第15.5話 Mission バレンタインチョコを作成せよ

今私はとても困っている。

「…ねぇユリア市販のものじゃ駄目なの?」

「やはり定番の手作りに限るだろ」

「…料理経験は?」

「…お手軽系のみ」

「…」

「教えてくださいカレンさん」

「カレン先生にお任せ!」

「ちょろ…」

「ん?」

「いやなんでもないです」

「まずチョコを…」

現在2月13日バレンタインデーの前日である。

私は佐々木 剛という男に手作りチョコを作るためにカレンを呼び出し指導してもらってる。

…察しの通り私は料理経験はないに等しい、そのため料理人クラスの腕を持つカレンに指導してもらってる。

「…あとはお好みにラッピングして終わり」

「ありがとうカレン」

「どういたしまして、それで付き合ってるの?」

「ん?」

「剛君と」

「…まだだが」

「あっ、ふーん(察し)」

「とりあえず今日はありがとう」

「どういたしまして、それじゃあ私は帰るわねぇ〜」

「あぁ、気をつけて」




組織本部にて

「ようジュリア」

「あらローズ、どうしたの?」

「報告書を提出しにきた」

「ありがと…う?何この数…」

「何って、お前が俺に任せた仕事の報告書だが?」

「でもこんな数って…」

「23件」

「?」

「一週間でこなした依頼だ」

「…」

「全部」

「…ナンノコトダカワカンナイデスネ〜」

「…あ〜あこのままだとユリアにジュリアの黒歴史を送る羽目になるなぁ〜」

「…ち、ちなみその黒歴史とは?」

「ターゲット偵察中にドーナツ屋に食いつくジュリアの写真」

「やめてください死んでしまいます」

「なら早く仕事をしろ」

「…カレン呼ぼ」

「カレンは休日だぞ」

「…ローズ〜お願い〜」

「貸し1つな」

「やったぁ〜」




自宅にて

「…むむむこれで良いのか?」

私はラッピング作業に勤しんでいた。

「これで…」

…ハートは露骨か?

「ならばこれで…」

…シンプルすぎる。

「これならば!」

…こ、これだ!派手すぎず丁度いいデザインとカラー、我ながら完璧だ。

「ただいま〜」

「あ、お帰り姉さん」

「あら?台所がえらく散らかってるわね」

「すぐに片付ける」

「なら片付けが終わったら言ってね?」

「あぁ」

さてと片付けを…

「…」



「終わったぞ姉さん」

「お疲れ様、さてじゃあユリア」

「ん?」

「このチョコレートは誰に?」

「これは…その…」

「…」

「カ、カレンにあげようと思って…」

「…ふ〜ん?」

「な、何?」

「い〜や別に〜」

「…」

「さてと」

そう言うと姉さんは携帯電話を取り出し。

「ローズ、寂しい」

『は?』

「スピーカでてるぞ姉さん」

「…ユリア、お姉ちゃん寂しい」

「『は?』」

「何を言って…」

「なんで、お姉ちゃんに報告しないの!?」

「何がだ!」

「だって!ユリアに彼氏が出来てるなんて知らないし!しかもローズには言ってるのにお姉ちゃんには言ってないじゃない!」

「めんどくさい!」

『…なぁ今仕事中なんだが…』

すると携帯から発砲音が聞こえてきた。

「ローズ〜…」

『危うく外すとこだったぞ』

「でも〜…」

「師匠に迷惑だろ」

『妹の方がしっかりしてるな、それに比べて姉の方は…』

「あ?」

「ひえ…」

『なんでもねぇよ』

「へぇ…そう」

怖っ。

『…まだ仕事あるし切るぞ』

「…」

姉さんは無言のまま通話を終了した。

「…はぁ、相変わらずね…ローズは」

「…」

「それで?明日渡すの?」

「…まぁ、うん」

「なら、はいこれ」

「なんだこれは?」

渡されたのはカードだった。

「カードキーよ、とある会社のね」

「なんでこれを私に?」

「一応預けとこうと思って」

「?」

後に私はこのカードキーに感謝することとなる。



とある居酒屋にて

「ちょっと〜しゅん君〜」

「なんだい?カレン」

「実はさぁ〜ユリアがさぁ〜」

「ほうユリアさんが?」

「いつの間にか彼氏作ってた〜 」

「ほほう」

「私より先に〜」

「ははは〜行き遅れたねぇ〜」

「叩くわよ?」

「怖い怖い(棒)」

「…」

カレンは一瞬殺そうかと思ったのだった。

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