第6話 初任務と『相棒』

「さてユリア、行ってくるわね」

「姉さん気を付けて」

私は姉さんを見送り、本部へ向かった。

今日から私は初任務…不安とワクワク感を胸の内に収め腹を括る。

しかし、『相棒』とはどんな人物なのだろうか。

姉さんに指定された部屋で待機していると。

「やっほ~君がユリアだね?よろしく!」

元気な女性が現れた。

「よ、よろしく」

「う~ん、どことなくBOSSと似てるねぇ」

「えぇっと貴女は?」

「おっとうっかり、私の名前は『カレン』」

相棒の名前はカレンだと言う、覚えておこう。

「ま、初めましてでは無いんだけどね?」

「?どこかで会っていたか?」

「ん?前に夜道で戦闘したじゃない」

あの時の女か!

「なぜ、あの時殺そうと?」

「いやぁ別に殺すつもりはなかったのだけどね、まぁただの腕試しってところかな?」

「…私の戦力を試していたと?」

「そういうこと、それより任務に向かいましょうか」

私はカレンと共に任務へと向かった。

正直私はカレンを信用していない。


目的地周辺にて

カレンは自動車でターゲットが居るビルではなく隣のビジネスホテルに向かっていた。(私は自動車免許を持っていないのでカレンが運転している)

「さて、ここで会合かいごうがあるの」

「そう言えば依頼内容は?」

「えぇっと、『快楽殺人鬼を殺す』ってところ?」

「初任務にしては重くないか?」

「…まぁたしかに、でも経験経験」

「…カレンはなんだか手慣れてるな」

「ん~?そう?」

「ターゲットはどうやって始末するんだ?」

「う~ん、今のところ狙撃が安定かな?」

「隣のホテルからか?」

「そ、サプレッサー(消音機)を着ければ発砲音でバレないし、なおかつホテル利用者にも迷惑が掛からない」

「なるほど」

たしかに現実的な方法だ。

「…しかし今日は風が強いな」

弾は風で落ちたり曲がったりする、つまり弾道予測して撃たなければならない。

「…運任せになりそうだな」

「あぁ大丈夫よ、そこら辺の計算は私に任せて狙撃に集中しなさい」

「?そう言えばカレンは狙撃できないのか?」

「私は主に現場での情報収集、偵察、弾道計算を担っているの、サポーターってところね、だから安心して狙撃しなさいな」

「…頼もしいな」

「あら、デレ期かしら?」

「張っ倒すぞ」

「えぇ…怒らないでよ」

そんなやり取りをしていると目的地に到着した。


「さてユリア、私は隣でターゲットの位置を知らせるから、狙撃はよろしくね」

「了解した」

私はカバン(ギターバッグ)からライフルを取り出し、部屋の窓を開けライフルの銃口を覗かせる。

「ユリア、もう少し右上」

「了解」

「そうそう、そこら辺」

「では狙撃する」

引き金を引く…見事ターゲットの頭部に直撃。

「おぉナイスショット」

「…ありがとう」

「にしても貴女、人を殺すのに躊躇ためらいがないわね」

「…昔、人を殺した事がある」

「それが理由で躊躇ちゅうちょしなくなったと?」

「あぁ、不思議なことにな」

「…恐らくそれは姉譲りだと思うわ」

「なぜ姉さんが出てくる?」

姉さんは関係ないはずだが。

「貴女の姉、ジュリアは最初の任務を失敗した事があるの」

「姉さんが?信じられない」

「…彼女も人間だもの失敗の一つや二つするわよ」

「…どんな任務だったんだ?」

「…『ローズ』の殺害」

「な!なぜ師匠がターゲットに!?」

「『ローズ』はその当時のBOSSを…」

私はその一言に言葉を失った。






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