オレンジ・パージ
三宮のえる
オレンジ・パージ
ゴツ、ゴツという下手なノッカーの音に、黒衣の青年は重い木製の扉を押し開いた。
「悪りぃな。この面に見覚えは」
ギィという音の何割増しかで歪んで軋んだビア樽腹の中年男が顔を出す。マリトッツォの残党狩りだ。突き出された人相書きを一瞥するや、黒衣は美しい細工人形さながらかぶりを振る。
「存ぜぬ。時にそなたここが聖域と知らぬでもあるまい」
舌打ちして踵を返す男を見送って閉めた戸にもたれ、奥に腰かけた橙のシャツこそ本物の神父。
「楽しそうじゃん。僕も一緒に逃げようかな」
クスッと笑って手に手を取る。合言葉は囁きで。
「「生クリーーーム」」
オレンジ・パージ 三宮のえる @noel_sannomiya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます