第64話 資料集め

 2人は休憩を入れずに弥生の状態確認をしながら先程の実習の結果を話し合う。


「先生、それで私のお尻で何かわかったんですか?」


「揉み方のコツはわかったが、やはり生きた筋肉は元から張力があるから目一杯力を抜いても日向の方が手応えがある。不随意筋だしな。部分麻酔で肛門拳筋を緩ませたらいちばん近い状態になるだろうが、そこまでやる必要があるかは疑問だな。」


「肛門拳筋だけに麻酔をかけられるんですか?」


「まあ念のために浣腸とオムツは必要だろうな。」



「ところで日向は便通はいい方か?」


「何なんですか!触ってみて何かありましたか?」


「肛門拳筋は細かったんだが、筋肉というのは鍛えられるもんだからな。便秘がちだと強くいきむ回数が多くなって太くなる可能性がある。」


「確かにお通じは良い方だと思います。私は高校生の時から奨学金をいただいてましたから、お通じには気を付けてました。」


「肛門拳筋が太かった堀江くんがどうかだが・・・。」


「先生、それ自分で訊いちゃダメですよ。私がそれとなく訊いておきます。」


 ゆかりなら話してくれるかもしれないが、常識的にアウトだ。




「薫ちゃーん!」


 裸のユミがペタペタと入って来た。


「ユミさん?」


「綾ちゃん元気ぃー?」


「元気ですけど、どうしたんですか?」


「ミュージアムの子から静ちゃんを日焼けカプセルに入れてって言われたから、相談しようと思って。それと時間的にお手伝いが必要な頃かなーって。」


 いつもの事なのか、丈太郎は驚きもせず、


「ちょうど良かった。日焼けする前に写真を撮らせてくれ。日焼け自体は問題ないと思うぞ。それと手伝いが必要な作業は終わったが、尻を揉ませろ。」


「どうしたの?綾ちゃんのお尻を見てて我慢できなくなったー?」


「日向の尻は揉んだ。」


 これは酷い。


「先生!ちゃんと説明してください!」



 更衣室に移動して、肛門拳筋の件を最初から説明する。


「そっかー。ミュージアムの子が見付けたんだ。凄いねー。」


「あんな事までしてくれるとは思わなかったな。」


「みんな後輩のことが可愛いんだよー。私はわかるなー。」

「それで綾ちゃんも揉まれちゃったんだねー。」


「仕事の役に立つ事ですし、私も後輩は可愛いですから。」


「それじゃあ私もひと肌脱ぐよー。」


「え?また処置室に戻るんですか?」


「控え室でやればいいじゃない。」


 こういう人だった。また全裸に白衣で移動するらしい。



 控え室に入って、迷いなく日焼けカプセルの横のストレッチャーに歩いて行った綾を見て、丈太郎が


「日向は来たことがあるのか?」


 と訊ねた。


「ユミさんに案内してもらいました。」


「一緒に姫ちゃんを迎えに来たんだよねー。」


あるじに案内してもらったんなら、俺が教える事は無いな。」


 ストレッチャーに掛かっていた白布を剥いだユミが


「どこで撮影する?」


 と訊ねるので、丈太郎は部屋を見回して、


「CTのベッドでどうだ?」


 と提案した。


「了解ー。」


 ユミがストレッチャーを押してゆく。


「まとめて撮りたいから水野咲のストレッチャーを教えてくれ。ここはお前以外には神経衰弱だ。」


 綾が何のことかと思い、丈太郎と一緒にユミに追いてゆくと、ユミは「これだよー。」と言って並んでいる中の1つのストレッチャーのストッパーを外す。

 メンテナンスをした順番に並んでいるのではないようだ。


「水野咲のストレッチャーをCTスキャナーの所に運んでくれ。」

「俺は西野弥生を出してくる。」



 3人でストレッチャーを集めると、


「私が支えるよー。」


 と言って、ユミが白衣の前をはだけてCTスキャナーのベッドに登った。

 少し高いので横から支えるのは無理がある。

 丈太郎と綾で静をベッドに載せる。


「こんなポーズだったかなぁー。」


 ユミを含めた3人でポーズを撮らせて丈太郎がカメラを構えると、ユミが


「私の顔も写すのー?」


 と訊いて来た。


「何でお前の顔も写すんだ?」


「大きさを比較する物があった方がいいでしょー?」


「そうだな。片手が肛門の近くに来るように支えてくれ。爪が写る様にな。」


 ユミは片手の平で静のお尻を受けるように体勢を変えた。



 集めた全員の写真を撮り終えると、


「私も撮るぅー?」


 と言って白衣を脱いでポーズを取る。


「画像は要らんから揉ませろ。」


 酷い言い草だ。


 丈太郎はユミの肛門の横に指を添えると、


「力を入れた状態から、ゆっくり抜いていってくれ。」


「いくよー。」


 ユミの肛門がゆっくり広がってゆく。

 その下で、それに連れて広がってゆく小陰唇が丈太郎の指の動きに合わせてヒクヒク動く。

 それを見ていた綾は、自分も同じ事をされていたんだと思ってぞくぞくしてしまい、さっき履いたパンツが心配になった。

 いちばん力が抜けた時には肛門の真ん中に小さな穴が出来た。


「お前、便通は?」


「ここ数年は快便だよー。でもそれまでは酷い便秘。座り仕事が多いからねー。」


「なるほど、それで肛門拳筋が太いのかもしれんな。」


 その話は手を離してからでいいんじゃないだろうか?



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