第115話 愛(ゆかり)
「佐々木愛。死因は一酸化炭素中毒。火災の犠牲者だな。」
作業台に載っている小柄な少女にその痕跡はない。
「苦しんだようには見えませんね。」
ミュージアムに展示されているのだから当然だが、愛は穏やかな表情で虚空を見つめている。
「彼女の場合は処置の時から穏やかな表情だったから就寝中の火事だったんだろう。
苦しんで亡くなった姫の場合は川田と2人でいくつもの表情筋に弛緩剤を打ったりそれがナノマシンで分解されるのを待ったり試行錯誤で数日かかるな。」
「何より苦しそうなの顔の姫を処置するのは精神的にキツい。」
丈太郎はいつものように愛の両脚をM字に開かせ、膣前庭にメスを入れる。
ゆかりは見学した時に綾がやっていたことを思い出しながら丈太郎の横に控えた。
愛の陰毛は正面に細いものがチョロチョロ生えているだけなので、丈太郎の手元がよく見える。
メスが愛の粘膜に沈むと、そこからジッパーを開くように切り開かれ、少し遅れて血が流れ出す。
ゆかりの目にはメスの刃が当たる前に切れているように見えるので自分の同じ部分を指で押してみたが、それなりに硬い部分もあった。
もう濡れてしまっている。
丈太郎の両手が切開された愛の膣から腹腔内に入ってしまうと、手の動きが見えなくなったので、ゆかりは愛の体を眺める。
愛はショートカットで小顔の華奢な少女だが、ミュージアムで見る彼女と違って、真っ白な空間でカエルのように脚を開かれて股間に手を突っ込まれている姿は魅力的で自分も同じようにしてほしいという被虐心をそそられる。
さすがに両手は無理だろうが、あの繊細な指を手首まで自分の中に入れてほしいと思ってしまう。
自分のようなはしたない体にその資格があるだろうか・・・。
そんなことを考えていると、丈太郎がインナーコルセットの切れ端を取り出した。
「頼む。」
「はい。作業台の下のケースに入れるのですね。」
肉の切れ端が付いたそれを受け取ると、足元の白いケースに入れる。
まだ温かかった。
次々に取り出されるインナーコルセットの切れ端には最小限の肉しか付いておらず、その切り口は滑らかだ。
ゆかりは片面が粘膜になっていることに気付いて撫でてみると手触りはさっき触った自分の粘膜に似ていた。
丈太郎が愛の上半身に移動し、両脇を切開して手を差し入れる。
「臍のあたりで渡すからそちらから取り出してくれ。場所を確認しておいた方がいいだろうから、一度手を入れてくれるか?」
ゆかりは愛の股間に移動して少し色付いた小陰唇を掻き分けてとろとろと血が流れ出している彼女の膣口に腕を入れる。
乳房が作業台の上に載って、下半分が愛の血液に浸かったが、肘まで入ったところで丈太郎に手を掴まれた。
「ここまでならメスは届かないから心配ない。俺が片腕だけを奥に入れたら受け取ってくれ。」
「わかりました。取り出す時に気を付けることはありますか?」
「膣口の切り口を傷つけないようにしてくれればいい。切断面が乱れると癒着に影響するからな。少し膣口を開くことになってもいいから手の平で包み込むようにして取り出すといいだろう。」
ゆかりは一度腕を抜くと医療廃棄物入れを足元に移動させる。
体を起こしたので乳房に付いた愛の血が股間まで垂れてゆかりの太腿を伝ってゆく。小陰唇からも滴った。
それに気付いて少なからず興奮してしまったゆかりだが、気を取り直して受け渡しのために手首までを愛の膣に入れて待機する。
じっとしたまま愛の性器に差し入れられた手首を見ていると、自分の心臓の鼓動が殊更大きく感じられるのだった。
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