CLOSED PANDEMIC編 後語り

 暗い一室にて、ショコラがピコピコとゲームをしていた。画面から発せられる唯一の光源がサキュバスの顔を青白く照らす。


「あ、おはようございます。CLOSED PANDEMIC編はいかがでしたか? 私は、このどう足掻いてもハッピーエンドに辿り着けないのが、ホラーゲーム感があって好きですね。作者の下垣からコメントが来ているのでそちらをセサミに読み上げさせます」


 最早、ゲームをやりたいがためにセサミを使うショコラ。メイドの仕事どころか、ストーリーテラーの仕事まで放棄している。


「では、読み上げるゲス」


『今回の【CLOSED PANDEMIC】は、元ネタとか何にもないゲームの設定を1から創り上げたものです。女子更衣室がどうとか、牛の乳搾りとかも、設定する際には元ネタとかそういうの意識してませんが、あんまりストーリー性がないので同列には扱えないですね。


 そういう意味では、ストーリーも最初から練れて楽しかったです。K-UMAの生態だとかウイルスの特性。ハゲのニコラスと毛が生えなくなる変異株だとか、そういう要素を複雑に絡み合わせて1つのストーリー展開を構築できた時は、ガチっと歯車が嵌った感じがして気持ち良かったです。


 今後もこうした、オリジナルのゲームみたいなものを設定して、ショコラか他のVtuberにやらせてみたいですね。既に企画として決定しているのは、【乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生したと思ったら、漢女ゲームでした】との自作コラボです。これもゲームの世界に主人公が転生するという設定なので、その元となったゲームをショコラがプレイするという流れに自然に持っていけるから採用しました。個別の攻略キャラのルートを番外編で消化すれば、番外編のネタもしばらく尽きることはないと思います。俗にいう尺稼ぎも容易ですね。


 次に候補として上がるのは対戦型のカードゲームとか重厚なストーリーのRPGを考えています。私は小説を書く前までは、ゲーム会社に勤務していた経歴を持っているので、どちらかと言うとゲームシナリオの方が向いているのかなと自分では勝手に思っております。RPGもこんなシステムがあったら楽しそうとか、やってみたいとか思わせられるような設定も色々と考えたいですね。カードゲームの方は門外漢ですので、システムやゲームバランスに粗があるかもしれませんが……気にしないで頂けると幸いです。


 八城の作った交配ブリーダーもいつかきちんとした形で実装したいですね。現状では大まかなルールが決まっただけで、具体的に初手が何枚だとかそういったバランスの部分が手つかずなので、そこもハッキリ決めたいところです。


 一時期、隔日投稿だったのが最近は毎日投稿に切り替わっているのも、こうしたやりたいことが多すぎて執筆のモチベーションが上がっているお陰です。番外編があるお陰で、本編では尺が長すぎてできないことも、できるようになったので、それもモチベが上がる一因だと思ってます。前までは尺やテンポの都合で諦めなければならなかったこととかもありましたので、それが解消されたのは大きいです。


 ここまでお読みいただきありがとうございました。それでは、引き続き番外編をお楽しみください。 下垣』


「読み終わったゲス」


「はい、ありがとうございました」


 流石にゲームをやめて、画面に顔を向けるショコラ。


「CLOSED PANDEMICは一旦終了しましたが、ここで大切なお知らせがあります。12月1日。これが何の日か知ってますか? カクコンの開催日ですね。私にはカクコンがなんのことかわかりませんが、下垣がいる世界のイベントのようなものだときいています。それに合わせてホラー小説が連載開始されることが決まったそうです」


 ショコラがパチパチと拍手をして、拍手ができないセサミは代わりに尻尾を振った。


「なぜ、このタイミングなのかと言いますと……CLOSED PANDEMICの前日譚が小説として描かれるからです。まだウイルスが蔓延される前の80年前、ベイカー医師やマクシミリアンの視点から描かれるもう1つの真実の物語ですね。よろしければ、そちらもお読み頂けると幸いです」


「どんだけこの設定を引っ張るんでゲス」


「セサミ。世の中には大人の事情というものがあります。あまりそこに触れてはいけませんよ」


「アッハイ」


「タイトルは、【死を遠ざける病とハンナ・ベイカー医師の研究記録】です。オリジナルのCLOSED PANDEMICを知っている人でも、初見の人にでも楽しめる内容にすると下垣が言ってましたので、ご期待ください」


 ショコラがお辞儀をする。それに続けてセサミもお辞儀をした。


「それでは、そろそろお時間ですのでここでお開きにしますね。それでは、また会いましょう」

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