CLOSED PANDEMIC編 チャプター3終了語り

「ショコラです。チャプター3が終了しましたね。このチャプターでは主人公の正体が明らかになり、物語が一気に激動しました。果たしてこの物語の行く末はどうなるのでしょうか」


 暗闇の中、ショコラはランタンの火を消した。一瞬、視界が暗くなるがすぐに照明がついて明るくなった。


「主人公も相当な悪いやつでしたね。私もサキュバスで、古来より人々を惑わす邪悪な存在として扱われてきました。つまり、私は悪寄りな存在なんですね。なので、共感は……できませんね。現世では、サキュバスは一部界隈では受け入れられてますし、そこではもう大人気ですからね。サキュバスが絶対悪という時代は終わったのです。あはは」


 ショコラはハート型の尻尾を振って上機嫌な素振りを見せる。性に寛容になった現代日本では、サキュバスの存在はそこまで忌避されていない。不遇の時代を抜けた世で生まれる。正に人生イージーモードなのだ。


「ゲームの着地点も気になりますけど、私としてはお師匠様と政井様の関係性も気になるところですね。政井様もお父様を好いていれば、もっとバチバチにやりあう展開があったのでしょうか。それとも、政井様は実は胸に秘めた思いを隠していて……なんて、妄想も止まりませんね」


 まるで乙女のように頬に両手を当ててワーキャー叫ぶショコラ。たまたま近くを通りかかったセサミは珍獣を見るような目でショコラを見ていた。


「それにしても、相変わらずお父様は鈍いというか……呆れますね。このままでは、3Dモデル以外の子供を作れそうもありませんね」


 ショコラが頭に手を当ててため息をついた。娘ながらに父親のことを少しは心配している。


「さて、CLOSED PANDEMIC編は一旦置いておいて、次のエピソードは……お待たせしました。人気投票特典のエピソードです。2位のお父様と3位のそこの犬のエピソードをやります」


 話を振られたことに気づいたセサミは嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねた。


「セサミ。待って下さい。先に2位のお父様をやるので、3位の負け犬は、その後です」


 セサミはしょぼくれた表情でお座りの姿勢を取った。その哀愁漂う姿にショコラも流石に言いすぎたと後悔するのであった。


「セサミごめんなさい。そこまで落ち込むとは思ってませんでした。大丈夫ですよ。きっとセサミには素晴らしいエピソードがあるはずです。わかってますよね?」


 ショコラが撒いた種をなぜか上を向いて何者かに圧をかけることでなんとかしようとするサキュバスメイド。この世界を構成する超常的ななにかを認知しているのだ。


「それでは、みな様。また夜の夢の中でお会いしましょう。ふふふ、あまり淫らなことを考えてはいけませんよ。サキュバスに襲われたくなければ……の話ですけどね」

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