第2話
「俺」はこんなことを語り始めた。
「まず俺は未来の君ではない。俺は未来から来たのではなく、いわゆるパラレルワールドからこの世界に紛れ込んでしまった。この世には無限と言ってよいほどたくさんの平行世界があり、そのそれぞれに俺とそっくりの俺がいる。ただ、似ているが少しずつ違っていて、社会システムや時間の進み方にも若干のズレがある。今までは並行世界の人間同士が、お互いに干渉することはなかったのだが、科学の進歩によって、一部の平行世界でその次元を超える技術が普及し始めた。そうすると次元を越えて別の平行世界へ行って、より進んだ技術を取り入れようと言う動きが起こる。俺はエンジニアとしてそんな仕事をしていたのだが、ここしばらく、ろくに寝られないぐらい忙しく、超次元システムのパラメーター入力を少々間違えてしまった。本来はもう少し時間が進んだ並行世界に行くつもりだったのだが間違って時間の遅れたこの世界に来てしまったのだ。そもそも睡眠時間を削らなければならないほど忙しくなったのは俺たちの世界で新型の感染症が流行ったせいで、陽性と診断された同僚達が自宅療養になり、仕事を休んだことが原因。その結果俺の仕事が増えて、余裕がなくなってうっかりミスをやってしまった。睡眠時間を削ってまで無理をすると、仕事もミスる。君も気をつけた方がいい。」
(第3話へ続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます