ショコラとセサミのエピソード語り

「お父様と私。それとセサミの番外編ストーリーはいかがでしたか? 私の感想としては……お父様は中学生時代から相変わらず、鈍感というか失礼というか合わせて朴念仁ですね。平行世界のどこかには、お父様が賀藤家の兄弟の中で最初に恋人を作っていた世界線もあるのでしょうか?」


 ショコラは頭に手を当てて心底呆れた顔をしている。例の女子生徒のお陰で、琥珀は本格的にCGクリエイターの道を目指すようになったのだ。つまるところ、あの出会いがなければショコラとセサミはこの世に誕生していない。


 例の女子生徒は琥珀とは違う高校に進学したので、よほど因果が狂わない限りは本編のストーリーには関わって来ない。ヒロインではなかったキャラをヒロインに昇格させたり、モブキャラのメガネに名前という名の素質を与えたり、因果を狂わせる。人はそれを、応援コメントや人気投票と呼ぶ。


「セサミですが、見事なゲスでしたね。一緒に暮らしている私にはわかっていたことですが、観測しているみな様にとっては、衝撃的なことだったと思います。中身はゲスな犬なのに、見た目は清純派ぶっているので妙な人気があるんですよね。まあ、Vtuber的には清楚がやべえ奴っていうのは人気が出る要素でもあるので、今後のセサミの人気が気になります」


「なに言ってるんでゲス? セサミのセピソードは独居老人の心を癒す素敵なエピソードしかなかったゲス!」


「あーはいはい、そうですね。あなたが思うならそうなんでしょう。私はツッコミを入れませんよ?」


 突如、視界に入ってきたセサミを軽くあしらうショコラ。ゲス畜生の扱いとしては、これくらいで丁度いいのだ。


「コンピュータお婆様も、中々に濃い立ち位置ですが、まだ名前が公表されてないモブキャラなんですよね。重要キャラになるポテンシャルを秘めてますが、いかんせんまだ本編に未登場です。いずれ、本編で重要な役割が与えられたら名前が付けられるかもしれませんね」


「セサミ関連のエピソードが追加される可能性が高いから、彼女には活躍して欲しいでゲス。ゲスゲス」


 ゲスな笑いをするセサミ。この姿は、コンピュータお婆様に見せられないと思うショコラなのであった。


「さて、2位と3位の人気投票エピソードが追加されたので、続いて4位以降のエピソードを……と言いたいところですが、また例のホラーゲームが間に挟まります」


「Vtuberやゲーム実況者は、1つのシリーズを完結させる前に別のシリーズや単発動画を合間に入れる習性があるのはなんでゲスかね」


「その方が全体の伸びが良くなるからじゃないですかね? 集中して投稿するとそのシリーズが一気に終わっちゃいますし、投稿者側としても人気のシリーズは少しでも長い期間継続させたいんじゃないんですかね? 知りませんけど」


「まあ、毎日動画を見れる層もそんなに多くないゲス。数日見れない期間があった時に、見ていたシリーズが追い付けない程投稿されていたら、見る気をなくすというのもあるかもしれないゲス」


「多くの人が、そういうことをしているので戦略上は間違ってないかもしれませんね。小説でそれが是かどうかは未知数ですが……そんな話は置いておいて、次回は

CLOSED PANDEMIC編のチャプター4です。病院の地下室に乗り込んだ主人公のアンバーとニコラス。ウイルスや熊の謎に迫るのでしょうか?」


「ゲスな主人公共がどうなろうと、オイラには知ったことじゃないゲス」


「あなたがそれを言うんですか……それでは、みな様。またお会いしましょう。では、失礼いたします」


 ショコラがふっと霧のように消えた。それに合わせてセサミも、とぼとぼと観測者の視界の外から歩いて出て行った。

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