第9話 飲み会(合コン)にて

「…依頼されてない限りな」

「…」

剛さんは気を失ってその場で倒れた。

「「え?」」

カレンと俊治さんから気の抜けた声が出た。

「ちょっとユリア!何したのよ!」

「何もしてない!ただ少しジョークを言っただけで…」

「そのジョークは絶対ブラックジョークなのよ!」

「おーい、剛君大丈夫か?」

「…ころ…される」

「…」

その唸り声にその場は静まり返った。

「ユリア!!」

「誤解だ!」


しばらくして剛さんは気を取り戻したが。

「ユリアさん、本当に依頼されてないんですね?」

「そうだ、依頼されていたらとっくに死んでいるからな」

「よかったです~、生きていることに感謝」

「なんというかすまなかった」

「いえいえ、ただ僕が考えすぎただけですよ」

私たちは気を取り直して合コン(もとい飲み会)を再開した。


「だからあの上司は…」

俊治さんは泣き上戸のようだ。

「大変ねぇ~しゅん君~」

カレンもほろ酔いのようだ、それとカレンはかなり酒に耐性があるようだ。

「カレン、流石に飲み過ぎだ」

「なによ、まだ半分シラフよ」

「カレンさんの肝臓はどうなってるんですか」

「その気持ちはわかる、ビール瓶6本を一人で飲む人間は今まで見たことない」

「僕はあんまりお酒が好きじゃないのでジョッキ1つで満足です」

「私もだ」

私と剛さんはジョッキ一つ、俊治さんはビール瓶1本半、そしてカレンがビール瓶6本…ちなみに姉さんは梅酒でガチ酔いする。

「そろそろ止めないとお会計がまずいことになりますよ」

「あぁ、そろそろ止めるか。おいカレン」

「ん~?何?」

「そろそろお開きにするぞ」

「え~、まだ飲めるのに」

「明日任務だろ、二日酔いで任務失敗はシャレにならんぞ」

「…それもそうね」

カレンはふらふらとしながら。

「今日はここでお開きとさせていただきます~」

「はぁ~い」

「主任…明日二日酔いで潰れないでくださいよ?」

「心配無用だよ~剛君~」

「さて帰りましょうか」

「そうだな」

私たちはお会計を済ませ帰路に着いた。


「ユリアさん、送りますよ」

「いや大丈夫だ、一人で帰れる」

そう言いつつ私は駅のホームに向かった。

「ちょ!ユリアさん!それ逆方向です!」

「へ?」

…まだ酔いがまわっているようだ。

「こっちですよ」

「…すまない」


私は剛さんと共に無事、家まで帰れた。

「今日は大変でしたねユリアさん」

「あぁ散々だ、まさか自分がジョッキ一本で酔うとは」

「まぁ酔いに関しては人それぞれですよ、カレンさんが化け物なだけで」

「…あいつと飲むときは飲まされないようにしないとな」

これだけは肝に命じておこう、飲まされたら急性アルコール中毒で師匠に笑われるだろう。

「それじぁ僕はここで」

「あぁすまない送ってもらって」

「いえいえ、一人の男として女性を一人で帰らせるのは見過ごせないですから」

「…紳士だな」

「ありがとうございます、それではまた」

…さてと、明日は任務だ、早く寝ないとな。


…眠れん、なぜだ酔いは冷めたのに心臓が破裂しそうなくらい動いている。

「…飲み過ぎたか?」

…いや、流石にそれはないはず。

「ならば…不整脈か?」

…そうなるとまた別の話になる…そういえばカレンは医療についても詳しかったな、明日聞いてみるか。

「だが眠れないのではな…」

…う~む……たしか姉さんの部屋にアロマがあったな。

「すまない姉さん使わせてもらう」

私は姉さんの部屋の机からアロマを取り出し、自分の部屋に戻った。

「…よし」

着けてみるとふわっと良い香りが(なんの匂いかわからないが)した。

「…効果てきめんだな」

そして私は気を失ったかのように眠った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る