世界種

おいごら姉

第0話 プロローグ

空は青く澄んでいる。


山から流れる川は水が透き通っている。


その下流に沿うように家が点在している。


川には橋がかかっており、その橋の先に1軒建っているそれが俺の家だ。


木でできた家の煙突に煙があがっている。


おやつでもできたのだろうか…。


空はまだ青く澄んでいる。



万象ばんしょう!!おめぇの好きなカキフライだ!」


「え、まじぃ!?。オヤジ流石やな!。」


「へへっ。」


時計の針が8時を指そうとしていた。


「おっとそろそろ時間だ。仕事行ってくる!早く学校行くんだぞ!。」


「おうよ。あ、オヤジ!。忍書!!忍書にんしょ!!」


「あーそーだった!これがないと…。ありがとう。行ってくる。」


オヤジはドジでアホっぽいけど、あれでものうちの一家を守る主だ。

やる時はやる男それが、俺のオヤジだ。



この世界の種族はそれぞれ自分のしゅを活かした仕事をしている。自分が得意なことを仕事にして行けるって言うのは儲けるために1番重要なことなのかもしれない。


ちなみに、オヤジは、"忍種"《にんしゅ》だから忍を軸とした仕事スパイ?とか泥棒?とかそういう得意そうなものだと思うだろう。ま、結論から言えば正解は市役所で働く普通の公務員だ。そして忍書は忍者特有の物であり、ほとんどの個人情報が詰まったいわゆる戸籍書である。



「俺も学校行くか。」


そう呟いたのとほぼ同時に階段から降りてきた人が1人…。


「あ!?千象せんしょう、まだ寝てたのかよ。俺先行くからなー。」


「あ、うん。おはよう。弟行ってらっしゃい。」


愛想ないようなしゃべり方が少し気にくわないが時間がないので扉を開けた。



(俺の名は忍羅万象!バリバリの中学2年生!好きな物はカキフライ!俺は"忍種"の忍羅家の次男!オヤジはあんなんだけど頼りになるんだよ!さっき階段から降りてきたのが兄の千象。マイペースだけどなぜかホッコリする不思議なやつだ。オカンは今は大事な仕事で家を抜けてるけどとても強い。ものすごく強い。そんな家系で生まれた俺は忍者だ。誇りにしか思っていない!。)


ガチャンと閉まるドア。


走って駆け抜ける野原。


青く澄んだ空。


いつもなら学校まで30分かかる道を5分で到着するようなスピードで走っている。それはまるで"風"そのものになっている。



急いで学校へと向かっていった。



これから何が起きるかをまだ知らずに…。




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