6日目 9月9日 「物語は完結させよう」

 6日目の今日は、前回で企画した「専門学校に行った友人に聞いてみた、公募でするべきこと」の第一弾です。

 ①物語は完結させよう

 これですね。

 さっそく、説明していきます。

 この①は他の項目に比べて特に初歩的なことで、当たり前過ぎて言われてもピンとこないかもしれませんが、それだけに、無意識にできていない人が多いらしいです。

 わかりやすく異世界もので例えてみます。

 舞台はありきたりな、魔王、勇者が世界の命運をかけて戦う魔法の世界としましょう。

 さて、皆さんは限られたワード枚数で、その世界をどこまで描きますか? 長編ストーリーの場合で考えてみましょう。

 まず第一に勇者が魔王を討伐するまで、と考えるのではないでしょうか。しかし、何冊にも渡って続く長編を想定して書くとなると、どう考えても枚数が足りません。

 電撃大賞の応募要項には、ワード130枚までという制限が設けられています。この枚数は一般的な単行本一冊よりもやや少ない、260ページ分ということです。

 うん、少ない。

 長編が完結するわけないんですよ、これ。

 だから、ここでいう完結とは一つの区切りのことを言います。

 魔王を倒すのが最終目的とする物語なら、世界観を示し、初めての仲間を見つけ、初級の魔法を習得し、一番弱い幹部を倒す。それくらいの内容になるではないでしょうか。

 それだけかよ、と思うかもしれませんが、ご安心を。いざワードを使って書いてみるとそれでも枚数が足りないと嘆くことになります。実際神崎は一から物語を書き直しました。

 神崎の応募する小説は三つの事件で構成されるミステリーなので、

 最初の事件、60枚

 中間の事件、30枚

 最後の事件、40枚

 ……といった感じで書いています。

 でもやっぱり、長編を書いている身としてはワード150枚は欲しいところです。

 と、そんな愚痴は置いておいて、何故物語を完結させないといけないのか、これについて書いていきます。

 ずばり、専門学校に行った友人が言うにはーー第二、第三から編集者は物語の面白さと同時に構成力を見てくるから。

 だそうです。

 まあ、この日誌で何度も言及している序破急や起承転結ですね。

 小説は一冊につき、事件が起こり、そのメインとなる事件が一冊で締め括られるのがセオリーです。稀に三冊くらい続けて同じ事件の話になることもありますが、大抵は一冊で終わらせなければなりません。

 なぜなら、マイナーな作品は次の一冊が出るかは売り上げに大きく左右されてしまうからです。

 人気が出なければそこで終わり。

 中途半端に終わるよりも、一冊で事件が解決され、また読みたいと思わせるようにしなくてはいけないんです。

 もちろん、次回に引き伸ばすことで読者の楽しみとする方法もありますが、大賞に挑戦するのは無銘の作家たち。(何冊も同じ内容ができるのは、一定数の読者を獲得している人気作品だからできること)

 長編だったとしても受賞作一冊で打ち切りになっている作品は山程あります。

 一冊で終わるかもしれないのに、

 「いや、これから面白くなるとこだから」

 「一冊目は伏線張りまくりで、物語が終わる頃に明かされていくから」とか。

 あなたが編集者だとして、そんな人気が出るかもわからない小説を受賞させて、博打のようなシリーズ展開をしたいと思いますか?

 綺麗に一冊でまとまっている作品を受賞させて出版し、人気が出たら、綺麗に次の一冊に繋げていく方が美味しいでしょ。

 ーーそんなことを昼のドトールで友達から散々聞かされました。

 つまり、要約すると。

 受賞した後、出版した時のことも考えて、一冊で綺麗にまとまるように、提出する物語を組み立てろ、ということです。

 少々わかりにくい説明でしたが、物語を完結させる、その重要性が少しでも伝われば幸いです。

 次回、②ヒールは主人公よりも魅力的に。

 それではまた明日、シーユー

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