第3話遠ざかる森

あなたから隔たって

眺める木々に

高らかに鳴く鳶の声

七年光年先の部屋から

さらに遠かった星で

あなたのまなざし

あなたの朗読する小説の一節

切れぎれになった記憶をつないで

あなたの姿をたしかめようとするけれど

その一片だけを握りしめて

眠れないまま闇の中で

無為に横たわるだけ

あなたの言葉で描く

七色の森はここにはなく

焼き捨てられた本たちの慟哭と

虚ろになった部屋で増えてゆく奢侈品と

音声を発しつづける画面と

無数の無意味の言葉の羅列と

ただ無色に塗りつぶされてゆく世界で

あなたの気まぐれな口笛を聞かせてほしい

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