第18話 ホワイトデーです…

「…死ぬぅ」

なんでこんな過酷な任務を連日で行かなきゃならんのよ。

「大丈夫?ユリア」

「あのねカレン、大丈夫だったらこんなスライムみたいに溶けてないわよ」

「そういえば明日ホワイトデーじゃない?」

「そうだっけ」

「携帯確認したら?」

そう言われて確認したら…

「…明日って任務あった?」

「無いわよ」

「…」

よし、休みっと。

「ほほ〜う、さては剛君からデートのお誘い〜?」

「…」

「見せてほしいなぁ〜」

「断る」

「もう〜ユリアちゃんはツンデレなんだから」

「やめろ」

「まぁ、冗談はさておき」

何故かカレンが真剣な表情に…

「服…あるの?」

「…」

「あ・る・の?」

「…無い」

「よし、今から買いに行くわよ」

「え、今から?」

「善は急げって言うでしょ?」

早速私は車に乗せられショッピングモールへ連行された…そういえばまだお昼食べてなかった。





ショッピングモール、某服屋にて

「う〜ん、これなんてどう?」

「…なんでもいい」

「う〜ん、あんまりしっくりこないわね」

「…」

早くしてくれ…

「あ、これなんてどうよ!」

「な!?」

白ワンピースだと!?私に似合うはずがない!

「お〜、いつもとは違って清楚に見えるわ〜」

「…拷問か?」

恥ずかしいったらありゃしない。

「そんなに嫌?」

「嫌」

「う〜ん、あ」

「これ良さげじゃない?」

カレンが持ってきたのは…これまた白だがシャツだ、しかしジーンズも一緒に持ってきた。

「…」

「うん、これはこれで似合ってるわ」

「…なぁカレン」

「なに?」

「言い忘れてたが、デートで行く場所はあのお洒落で有名なレストランだそうだ」

「…それを先に言いなさいよ!」

それからはカレンがドレスアップしてくれた…あの白シャツとジーンズ…買っておこう。








ホワイトデー当日

「…緊張するな」

先日カレンに見繕ってもらった服で待っている…が。

「お姉さん1人?俺らとお茶しない?」

これで3人目だ。

「いえ、待ちあわせしてるので」

「いいじゃんちょっとだけ〜」

「…せろ」

「ヒッ…」

ったくこうもナンパされると殺気立って仕方ない…まぁ待ちあわせより十分早く来てしまった私のミスなのだが…

「あ、ユリアさん」

「あ、剛…君」

…これは…なんというか凄い…

「どうかしましたか?」

「いや…似合ってる…」

…あー、駄目だ…心臓が破裂する…まさかカジュアルな服装で…極めつけにオールバックとは…殺しに来てるな。

「…」

「ユ、ユリアさん?」

「はひ」

「大丈夫ですか?」

「あ、あぁ」

「ユリアさん、素敵な衣装ですね」

「あ、ありがとう」

カレン…グッジョブ!脳内でカレンが親指をサムズアップしているのが見えた。

「さて、ここです」

「…噂以上だな」

お洒落すぎるのでは?

「いらっしゃいませ、お、剛君」

「こんばんわ長門さん」

え?なんで普通に会話できるんだ?

「そちらが彼女さんかい?」

「はい、ユリアさんです」

「あ、こんばんわユリアです」

「ユリアさん、こちらは長門さん、この店の店主さん」

「…」

マジか…しかもさっき普通に喋ってたよな?

「ふむふむ、では2名様ご案内〜」

私たちは店主の長門さんに連れられ最上階のテーブルに案内された。

「さて、ユリアさん何頼みます?」

「…正直に言っていいか?」

「はい」

「…何が何だかわからない」

何なんだこれは、メニューなんだろうがまるで魔法だ…訳がわからん。

「そうですね、僕はこれがオススメですよ」

「…ならそれにしよう」

「わかりました」

剛君は呼び出しベルを鳴らす…様になってるな…

「注文は決まったかい?」

「はい」

剛君は淡々と注文して行く…凄いな。

「ご注文は以上かい?」

「はい」

「それじゃあ少々お待ちを」

そういって長門さんは去っていった。

「ユリアさん、仕事は順調ですか?」

「まぁ、ぼちぼちってとこかな」

「それは良かったです…怪我は?」

「もう完治した…そういう君はどうだ?順調か?」

「はい、上司や主任には負けてられません!」

「そうか、あまり無理はするな人間体が大事なんだ」

「はい、ユリアさんもしっかり休んでくださいね?」

「もちろんだ…だが最近かなりハードな依頼が多くて休んでも疲れがとれなかった」

「そうなんですか」

「あぁだからこのホワイトデーのお返しは疲労回復になってるよ」

「それは良かったです」

「…それにしても以外だった、君がオールバックとは」

「あ〜、これは主任に言われて」

「とてもカッコいいと思う」

「そうですか?」

「あぁ」

危うく心臓発作を起こすかと思うくらいには。

「お待たせしました」

注文したものが届いた。

「さて、剛君」

「はい?」

「これを」

長門さんは剛君に何か小さな箱を渡していった。

「何だ?それは」

「これは…宝石?」

「それと紙だな」

宝石の下に紙が入っていた。

「どれどれ…」

剛君はまじまじと見るが…

「…読めない」

「どれどれ…」

この宝石は君がユリアさんと結婚する際に指輪として使うと良い… とドイツ語で書かれていた、何でドイツ語?

「…だそうだ」

「…なるほど」

「…結婚か」

「…冷めないうちに食べましょう」

「そうだな」

私たちは料理を楽しんだ。



「ふ〜美味しかった」

「お気に召したかい?ユリアさん?」

「あぁ、とても美味しかったです」

「そりゃあ良かった、今度は結婚式で待ってるぜ剛君、招待してくれよ?」

「もちろんですよ」

ホワイトデーの3倍返しは未来にも及びそうだ…

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