第91話 更衣室
綾子の状態確認を終えた2人が更衣室を出ると、準備室には懇親会に参加するミュージアムスタッフが揃っていた。
「ずいぶん早いじゃないか。仕事は大丈夫なのか?」
「ミュージアムは基本予約制なので、予約がなければ多少の融通は利きます。私、副館長ですから。」
利奈から堂々の職権乱用宣言があった。
「お酒も食材もテーブルも運んで来ましたよ。」
有里の声でそちらを向くと、クーラーボックスと何やら場違いな物が・・・。
「助かる。でもそれは縁台じゃないか。俺たちはこれから裸で夕涼みか?」
「そこの暖簾もですけど、部長さんのセンスって20世紀ですよねー。」
「内田くんは若いのによく知ってるな?」
「落語に出てくるものばかりですから。」
「それは下手をすると19世紀だな。」
「瞳も先生もそういう話は懇親会でね。」
「私たちで更衣室のセッティングをしておきますから、2人はお手洗いにでも行っておいてください。女子は先に軽くシャワーを浴びさせてもらいますから先生は呼んだら入って来てくださいね。綾ちゃんは戻ったらチェックをお願い。」
利奈が仕切ってくれるようだ。
綾が更衣室に入って3分ほど経った頃、瞳が女湯の暖簾から顔だけを出して、
「先生、準備ができましたので男湯側から入ってください。」
と招き入れられる。
丈太郎が脱衣籠のところで服を脱いでいる途中で部屋が少し暗くなった。
「おい、どうした?」
「演出ですよ〜!」
みんな女湯側に固まっているのか、男湯側の脱衣籠の前からは誰も見えない。
全裸になった丈太郎が衝立の向こうを見ると、壁際にミュージアムスタッフと綾が全裸で整列していた。
「この度は懇親会にお招きいただきありがとうございます。」
中央に立っている利奈が代表して言う。
みんなお腹の位置で手を組み、左右は少し半身になって足をずらしてポーズを取っている。
エアラインの客室乗務員のようだ。
大きな胸から小さめの胸までが並び、陰毛もパイパン、直毛に近いもの、縮れたものと様々だ。多少の違いはあるものの、全員脚が長くすらっとしている。
胸の大きいゆかりと有里が両端に立っているのはバランスを考えてのことだろう。
丈太郎が圧倒されていると、綾が
「先生。何か言ってくださいよ。」
と促した。
「すまん。みんな綺麗なんで言葉が出なかった。こちらこそ協力してくれてありがとう。よろしく頼む。」
利奈がパンと手を叩くと指示を出す。
「まずは成功ね。みんなベンチとライトを動かして。先生は衝立を入り口のところに寄せちゃってください。」
丈太郎が衝立を入り口を塞ぐように移動させると更衣室が広くなったので、女子が手分けしてベンチを部屋の真ん中にくっつけて並べ、手の平サイズの半球型のライトを部屋の各所に配置してゆく。
「なるほど間接照明って訳か。ベンチを真ん中に置いたってことは、縁台に座るのか?尻に痕が付くぞ。」
「違いますよ。酔っ払う前に私と瞳のお尻の筋肉を確認してもらうためです。便秘のサンプルが足りないんでしょう?中も綺麗にしてありますから存分に触ってください。」
と言って利奈がナイロン手袋を差し出した。
「これは?」
「少し感覚が鈍るかもしれませんが、お食事前なので中を触るときに着けてください。そちらは処女なので指は1本でお願いします。」
「私は両方処女です・・・。」
恥ずかしがる瞳に、今まで裸女の群に圧倒されていた丈太郎の陰茎が、俄然存在を主張し始めた。
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