第13話 共同任務 中編
「さて着いたぞ」
私たちは予定と少し遅れて会議場へたどり着いた。
「ここに大統領が…」
「そ、だけど守るだけだからね?」
「ユリア?間違えても殺っちゃったらダメよ?」
「馬鹿にしてるのか?」
「「ソンナコトナイヨ」」
心から思っていないな…これが組織のBOSSとして良いのだろうか?
「早く行くぞ、ただでさえ遅刻してんだ」
「了解」
「さて、カレンと私は外で見張りをするわ」
「と言うことだからカレンとローズは中をよろしくね」
ここで一旦二人と別れ、師匠と共に大統領の警護にあたる。
「ユリアどうだ?最近は」
「順調ですよ」
「そうか、だが油断はするなよ」
「もちろんです」
「慣れてきた頃が一番危険だ、それで何人も死んだ奴らを見てきた」
「任務失敗で死亡…ですか」
「そうだな、反撃を食らって死ぬ奴もいたし、事故で死んだ奴もいた」
「…私も気をつけます」
「あぁそうするといい」
そんな他愛のない会話をしてると。
「…ユリア、いつでも撃てるように準備しろ」
「なぜですか?」
質問すると師匠は前を指差す、そこには黒いスーツを着た男二人がこちら側に歩いてくる。
「…奴ら、さっき撒いた奴らだ」
「早いですね、事故から数十分しか経っていないのに」
男達が通り過ぎようとした、その時。
「すいません、ここから先は関係者以外立入禁止区域になっていますので、身分証明書の提示をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「…あぁ車の免許でいいか?」
「はい、…確認いたしました」
師匠は笑顔で免許証を返した次の瞬間。
「通れると思うなよ」
「「!?」」
師匠は一人の男を拳で殴り飛ばし、二人目を正面から投げた。
「さて、もう一人は何処だ?」
「しっ、知らない!!」
「おいおい、嘘は良くないぞ」
「う、嘘じゃない!!」
「へぇ~、ならさっき車を運転してた奴は誰なんだ?」
「知らない!!そこにいる奴も!俺も運転してない!」
「あ」
こいつ自分で言っちゃった、『運転していない』って。
「…てことはお前達が俺たちを撃ってきたってことか?」
「ハッ!」
「…さて、ユリアお巡りさんを呼んでこい」
「了解した、というかさっき殴り飛ばした音で警備員が来てるが」
「お、ここの警備員は優秀だな」
優秀もなにもさっきの音で確認しに来ない奴は相当耳が悪いか、マヌケ位だろう。
「ど、どうかいたしましたか!?」
「お~ちょっと危ない物を持ってるお兄さんがここで二人寝てるから、よろしく」
「りょ、了解いたしました。」
こうして二人は警備員さんにドナドナされることになるのだった。
「さて、ジュリアたちは無事か聞いてくれユリア」
「了解」
とりあえず通信機を取り出し、姉さんに繋いでみた。
『…ユリア?どうしたの?』
「姉さん実は…」
さっき起こったことを話した。
『…なるほど、つまりローズは私達のいる方向にもう一人来るかもしれないと』
「あぁ姉さん、気をつけて」
『えぇ貴女も』
通信を終了した。
「姉さんの方には来てないようです」
「そうか、しかし不思議だな」
「えぇ、なぜあんな短時間でここにたどり着いたのでしょうか」
「それもだが、この間ジュリアと行った店の料理の食感…あれはとても不思議で面白かった」
「一応任務中ですよ!?」
「おっと、すまん」
たまに師匠は天然なのかわざとなのかわからないボケをしてくる。
「それはさておき、大丈夫そうだぞ」
「何がですか?」
「ジュリアたちは問題なく捕らえたらしい」
「いつの間に」
さっきのくだらない会話の合間にか。
「ふむ、これで俺たちを追っていた奴らは確保、あと三十分ほどで会議が終わる、それまでが仕事だ」
「了解です」
三十分か…何も起きないといいのだが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます