第15話 初めての恋と書いて初恋と読む。
『ユリア…許してね、こんな
許さないわけない…
『ユリア…すまない、こんな
なぜ謝る必要がある…
『ユリア、貴女は自由に生きなさい、
…姉さん?
「…夢か…変な夢だ」
目覚めると知らない天井、おそらくどこかの病院なのだろう。
『ふざけないで!!』
隣から怒鳴り声が聞こえる、この声は姉さん?
『貴方がもっと早く助けに行けば!!』
何の話だ?
『ユリアは傷つかないで済んだのに!』
相手は誰だ?
『あいつが選んだ道だ』
この声は…師匠?
『私は!!あの子には!!この道に入って欲しく無かった!!』
『いつまでも甘やかせないだろ』
『お前はいつも!!』
初めてだ、姉さんが口調を変えて怒鳴るのを聞くのは。
「…止めに行ったほうが良さそうだな」
扉を開けると。
「ユリア…」
「姉さん何があった」
「…大丈夫かユリア」
「はい、師匠」
「…ローズ」
「なんだ」
次の瞬間姉さんは師匠にビンタした。
「貴方は変わらない、出会った時から、何時も周りを見て、冷静沈着で…優しくて…」
「…姉さん?」
「…大丈夫、落ち着いた」
「…ジュリアすまなかった」
「大丈夫よ、私も怒りすぎたわ」
ほっ、と胸を撫で下ろす、もし二人が本気で喧嘩したら私では止められない。
「ユリアはまだ入院よ」
「え?」
「あぁ、まだ傷が癒えてないだろ」
「…はい」
「「安静にしなさい」」
「……はい」
なんだろう、この怒られてる感。
「…暇だ」
そう、私は暇なのである。本も読み尽くし、TVも飽きた。
「贅沢なのだろうか…」
「贅沢だね〜、はいフルーツ」
「あぁ、すまない」
「気にしなーい気にしなーい」
優しいなカレンは………ん?…カレン?
「お前いつから!?」
「さっきから?」
「気づかなかったぞ!」
「そりゃあ気配消してたし」
「なんで!?」
「サプライズだから」
「は?」
「サ、サプラ~イズ?」
病室のドアを開ける男が一人。誰だ。
「な!?」
「お久しぶりですユリアさん」
佐々木 剛さんだった。
「なぜここに?」
「カレンさんにサプライズしようって言われて」
「おい、カレン」
「それじゃごゆっくり〜 」
「おい!待て!」
「待てと言って待つ悪役がどこに居るのかしらねぇ〜」
そそくさと出ていった。
「大丈夫ですか?ユリアさん」
「…肋骨が数本折れてただけだから大したことはない」
「いや大した怪我ですよ?」
「そのうち治る」
「凄まじい治癒能力ですね」
「それよりもどうして君がここに」
「さっき行った通りカレンさんに言われて」
「わざわざ来たと」
「はい、なぜか知りませんが居ても立っても居られなくて」
「…そう」
お人好しだ…こんな手を血に染めた血なまぐさい女に温情をかけるなんざ。いい
「さぁ、もう帰るといい、あまり医者に動くなと言われてるから」
「…わかりました、お大事にユリアさん」
「ありがとう」
私は布団を頭まで被り。
…………ふぁあ!?………なんだよ急に!?なんでお見舞いに来るんだよぉ!?心臓止まるかと思った!
のたうち回った。
「…反則だぁ、あんなの惚れない訳がない」
「そうよねぇ、彼なかなか良い男よねぇ?」
「…どうしよう」
「ふふ、大福みたい、可愛〜」
「笑うなカレン…」
「だってぇ?激レアなユリアちゃんの悶絶シーンを笑わない訳ないじゃない」
「…というかなんでいるんだ!?」
「それはナイショ」
「プライバシーのプの字もないな」
「さてと、私はこれで帰るわねぇ〜」
「おいこら」
「じゃあねぇ〜」
出ていってしまった…
数ヶ月が経った。
「あらユリアは復帰したの?」
「あぁ、もう俺の指導は必要なさそうだ」
「悲しそうね」
「まぁな」
「ジュリアちゃんのハグはいかが?」
「やめとく、ハグ(攻撃)で脊椎を折られたら仕事が出来ん」
「ざんねん」
「…もしユリアに彼氏が出来たらどうする?」
「…なによ突然」
「どうする?」
「…そうね、とりあえず三者面談ね」
「ほう、それでユリアにお似合いだったら?」
「一対一で面談」
「お〜怖ぇ」
「冗談よ、ユリアが決めたならそれでいいわ」
「…そうか」
「あの子には自由に生きて欲しいもの」
「…なら彼氏が出きたって報告をしても大丈夫だな?」
「えぇ、大丈夫…は?」
「今朝なユリアが『彼氏が出来ました』って報告が来た」
「…なんでもっと早く言わないのよ!?」
「お前が突撃ユリアの彼氏さんすると思ったからだが?」
「うぐ、否めない」
「まぁ、そうとうデレデレしてるみたいだから邪魔すんなよ?」
「…むむむ、羨ましい…妬ましい…」
「妹に嫉妬すんな」
「だってぇ、先越されたんだもん!あ〜!もう!ローズ今日は飲み会よ!」
「はいはい、わかりましたよBOSS」
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