第2話 『ユリア』actor本部へ

わたしは『Sランク』の職員として初仕事に向かっていた。

まだわたしは18歳、出来ることも、可能性も全然ある。

そしてわたしは『actor』の本部にやってきた、幸いにも家から近かったため交通手段は徒歩だ。

さて、着いたここがわたしの職場…多少の緊張はあれどガチガチになるほどではなかった。

「…よし、行くか」

自動ドアを抜けた先は一見普通の会社のオフィスに見えるが、所々にがたいの良い者達がいた。

エレベーターで最上階へ昇る。

『三十階です』

エレベーターのアナウンスが目的の最上階に到着したことを告げる。

そして指定された部屋へ行きノックする。

「…失礼します」

扉を開けた先は…

「ようこそユリア…今朝ぶりね」

なぜか姉さんがいた。

「…なんで姉さんがここに?」

「ふふふ、私、今日からactorのBOSSになりました~」

えっへんと姉さんは胸を張った…正直姉さんが組織にいることは知っていたが、まさかBOSS(今日から)とは…

「さて、ユリア早速だけど訓練よ」

「訓練?」

「えぇ貴女はたしかにSランク合格してるけど、腕はまだまだ未熟」

「それゆえに訓練と?」

「そ、例えばCランクでも熟練じゅくれんの者であればSランクを凌駕りょうがすることもあるのよ?」

たしかに、ぽっと出の高性能な新人と努力を重ねた玄人では経験での差がでる。

ならば多少なりと経験や訓練を積ませれば良くなるという考えなのだろう。

「たしかに…それでどんな訓練を?」

「ふふふ、それはお楽しみ」

なんだろう、凄く嫌な予感がする。

「とりあえず今日はもう帰って大丈夫よ」

「え?姉さんどうして?」

「だって明日は訓練だし、それに新米にSランク級の任務を任せるわけにはいかないでしょ?依頼主に何言われるかたまったもんじゃないし。それと姉さんじゃなくてBOSSと呼ぶように。」

「…はい、BOSS」

姉さんの悪い癖だ、話が長くなる。

「わかったならよろしい。さぁ早く帰りなさい」

「…むぅ」

任務のつもりでノリノリで来た自分が馬鹿みたいだ…


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