〜第一章〜嵐編

第1話 弐年参組

学校へついた俺は、とてつもない疲れを感じていた。


なぜかは分からないただ、背中が蒸れるし、顔は汗でベトベトだし、今までに感じたことの無い疲れと言うものをものの5分で感じた。


疑問に思っていた俺だがチャイムが鳴ったので、考えんのを一旦捨てて机についた。


俺の席は横5列中左から2番目で前から4番目ととても良くも悪くもない席というのが印象的だ。


ガラガラガラ…。


「よし、授業はじめっぞぉ。」


やる気のない声と、だるけさがある歩き方、そして顔のほとんどを布で覆い目だけが見えている。紺の長袖長ズボン。月影つきかげ先生だ。


月影先生は、朝にとっても弱く、5時間目位から本調子になる男だ。


だけど別に退屈ではない。それなりの質とわかりやすさが売りの先生であり、学校の好きな先生ランキングにもTOP5には入る。


月影先生は"影種エイシュ"と呼ばれる種類だ。


そんな月影先生の授業がどんどん終わり昼休みに入った。


「やばいアタシ、まじねっみぃ!ししっ!」


「それ、私もだよ!本当に月影のやつ眠い授業ばっかするよなー。」


「おい、サム、リンてめぇーらさっきからうるせぇぞ。」



「あ?アタシたちは雑談してんのに?ダメなのか?喋っちゃよぉ?」


サムの声がクラス中に響く。


「サムそれだよ…呆れるわ。その怒鳴り声がうるさいっていうの。分かる?分からんか馬鹿だもんな。」


サム。雷サム。あいつは子供の頃に両親がどちらも他界した。可哀想なやつだ。褐色肌で短髪のギャル。


耳につけたピアスは似合う。顔もいいし…でも、彼氏はいない、容姿は良くても、性格がなぁ…。と男子達は思う。


そんな男子に付けられたあだ名は"雷神"とか"仮面"とかそんな変なあだ名しか付けられない。


俺は好きではないけど可哀想だから構ってる、その方があいつにも好都合なんだろう。


毎日のように喧嘩してでも時間経てばまた寄ってきて、妹みたいな、やつだ。


俺はそういう所には少し惹かれるところがあるかもしれないし、無いかもしれない。


気に食わないことがあるならあいつは"雷種ライシュ"であるということ、あいつに雷の能力を持たせたら鬼に金棒の3倍ぐらい危ない。


でも、なんだかんだあいつは良い奴だ。



「っな!バカはそっちだ。ばーかばーか!」


「俺はバカじゃねぇぞ!点数だって取ってんだぞ!?」


「んにゃろぉ!」



「はぁ、また喧嘩してるよー…。万象も大変だね…。」



「でもなぁ。このままだと俺たちまで危険だから竜水りゅうすい止めてきてよ。」


「え、わいかよ。え、わいにできるかな…。」


俺とサムの喧嘩を毎日見て止めに入るのが肴家竜水さかなやりゅうすい臆病だけど人一倍の正義感はある。


"魚人種ギョジンシュ"だから素早い動きや怪力があるのかと思ったらそうでもなくどちらかと言えば運動神経はない方らしい。


顔も体も魚人そのものであり、ヒレが背中に着いており、色は水色でとても可愛い。


男子からはマスコット扱いを受けている。



「ねぇ、2人とも喧嘩はダメだよ…。その、あの、喧嘩するより遊ぼうよ。」



「ちょっと黙って!?」



と二人に言われた竜水は体を震わせた。


「いや、待て。お前が黙れサム。」


俺たちはそんなこんなで、結局仲直りはした。



でも1番悲しそうにしてたのは竜水だった。



「なんで、わいが…こんな目に合わんといけんのだ…。」



昼休みが終わり午後の授業に入る。



「5時間目は総合だ。ってことで、体育祭が近づいてることはみんな知ってるよな!」


ここで、月影先生の態度が変わった。

本調子になったみたいだ。



「体育祭は我ら弐年参組が勝つ!!。それなんだが、体育祭での競技を今一度確認してもらう。競技は3つだ。

"1vs1"の個人戦

"5vs5"の団体戦

そして"バスケ"だ。いいな"5vs5"とバスケの時にはチーム名とメンバーを書いてもらうぞ。期限は2週間後だ。」



「5人か…まぁリン誘うか。おい、リン一緒に5人組組まねぇか?

お前の狗神イヌガミ狛神コマガミの力が欲しいんだよ。」


「あ、万象ごめん!先客が居るんだ。また今度誘ってくれ!」



「あ、ごっめーん〜!!リンちゃんアタシが奪っちゃいましたー。あーれ?おひとり様ですか?頑張ってねぇ〜!?ししっ!」


「ったく、黙って見とけ…。おい、竜水組まねぇか?」



「え、え、え?わい?わいでええの?」


「どうせ、お前相手居ないやろ?」



「うん、いいけど、足引っ張っちゃうよ。」



「大丈夫やから。ほら行くぞ。」



「う、うん。てかさこれって、わい達32人クラスだよね?」



「そうだけどなんかした?」


竜水の顔が青ざめる。


「これって…団体戦2人で出るってこと…」



「ッンナ…ばかな…」



「それはそれできついな…。」



「んで、万象検討は着いてんの?」


俺は30秒程考え込んで答えを決めた。


「よし、ごうを誘う。」



「え、ほんとに言ってんの?やめといた方いいよ!」


俺ら弐年参組には3つの勢力がある。


サムやリンを初めとした女勢力。


俺らみたいな凡人勢力。


そして、"デス"と呼ばれるヤンキー集団。その頭が、號だ。


体の8割が筋肉でできており、制服のボタンを開けないと弾け飛んでしまう。

制服の後ろには「強き者には金棒を」と書いてある。髪は結んでいる。

見た目の通り下っぱ達に"鬼の號"《おにのごう》と呼ばれ、たちまちその異名は学校全体に知れ渡った。


だが、先生達は相手にしていない。


號は裏で生徒を操り、自分は悪くならないように上手く、施策する。

近接戦闘かつ頭がいいという、最悪の頭だ。



そんなやつを入れると選んでしまった俺はとてつもないオオバカだ。

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