第67話 肛門祭り②

「「「姫ちゃん、はじめまして。」」」


 3人で姫が入っているカプセルを覗き込む。


「かわいー。これならユミちゃんがシスコンになるのもわかるわー。」


「イメージは全然違うけど、やっぱりユミちゃんに似てるね。」


「髪も綺麗ですね。お手入れしたくなっちゃいます。」


「ミュージアムに中学生はいないから新鮮だね。」


 口々に感想を述べていると、ユミが


「違うよー。姫は高校生だよー。それで今はみんなより歳上だよー。」


 と訂正した。


「姫は入院中に高校生になったんだ。学校には一度も行けなかったがな。そういえば『兄様』呼びになったのもその頃からだったかもしれん。」


 丈太郎が補足する。


「姫が処置を受けたのは16歳の誕生日なんだよー。薫ちゃんのお嫁さんになれるようになってからってねー。」



 丈太郎はパンパンと手を叩くと、


「さあ、みんな座って。内田くん、話を続けてくれ。」


 と促した。


 瞳がモニターの横に立って話す。


「ゆかりさんたちにも見てもらいたいんですけど、この画像のお尻の穴、周りの色の濃いたところが少しだけ横長になっていると思うんです。皺の間隔を見ても、横に引っ張られているような感じです。」


「そうだねー。お尻を揉んでる時の感じに似てるね。」


「3つ並ぶとわかりやすいですね。」


「私は揉まれまくって、他人のはよく見てなかったからわからないや。」


 有里は揉まれるの専門だったようだ。


「みんな、報告会で何をしてたのかなー?」


 1人だけ報告会の詳しい話を聞いていないユミが首を傾げている。


「本田先生にいちばんお尻の状態がわかる揉み方を考えるように言われて、みんなで研究したの。最初に私のお尻をみんなが揉んで揉み方を検討して、その後で生理の子以外が下半身裸で揉み合って確認したんだけど、私は揉まれすぎて腰が抜けちゃってたから他人のは揉めなかったんだー。」


 主催者の有里が説明した。


「あれは悪ノリが過ぎたねー。」


「私はオンラインで蚊帳の外でした。」


「訂正するが、俺が頼んだんじゃなく、榊原くんの提案だからな。」



 丈太郎たちも、


「確かに3つ並ぶとわかるな。」


「原因は肛門拳筋なんでしょうけど、邪魔をしてるようにも見えますね。」


「綾ちゃん、目的は肛門を綺麗な形にすることじゃないからねー。」


「いや、あながち間違ってないかもしれないが、切ってしまうと戻せないな。」


 そこで丈太郎が午後の話を思い出した。


「君たちに聞きたいんだが、ミュージアムとしては卒業生のお尻の形を綺麗にしたいのか、それとも生前の形に戻したいのかどっちだ?」


「それは館長にも聞いてみないと答えられませんが、個人的には後者です。理想を求めるだけならマネキンでいいんですから。」


 副館長のみなみが代表して答えた。


「私もだいたい同意見ですけど、お尻の形にコンプレックスを持ってたっぽい子は、少し直してあげて欲しいかな。」


「昔の人が言ったように『みんな違ってみんないい』です。」



「そっちの方が難しい注文かもしれんが善処しよう。」


「ゆかりちゃん、その報告会の動画って残ってないのー?いい資料になると思うんだぁー。」


「ありますけど、本田先生には見せられません。」


「ゆかり、音声消したら大丈夫じゃない?全員の了解を取らないといけないけど。」


「じゃあ資料になりそうな部分だけ編集しておきますね。」


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