人気投票上位キャラ特典

第1回人気投票結果発表

 ショコラブの民ならば見慣れたお屋敷の中庭。そこにある白いテーブルと椅子に座り、紅茶を優雅に飲むサキュバスメイドが1人。彼女は、観測されていることに気づくと、観測者に向けて視線を合わせる。


「あら。おはようございます。今日もいらしてくれたのですね。ありがとうございます」


 ティーカップをソーサーの上に置き、椅子から立ち上がるショコラ。


「本日、いらしてくれたということは……人気投票の入賞特典をご覧になりたい。ということでしょうか? いいですよ。では、まずこの場を借りて人気投票の結果を発表しましょうか。ここで発表するのは、上位10位までです。それ以降の順位を知りたい方は、近況ノートにありますのでそちらも参照して頂けると幸いです」


 ショコラが指パッチンをすると彼女の手元に革製の表紙の本が現れた。人間の言葉ではない文字が書かれた本をパラパラとめくるショコラ。


「えーと……あ、ありました。それでは順位を発表しますね。1位は……言う必要ありますかね? コメント欄を覗いているみな様なら、既に予測はついているのではないでしょうか。でも、一応形式なので発表しますね。コホン……第1回人気投票。第1位は……里瀬 操様です。おめでとうございます」


 ショコラが拍手をする。そんな彼女の足元に3つの首を持つ黒い犬が無言でやってきて、口に咥えていたクラッカーをパンと爆発させた。


「あら、セサミありがとう。第2位は……お父様である琥珀様と彼が演じる方のショコラ。それが2位になりました。演者単位で集計されるのでこのような結果になったわけですね。私もガワは入賞できて嬉しいです」


 その結果に不服だったのか、セサミはショコラに向かってそっぽを向いてしまった。


「あらら。セサミも第3位で健闘したじゃないですか。私に負けたのがそんなにショックですか? 多重投票を集計していればセサミが勝っていたので本当にいい勝負でした」


 自分の順位が呼ばれたことで、セサミは人気投票に興味をなくしたのか、とぼとぼと画面外に掃けていった。実に畜生らしい行動である。


「続けて一気に発表しますね。4位、椿 勇海様。お父様のご友人ですね。不遇の時代を耐えてようやく陽の目の浴びたお方です。5位、賀藤 真鈴様。6位、賀藤 大亜様。7位、賀藤 真珠様。お父様のご兄弟方集中していますね。兄弟仲が良いんでしょうか。くすくす」


 ある種、奇跡のような並びにショコラが笑みを浮かべる。


「続いて8位、里瀬 匠様。お父様のお師匠様のお兄様ですね。CGクリエイターとしての実力は妹の操様と同等以上と言われています。社長業もこなせる万能な社会人戦士ですね。9位、八城 辰樹様。大亜様の大学時代のご友人にして、サークルを立ち上げて会社設立を目指すバイタリティ溢れる人物です。お父様にお仕事を依頼したこともありましたね。あそこでお父様が引き受けていたら、それはそれで大きく運命は変わっていたでしょう」


 実際に社長として成功している者と社長を目指している者。それが並び立つ結果となった。


「続いて10位は2人いますね。まずは政井 夏帆様。お父様の女友達です。一般的なラブコメ小説ならヒロインレースに参加できる立ち位置だと思いますが、お師匠様が壮絶なフライングスタートをした結果、絶対に追いつけない程引き離されてしまいましたね。もう1人は、賀藤 彩斗様。お父様のお父様。私にとってはお爺様になるのでしょうか。賀藤家の才能のある子供たちのルーツになっている人物です。彼とその奥様の千鶴様がいなかったら、この物語は始まってすらいなかったと思います」


 10位までの発表を終えたショコラ。そして、本を更にパラパラとめくる。


「以上、ご紹介した11名が人気投票の特典を受け取ることができます。それは、主役の新規ストーリーです。と言っても流石に10位の方々と1位のお師匠様が同じ扱いというのも、圧倒的大差をつけて勝利したお師匠様にとっては不服でしょう。ですので、お師匠様は特典ストーリーを3話。お父様と犬は2話ずつ。4位~10位タイの8名の方は1話ずつ書き下ろしをすることに決定しました。作者である下垣にはその分負担がかかりますが、書かせます。私にはそれが出来ますからね。なぜなら、サキュバスですから。ふふふ」


 計13話の番外編を書くことが急遽決定したのだ。どうしたこうなった。


「ああ、それと人気投票では、結果は振るわなかったけど、大きなハンデを持ちながら票を獲得した2名には特別賞があります。その2名とは、素質メガネ様とモニカ・アルスター様ですね。名前がないながら、票を頂けたメガネ様は、本編で名前を与えられて、無事にモブキャラを卒業できました。同作者の他作品キャラながら1位の票を頂けたモニカ様は、なんらかの形でゲスト出演することでしょう」


 まさかの特別賞を与えらえた2名にショコラが拍手を送った。


「今回の特別賞は本当に、と・く・べ・つ。ですので、第2回で似たようなことが発生した場合に同様の賞が与えられる保証はございません。あしからず。記念すべき第1回だから起きた奇跡だと思って、2回目からは過度な期待をしないで下さいね」


 ショコラが観測者に向けてウインクをする。サキュバスのウインクは万病に効く。魔界の本にそう書いてある。


「それでは、次のエピソードからは、1位のお師匠様の特別ストーリーをお届けします。お師匠様ファンの方はそのままお待ちください。それでは、みな様。またお会いしましょう」



おまけ

第1回人気投票結果の近況ノートリンク

https://kakuyomu.jp/users/vasita/news/16816700427402142656


モニカ・アルスター出演作品

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895824621

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