第104話 秋(夏)⑤

 丈太郎は秋の上半身を起こしながら作業台に上ると、そのまま体を抱き寄せて彼女を膝立ちにさせる。


「こんな感じだ。俺とお姉さんの間に入って交代してくれ。」


「先生。お姉ちゃんのお尻を見たいからちょっと待って。」


 そう言うと夏は秋の後ろに回った。


「すごい!おばさんのお尻じゃなくなってる!」


 横に来て秋のお尻をペタペタ触る。


「これで良くない?」


「君たち家族が良いならこのままにするが、立たせても中で吊り上げている部分に力がかかり過ぎていないか確認する必要がある。もっと良くできる可能性もあるしな。」


「うん。それならやってみなくっちゃね。」


 夏が作業台に上がり、丈太郎が空けた秋との隙間に体を滑り込ませる。

 夏のいろんな部分が体の前面に当たってこのまま2人まとめて抱きしめたくなったが、上を向いている秋に見つめられているような気がしてぐっと堪えた。


「離すぞ。しっかり抱き締めろよ。」


 丈太郎は夏の腕に力が入ったのを確認すると、手を離して作業台から降りた。



 秋の膝の位置を調整すると、夏にも膝を開くように指示して彼女の後ろに回る。


「先生。何見てるの?」


「お姉さんのお尻のお手本として君のを見ている。少し力を抜けるか?」


「こう?」


 緊張で柔らかみのなかった腰骨のあたりのラインが綺麗な曲線を描くようになった。


「うん。綺麗なラインになった。」


「えへへ。先生カメラマンさんみたい。」


 夏は褒められて上機嫌だ。


 丈太郎は秋の尻と見比べるために全裸で抱き合う2人の周りを回る。

 歳の離れた姉妹の筈だが、秋の時間が止まってしまったせいで、今は双子のようにそっくりだ。

 少し秋の方が脂肪が厚く女らしい体つきだが、夏の細い体も水着の跡が似合っていて眩しい。

 もっと離れて2人の全景を視野に収めたいところだが、処置室が狭いのでそれは叶わない。


「先生。ゆっくりでいいよ。私ずっとお姉ちゃんとこうしたかったんだぁ。」


「ああ、2人とも綺麗だぞ。彫刻みたいだ。」


 幸せそうな夏に応じながら、秋の尻たぶを持ち上げてみる。

 柔らかすぎてはっきりしないが、もう少し吊り上げても良さそうだ。


「脚の間に頭を入れるから、しっかり支えていてくれよ。」


 丈太郎は秋と夏の脚の間に仰向けに頭を入れた。



 夏の膣口に指を入れて肛門拳筋の張りを確認すると、まだ余裕がある。


「もっとお尻を上げられそうだからやってみる。」


「私のお尻より綺麗になってもいいからやっちゃってください。」


「個人の好みもあるから何とも言えんが、最後に君にも確認してもらおう。」


 丈太郎は取り付けてあった4番のヒップリフターを取り出して3番を入れるが、目の前に並んでいる2人の性器が目に入ってくる。

 秋のものは丈太郎の手も入っているので開いていてピンクの粘膜から尿道口まで晒しているが、夏の小さな小陰唇は脚を開いているのにもかかわらず閉じたままだ。

 ミュージアムスタッフたちとは違って、まだ性感が発達していないのかもしれない。


 3番のヒップリフターを取り付けると、肛門拳筋の張りを確認して、作業台から降りる。

 もう一度2人の周りを回って確認するが、さっきより良くなった気がするものの、確信とまではいかない。

 丈太郎は彼にお尻を見せてくれたたくさんのミュージアムスタッフたちに申し訳ないと思った。



「交代するから採点してもらおうかな?」


 丈太郎が夏の後ろに覆い被さるように秋を支えると、夏のセミロングの髪が丈太郎の胸を撫でながらすっと抜けていった。

 作業台から降りて秋の後ろに回る。


「綺麗!なにこのモデルさんみたいなお尻・・・120点!」

「たぶんお姉ちゃんこんなかっこいいお尻じゃなかったよ?」


「じゃあ元に戻すか?」


「ダメー!母さまにも見せたいからこのままにして。」


「それじゃあ最後にちょっと確認をしたら付いている血を流して終了だ。お疲れ様。」


「先生。最後まで手伝うよ。私もお姉ちゃんを綺麗にしてあげたい。」


 丈太郎は秋をうつ伏せにして、尻を突き上げた格好で肛門周りをチェックした後、ヒップリフターを固定する段になって夏に訊ねてみた。


「お姉さんの髪の毛で今取り付けた部品を縛るんだが、君の髪の毛を使おうか?」


「本当?それすごく嬉しい!何本あったらいいの?」


「3カ所だから2本あったら十分だ。」


「じゃあ3本使ってぐるぐるに縛って!」


 夏は自分の髪の毛を3本、男らしく引き抜いた。



 最後に手の平に溜めた水で秋の肌に付いた血を洗い流す。

 丁寧に秋の肌を撫でている夏だが、ちらちらと器具が載せてあるワゴンを気にしている。


「どうした?何か気になるのか?」


「あの台に載ってるトゲトゲのってヘアブラシじゃない?」


「ああそうか!すまん。いつも助手に任せてるので忘れてた。髪も梳かしてあげてくれ。」


「うん。」


 丈太郎が秋の上半身を支えると夏が髪を丁寧に梳かす。」


「ここには気の利いたブラシは持ち込めないから、明日の夕方ここから出たら綺麗にしてあげるといい。」


 丈太郎は2人を見ながら、この光景は来年のメンテナンスでは妹の髪を梳かす姉に見えるのだろうかと思った。

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