第79話 報告会

 綾は遠藤楓の状態確認を終えるとミュージアムに向かった。

 昨日は講師を依頼されそうになったので少し構えている。


 スタッフルームの扉をノックすると、今日も瞳が扉をあけてくれた。


「綾さんいらっしゃい!」


「こんばんは。瞳ちゃん。報告会にお邪魔してもいいかな?」


「大歓迎です!」


 奥のテーブルに案内される。

 今日は少し人数が少ないようだ。


「「「いらっしゃい!」」」


 今日も大歓迎された。


「会議中にすみません。今日はご相談させていただきたいことがあるので、私も参加させてください。」


「いいよー。お話は報告が終わってからでいいかな?」


 主催者の有里が仕切ってくれる。


「よろしくお願いします。」



 綾が末席に着くと、話が再開される。

 会議は昨日の続きから始まった様だが、ゆかりだけでなく作業手順に沿って今日見学したみなみと友紀も一緒に報告していた。

 手順自体は初日の利奈と瞳の報告でみんなが理解しているので、これは効率の良い方法だろう。


「彼氏でもない殿方の鼻先でお尻の穴を広げて、指でそこを揉まれる日が来るなんて思いもしませんでした。」


 ゆかりが感動していると、有里が期待を込めて訊ねる。


「いたずらはされなかったの?」


「本間先生は終始真面目でしたよ。そこが感じるんじゃありませんか。今日はどうだったんですか?」


「今日はお尻の穴を拡げながら、便秘かどうか訊かれたよ。あれはゾクゾクするほど恥ずかしかったなー。」

「そうそう!さっき言ってた肛門拳筋に関係あるかもしれないから、ゆかりが便秘かどうか知りたいって。」


「そんな羨ましいことをしていたんですか!」

「私は便秘気味ですね。お薬だけでは不安なので浣腸もして当日に臨みました。」



「あんたたち本当に変態だねー。」


 綾の知らない女性が呆れている。

 卒業生以外のスタッフだろう。


「わりと普通にある願望だよ。不特定多数に見られたがるのが変態。

 本間先生はイケメンだし、お仕事で見てくれてるんだから安心して見せられる絶好の機会じゃない?お医者様と違って先生も裸だから余計に興奮するしね。」


「友紀はどうだったの?やっぱり興奮した?」


「それは興奮しますよ。みなみさん程じゃありませんが・・・。」


「みなみはそんなに興奮してたの?」


「お汁が垂れてましたよねー。」


「それは仕方のないことです。」


「本間先生にも変態がバレてるよ?」


「だから変態じゃないって!」


「そうです。自然な体の反応だっておっしゃってました。」


 ゆかりの脳内で『自然な』が追加されている。


「理解がある先生でよかったねー。」


「理解とかじゃないから。その証拠にあそこはギンギンだったから。」


「そうです。変態だと思ったら萎える筈です。」



「えー!昨日はゆかりが支えたの?」


 利奈が驚いている。

 お尻の形を見るために作業台の上で卒業生を支えた時の話だ。


「私が支えれば綾ちゃんもお尻の形を見られるじゃないですか。」


「今日はみなみさんが支えました。」


「だって、下からあそこが覗かれちゃうんでしょう?」


 卒業生以外には受け容れ難いらしい。


「後輩のためならそれぐらい何でもないよ。」


「そうです。指ぐらいは入れられても平気です。」


「「「「入れられたの?」」」」


「覚悟の話です。」


「びっくりしたー。」


「でも、お尻の穴を揉まれている時より濡れてしまいました。どうしてでしょうね。」


「卒業生を抱いてたから人肌を感じたせいじゃない?」

「私は先生の頭にお汁を垂らしそうになって、友紀に拭ってもらったよぉー。」


「役得でした。」


「私は先生の頭の上に垂れたんですが・・・。」


 みんなが目を逸らした。


「そう言えば綾ちゃん、午後は大丈夫だった?」


 話を逸らそうと、みなみが綾に話を振る。


「みなみさんが変なこと言うから意識しちゃって大変だったんですよー。」


「垂らしちゃった?」


「・・・先生に拭ってもらいました・・・。」


「「「「おー!」」」」


「これはもうペッティングだね!」


「「羨ましいです。」」


 ゆかりと瞳だ。


「瞳はバージンでしょう?慎みなさい。」


「私もなんですが・・・。先生やみなみさんが『手術中のドクターの汗を拭うようなもんだ』って言ってましたからノーカンです。初めての時に思い出したら困ります。」


「初めても本間先生で済ませちゃったらいいじゃない。」


「みなさん忘れている様ですけど、丈太郎先生は40歳のおじさんですよ?」


「忘れてた。」

「そこがいいんじゃない。」


 意見は半々のようだ。


「指は?」


「入れさせるもんですか!」

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