第103話 秋(夏)④

「先生。お姉ちゃんの血って舐めても大丈夫なの?」


 丈太郎が秋の脇を切開していると、夏が訊いてきた。


「問題ないが、少しにしておけよ。たくさん飲むと吐き気がするぞ。」


「うん。少し舐めるだけ。」


 先程の『お肉』もそうだが、古来人肉食カニバリズムの目的は、相手との一体化らしいので、夏がそれを望むのは不自然な事では無いだろう。

 ナノマシンの材料に人体に有害なものは含まれていないので、消化器官で吸収された物も電源が供給されなくなればいずれは体外に排出される。


 丈太郎は秋の両脇から手を入れて、上部のインナーコルセットを切除すると、医療廃棄物入れを持って、もう一度秋の下半身側に回った。

 秋の血を直接舐めたのだろう。夏の鼻の頭に血が付いている。


「少しかどに避けてくれるか?」


 秋の膣に手を入れて、上半身側で切除したインナーコルセットの切れ端を取り出す。


「ほんとに手が入ってる・・・。」


「君でも片方なら、お尻の側を切らなくても入るぞ。」


「無理だよー。膜があるもん。」


「身持ちが固くて結構だ。さっき箱から出した大きいランプシェードみたいなやつを取ってくれ。」


「これ、どうやって入れるの?」


「こうやる。」


 丈太郎はいつものようにインナーコルセットを畳んで捻ると秋の膣口から彼女の体内に入れた。

 中でそれを拡げると、夏を呼ぶ。


「ちょっと手伝ってくれるか?」


「何をすればいいの?」


「今入れたのを上から引っ張って中で伸ばすから、ずり上がらないように下の端を押さえてほしい。できるか?」


「やります。教えてください。」


 夏の表情が一気に引き締まった。


「押さえる場所を教えるから片手を貸してくれ。」


 丈太郎は夏の手を取ると、秋の膣口から少し入ったところにあるインナーコルセットの端まで導く。


「ここを押さえて、左右にずれないようにしてくれ。俺が上から引っ張るから上にずれないようにする必要もあるが、そんなに力はかからない。左右にずらさないことが重要だ。両手で押さえないと動きがわからないぞ。」


 神妙な顔をして丈太郎の話を聞いていた夏は、おっかなびっくり秋の膣にもう片方の手も入れた。

 夏の手は小さいので、秋の膣口は開くもののグロテスクなまでの変形はしない。

 中の粘膜が暖かく夏の両手を包み込む。


「お姉ちゃん・・・。」


 丈太郎がインナーコルセットを引くと少し手応えがあったが、ほとんど手を添えているだけで夏の役目は終わった。


「壁の蛇口で手を洗うといい。使い方はわかるか?」


 丈太郎に言われて視線の先を見ると、壁に埋もれて古びた公園でしか見ることのないハンドル付きの水道があった。


「子供の頃に使ったことがあるけど、なんでこんなに旧式なの?」


「ナノマシンの保護のためにセンサー類が使えないんだ。この部屋で近代の道具は使えない。」


 丈太郎は側面から秋の上体を起こし、腹腔内に溜まった血液を膣口から排出させる。


「先生。こんなに血が出ても大丈夫なの?」


「君のお姉さんには大量の血液を必要とする内臓が無いからな。残った部分は多少貧血状態になっても数日ぐらいなら影響しないんだ。」


 丈太郎は血液の流出が収まるのを待って、秋の股間に移動してヒップリフターを取り付ける。



「さて。ここからが君の本当の出番だ。俺も手伝うからお姉さんを作業台の上で膝立ちにさせて、それを支えてくれ。」

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