第55話 ゆかり
翌朝、綾がオフィスに出社するとデスクに今日も見学がある旨メモがあったので、処置準備室に向かったが、そこには既にゆかりが居た。
「おはようございます。ゆかりさん早いですね。」
「おはようございます。楽しみで仕方なかったので早く着いてしまいました。」
わざわざ立ち上がって挨拶してくれるゆかりは今日も丁寧だ。
「ユミさんを触らせていただいてもよろしいでしょうか?」
テーブルの上の頭蓋骨模型のユミちゃんが気になっていたらしい。
「いいですよ。その子の名前は『ユミ』じゃなくて『ユミちゃん』ですからユミちゃんと呼んであげてください。」
「ああ、ハンドルネームのようなものなのですね。」
と言ってユミちゃんを撫でながら、
「1つ伺ってもよろしいでしょうか?」
丁寧な口調は変わらないが、目を伏せて少し神妙な感じになった。
「何でしょうか?」
「本間先生は胸の大きな子はお好きではないと伺いました。本当でしょうか?」
「利奈さんから聞いたんですね。確かに先生は『見るなら小さい胸がいい。』と言っていました。」
「やっぱり・・・。」
ゆかりの声が沈む。
「でも、本当はその先があるんです。あまり褒められた発言ではないので黙っていましたけど、『揉むなら大きい方がいい。』そうです。」
綾はゆかりをかわいそうに思って、丈太郎のけしからん性癖を明かした。
「それでは本田先生は、私のはしたない体をご覧になっても不快に思われないでしょうか?」
「それは間違いありません。おちんちんは大きくならないかもしれませんけど、それは不快に思うこととイコールじゃありませんから安心してください。」
「ありがとうございます。お陰で少し安心しました。見学はとてもしたいのですが、本田先生に不快な思いをさせてしまうんじゃないかと不安だったんです。」
「ゆかりさんは奨学金が貰えるぐらい綺麗なのに、どうしてそんなこと思うんですか?」
「だってミュージアムに展示されている後輩の子たちは、ほとんどが妖精のように綺麗だから、私みたいな体が好きな殿方は少数派なんじゃないかと思って・・・。」
「大丈夫ですよ。丈太郎先生はまだ40ですから少女趣味の会員さんたちよりまだまだ若いです。」
綾はどうして私が胸の大きいゆかりを慰めなければならないのだろうと思った。
気を取り直したゆかりと、ユミちゃんの話をしていると、丈太郎が来た。
「おはよう。今日は堀江君1人か?」
「おはようございます。私1人ですが、お役に立てるよう頑張りますのでよろしくお願いします。」
相変わらずゆかりは立ち上がってテーブルに三つ指をついてお辞儀をする。
「いや、こちらこそ見学者が居ると助かる部分があるんだ。」
「早速だが入ろうか。」
丈太郎は丁寧なゆかりに調子が狂ったのか、彼女を促して更衣室に入った。
丈太郎はシャワーを浴びると、綾に
「堀江君の確認を頼むぞ。」
と言って先に処置室に入った。
綾はゆかりの胸に気圧されながら並んでシャワーを浴び、シャンプーのために目を伏せたところで、ゆかりの無毛の下半身が目に入った。
「瞳ちゃんに剃らなくてもいいって聞かなかったんですか?」
「いいえ、それでも少しでも見苦しいものは無い方がいいんじゃないかと思って処理しましたが、いけませんでしたか?」
「まあ無い方がいいと言えなくもないと思います。」
シャンプーを洗い流すと、綾はゆかりに1周回ってもらい、最後に
「タンポンは入れてませんね。」
と確認すると、ゆかりは
「どうぞご覧になってください。」
と脚を大きく開いて無毛の股間に手を添えたので、綾は急いで、
「見せなくても大丈夫です!」
と制止した。
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