第10話 地獄の刃『インファーナルブレード』

「…ア…ユリア!」

誰かが私を呼んでいる。

「むぅ?なんだ」

ゆっくり目を開けるが視界がぼやけて誰かも判別できない。

「なんだじゃないわよ!今昼よ!」

「あ~?」

「なにそのボケーとした顔、写真撮っておこ…じゃなくて!なんでまだパジャマなのよ!」

「…ん~?誰だ?」

「は?カレンお姉さんだけど?」

「…ん~?カレン?…ぼやけて見えない」

本当に何もかもぼやけてわからない。

「…ちょっと見せて」

「何を?」

そういうとカレンは私の目を見て。

「…あ~、これ麻酔効いてるわねしかも特殊系の」

「麻酔?」

なんで麻酔なんか食らってるんだ?覚えがないのに。

「あ、このアロマ…なんでユリア、貴女がこのアロマを持ってるの?しかも半分くらい無いし」

「昨日寝れなかったから姉さんの部屋から取ってきた」

「…ユリアこのアロマはね、特殊な素材で作られたスモークタイプの麻酔薬なのよ」

「…危険なのか?」

「…試作段階だから危険かどうかわからないけど様々な実験結果を見る限り、象も眠るほどよ」

「…それって人間がくらったら死ぬんじゃ」

「普通はね、でも半分くらいだから大したことはないわ…多分」

「最後の一言で一瞬にして不安になったぞ」

「さて、任務に行くわよさっさと支度しなさい」


支度を済ませカレンの車に乗って現場へ移動した。

「そういえばカレン、今日の任務はなんだ?」

「今日は台風で倒れた木の撤去よ」

「…それ自衛隊で何とかならないのか?」

「ならないのよ、いろんな事情で自衛隊はてんてこ舞いなの」

「それで私たちがやる羽目になったと」

「そ。それにactorは暗殺や殺害、テロ鎮圧だけじゃないし」

「便利屋さんだな」

「ま、国際的に認められるだけあるわよね」

そうだ、昨日の事をカレンに相談しよう。

「なぁカレン」

「何?」

「実はな昨日の夜、寝ようとしたら心臓が破裂しそうなくらい脈を打ってたんだ」

「んー、アルコールのせいかしら」

「その時にはもう酔いは完全に冷めてたんだ」

「むぅー?酔いでもないなら何が………あ」

「心当たりがあるのか?」

「…秘密」

「は?」

「ひ・み・つ」

「殴るぞ」

流石に腹が立った、あとで姉さんに言いつけて解職に追い込んでやる。


なんやかんやで目的地に到着した。

「う~ん大自然って感じ」

「あぁ実家を思い出す」

そこは緑溢る緑だった。

「ここか」

「えぇにしても結構大きな木ね」

道路に横たわる木は折れていなければ高さ8~10mほどあろうという大木だった。

「…どうやってどけるんだ」

「…私も予想外よ、ここには馬力の強い重機もないし」

「周りの民家から借りて来るのはどうだ?」

「無理ね、道幅が狭くて通れても小型フォークリフト位よ」

う~んどうしたものか。

「…あ、そういえば」

「どうした?」

「試作段階の武器があったはずなの、それを使ってどけてみるわ」

武器?大丈夫なのか?

「よっと、これこれ」

そう言いつつ出してきたのは黒い物体…なんだあれ。

「なんだその物体は」

「ん?これはね『インファーナルブレード』って言う超大型ナイフよ」

「なんというか…デカイな」

そのナイフは刃渡り2~3mほどある…これ使い所ある?

「これで…よいしょ」

「重そうだな」

「えぇ普通のナイフの10倍くらい重いわ」

「手伝うぞ」

そうして2人で持ち上げ、振りかぶり、切った。

すると大木は真っ二つに両断された。

「…なんであんな方法で切れるんだよ」

「それは企業秘密ということで」

さらに4つに切りわけ、住人の手助けのもと大木の撤去作業は終了した。

私たちはお礼の品を貰い、今日の任務は終了となった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る