第65話 アフター5

「川田、津田静を日焼けカプセルに入れたら今日は上がりか?」


「そうだけどー?」


「日向もこの後予定がなければどこかで飲みながら、画像の検討をしないか?」


「女の子の肛門を見ながらお酒を飲むのー?薫ちゃん変態だねー。」


「丈太郎先生、それはマズいです。外で見ていい画像じゃないですよ。」

「何かあって警察に携帯端末を見られたらどうするんですか?」


 無人車両を普及させるための電波資源を確保するために、携帯端末で使える帯域は著しく圧迫された。そのせいで帯域あたりの価格は高騰して、昔携帯電話と呼ばれたように通信できる端末は業務用か贅沢品になっている。

 一時期世の中を荒廃させたソーシャルメディアも厳しく規制され、頭の近くで使用する音声通話の長期使用による電波の脳への影響が明らかになって、ユーザーも減っていたので法案はスムーズに通ったらしい。

 今は盗撮なども問題になっていて携帯端末は準凶器と見做され、一切のロックが禁止されている。


 Wi-Fi機能は残っているが、犯罪の温床となっていたFree Wi-Fiは禁止され、外で利用できるのは会員制の高級店だけだ。

 丈太郎たちが行くような店で画像を見るなら端末に保存しておくしかない。

 

 もし警察に見られたら、朝まで留置所で部長の迎えを待つことになるだろう。


「研究室を提供するよー。お手柄のミュージアムの子も呼んであげる?」


「今頃報告会をやってると思いますが、抜けてこっちに来そうな子がいますから、声をかけてきます。何人まで大丈夫ですか?」


「3人ぐらいかなー。お酒が無くなっちゃうからねー。」


 静を日焼けカプセルに入れるユミと丈太郎と別れて、綾はミュージアムに向かった。



 綾がスタッフルームの扉をノックすると、瞳が扉をあけてくれた。


「綾さん!」


「こんばんは。瞳ちゃん。今は報告会?」


 奥に10人ほど集まっているのが見える。


「綾ちゃ〜ん!こっち来て講師やってよー!」


 有里が立ち上がって綾を呼ぶ。



「「「いらっしゃい!」」」


 大歓迎された。


「会議中にすみません。これから研究室でお尻の研究会兼飲み会をするので、お手柄だったって事で皆さんの中で興味のある方をお誘いに来たんです。」


「やったー!じゃあ続きは研究室でやろうよ。」


「それはご迷惑では?」


「すみません。お酒の都合もあるので定員3人でお願いします。」


「はいは〜い!私参加します。」


 予想通り瞳が手を上げた。


「私もー!」


「有里は報告会の主催者だからダメでしょ!」


 有里が利奈に嗜められる。


「途中参加でも構わないでしょうか?」


 ゆかりも来たそうだ。


「ご褒美みたいなものですから大丈夫だと思いますけど、いつまでやってるかは約束できませんよ。」


「ユミちゃん飲んべだから、そんなに早く終わらないよ。」


 それでも良いというので、綾は瞳だけを連れて研究室に向かった。

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