴールポストに弾かれてしまった。
トラブルがないとすると、一体なぜ女が男の配信を最後まで見ることができなかったのかという疑問が浮かんでくる。参加者の面々はその疑問を突き止めようと必死に頭を捻った。
「リスナーは女以外にもいるの?」
「関係ないな」
「仮に女以外のリスナーがいたとして、そのリスナーも最後まで映像を見ることはできなかった?」
「はい」
アウルが2連続の質問をして、それを回答をする佐治。アウルはその回答を受けて、自分なりの論理を展開しようと頭の中で、状況を整理して組み立てていく。一方獅子王は……
「はいはい! わかった! 配信は年齢制限がかかってますか?」
「は? そんな問題出すわけないだろ。いい加減にしろ。獅子王」
バッサリ、カットされたエロ本問題をなかったことにする佐治。配信内容に年齢制限がかかってないことはわかった。
「じゃあ、年齢制限以外の制限……この先はメンバー限定とか有料会員限定とかありますか?」
「いいえ」
女はメンバーや有料会員じゃないから、続きを見れなかった。状況としてはありえることだ。しかし、それも否定された。
「男が配信したものは、なにかの予告編だったりするか?」
「いいねえ。コクマー君。その答えは、いいえだ」
答えが違う癖になぜかコクマーを褒めた佐治。佐治は何かをコクマーに伝えようとして、あえて褒めたのだ。そのことに周囲の人間が気づけるかどうかがこの問題を解く鍵になってくる。
「男が配信した動画の内容が重要ってことですか?」
「はい。流石ショコラちゃん。獅子王とは違うな」
「おいこら。上げる時に他を下げるんじゃない!」
佐治の流れるような獅子王ディスに獅子王がツッコミを入れる。ショコラはそれに対して苦笑いをするのであった。
「配信の内容はゲーム実況かな?」
「はい! いい質問ですねえ!」
アウルの質問でかなり確信に迫った。謎が解明される時は近い。
「よし、ここまで来たら後は私が決めてやる!」
「お、獅子王君。今度こそ行けるか? 必要な要素はほとんど出てるぞ」
獅子王に今度こそ決めて欲しいと期待の眼差しを送る佐治。
「男はゲーム実況者で今はライブ配信をしている最中だ」
「ほうほう」
「女はゲーム実況が大好きなリスナーで、男とは別の配信者の動画を見ていた」
「ん?」
「男はゲームをクリアしてゲームの全てを見ることができたけれど、女が見ていた配信者はゲームがドヘタクソすぎてゲームをクリアできなかった。だから、女はゲームを最後まで見ることができなかったのだ」
獅子王のアバターがドヤ顔を披露する。しかし、佐治のアバターは苦い顔をするだけだった。
「同じ時間に同じモノを見ていたと言っただろ」
「たまたま同じ時間に同じゲームを配信していた。つまり、題材は同じモノだ!」
「ああ。そう解釈したのか。違います。獅子王君は2回間違えたので解答する権利を失います」
「そんなルールあるのか!? ペナルティ重くないか?」
たった今作られた新設ルールで苦しめられる獅子王。だが、獅子王のこぼれ球を拾った1人のバ美肉サキュバスがいた。
「私、解答行ってもいいですか?」
「どうぞ」
「男は自分がプレイしているゲーム画面を配信していた。女は男のリスナーでそれを同時に見ていた。男がゲームを進めていく内に、ゲーム会社から定められた配信可能区域までクリアしてしまった。男はこれ以上、ゲームを配信することはできないけれど、ゲームをプレイすることはできるから、ゲームの全て……エンディングまで見ることができた。けれど、実況者のゲームを見ていただけの女は、自力でプレイしてないので最後まで見ることができなかった。これでどうですか?」
「ショコラちゃん……正に完璧な答えだ! おめでとう! 正解だ」
「やったー! ありがとうございます! 獅子王さんのエンディングまで見れなかったという誤答で導き出せました」
ショコラは正に直近で、この規約の問題に直面していたのだ。それも相まってかこの問題の正解がわかったのだ。
「それでは真相を発表する」
『男はゲーム実況者で女はそのリスナー。
生放送でゲーム実況配信していた男は、ゲームをクリアしてエンディングを迎えた。
しかし、メーカー側の規約でエンディングを配信で流してはいけないと定められていた。
男は規約を守り、エンディングの区間は配信を切って1人でゲーム画面を見ていたが、リスナーの女は配信が途切れたことでゲームの終わりを見ることができなかった。』
「ああ、守れてえらいは規約のことか。なるほどな」
コクマーはタイトルの伏線に気づいた。しかし、問題が終わった後で気づいても最早、後の祭り。何の成果にもならない。
「解いてくれてありがとうショコラちゃん。キミは中々にこのゲームに向いているね」
「そうですか。えへへ。ありがとうございます。佐治さんも問題ありがとうございました」
「ビナーちゃんも中々に筋が良い」
「ありがとうございます。また機会があれば呼んでくださいね」
「なあ、佐治ちゃん。私は?」
「あー……うん。がんばれ」
謎の応援をされる獅子王。こうして、水平思考クイズは終わりを迎えた。ゲストの全体を通して、ゲストのショコラとビナーがそこそこに活躍できたのは幸いと言ったところだ。
どうでもよくないことだけれど、三人称視点は思考の過程をダイレクトに書き辛いので水平思考クイズをやるのは向いてないと思いました(半ギレ)
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