第56話 結衣(ゆかり)
綾は
確かにゆかりの胸は片手では隠せないが、無毛のワレメから覗いているものは全く隠せていない。
既に作業台に卒業生を載せて待っていた丈太郎は、それを見て驚くと同時に陰茎を水平になるまで立ち上げた。
自分で気付いて、
「すまんなぁ。言うことを聞かん奴で。」
と頭を掻く。
ゆかりは
「いいえ。殿方はそういうものなのでしょう?」
と優しく微笑むと、胸を隠していた両腕を降ろした。
細身な体に似合わず大きな乳房は重力に逆らって形を崩さない。
ツンと上を向くというのではなく、あくまでも丸くその先端のピンクの乳輪は、さすがに少し大きめだが下品という程ではない。
綾は丈太郎が反応した事に安心すると同時に、そう言えば彼が言ったのは『胸は』という話だったと気付いたが、入って5秒でのやんちゃっぷりに一言釘を刺さなければいけないと思い、
「先生、昨日あたりから節操が無さ過ぎませんか?」
と苦言を呈したが、丈太郎に
「新鮮な感動というものがあるんだよ。」
と返されて、『ものは言い様』だとも『私はもう新鮮じゃないんだろうか?』とも思った。
3人で作業台の前に立つ。
ゆかりは何も隠していないので、そのための小さい方の作業台はいらないのだが、切り出したインナーコルセットを並べて見せるために持って来てある。
「高島結衣。高校生だった。死因は脳内血腫。打ち所が悪かったという奴だな。」
いつもの様に丈太郎が説明する。
ゆかりが結衣の顔を覗き込んで
「結衣ちゃん。」
と呟いた。
結衣はストレートの腰まで伸びた黒髪を持つ、切れ長の目をした色白の日本人形のような少女だ。
華奢な体に小さめの胸、腰は細いがお尻も小さいので、あまり体のメリハリは無い。
「ゆかりさん、結衣ちゃんの髪型って・・・。」
「そう。私とお揃いなんです。私も結衣ちゃんみたいなスタイルがよかったなぁ。
展示されている結衣ちゃんを見て『私も死んだらこうなっていたんだなぁ。』と想像するんです。」
結衣は髪型のせいだけでなく、顔の印象もゆかりに似ている。
日本人形のような結衣の股間に黒々とした陰毛が生えているのは背徳的ないやらしさがあった。
「夜の部のお手伝いの時、裸の結衣ちゃんの隣に私が立つと、みなさん喜んでくださるんですよ。」
丈太郎が結衣の両脚をM字に開かせ、膣前庭にメスを入れるのをゆかりが覗き込んでいる。彼女の両手が股間に添えられているのは、いまさら隠しているのではなく、自分のそこが切開されているように感じたのだろう。
「これから中のインナーコルセットを切り出すから、ちょっと下がってくれ。」
近過ぎたようだ。
「申し訳ありません。」
「ゆかりさん、取り出したものを並べますから、こちらに。」
綾が、持って来た作業台の方に誘導した。
取り出したインナーコルセットの切れ端が作業台の上に並べられてゆく。
「綾さん、触らせていただいてもよろしいでしょうか?」
両腕を結衣の中に入れ、インナーコルセットを切り出す丈太郎を見ていたゆかりが訊ねた。
「構いませんよ。」
最初、ツンツンと指でつついてから、ゆかりは何本かの軟骨が肉で繋がった血まみれの切れ端を手に取った。
肉の部分を指で押さえると血が浸み出してくる。
「本当にスペアリブみたいですね。お肉もたくさん付いています。大丈夫だと聞いていても血がたくさん出てくるのを見ていると心配になってきます。」
「切られてしばらくすると、ナノマシンが毛細血管を締めるんです。これ以上出血のペースは上がらないから大丈夫ですよ。」
ゆかりはいくつかの切れ端を手に取っては肉の部分を押さえて熱心に比べた。
インナーコルセットの切り出しが終わったので、体内に溜まった血が流れ出すように結衣の上体を起こす。
丈太郎に、
「すまんが、支えていてくれないか?」
と言われたゆかりだが、綾に止められる。
「ゆかりさん、その前に手を洗ってください。」
インナーコルセットの切れ端をいじっていたゆかりの手は血塗れだ。
「あら、大変です。」
いつ触ったのか、彼女の胸にも血の手形が付いていた。
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