第41話 静
オフィスに戻ったが、丈太郎がいなかったので、綾は処置室に向かった。
処置準備室に入ると、丈太郎が端末を操作していた。
「お待たせしました。」
「いや、何か問題になってなかったか?」
「いいえ、東館長から『よろしく』って言われました。お尻の件もすごく期待されてましたよ。水着が着せられるって。」」
綾は端末を覗き込んだ。
「メンテナンスリストですか?あ、これ『姫ちゃん』って・・・。」
「川田が作成しているからな。ヒップリフターの項目が増えたから確認してくれって言われたんだ。」
「結局、(仮)が取れたんですね。」
「クラウドに上げられちまったからな。」
『姫ちゃん』の下には津田静とある。
「次は静ちゃんですね。これ、私でも見れますか?」
「姫の画像も入っているから支給端末でここのルーター経由のみで見られるようになっている。」
「それってクラウドの意味がないんじゃないですか?」
「遠隔地バックアップだけだな。」
処置室に入る。
作業台に移した静は確かに水着が似合いそうな体だった。
胸と腰は平均より少し大きいぐらいだが、脂肪の薄いタイプでメリハリがついている。
身長が高くキリッとした美人だ。
陰毛は濃いめで、生えている周りには剃り跡から伸びてきた毛が結構広い範囲にあるが、これは水着用にミュージアムスタッフが処理するだろう。
聞いていた通りの黒髪ロング。
「ヒップリフターを入れるまでは今まで通りだ。」
と言って、丈太郎が静の脚をM字に開き、膣前庭にメスを入れる。
丈太郎がインナーコルセットを切り出すのを横で待ちながら、綾が切り出した。
「先生、見学の子たちが来る前にナノマシンの件の口裏合わせをしておいた方がいいと思うんですが・・・。」
「ん?どうごまかしたんだ?」
綾は、バツが悪そうに
「先生曰く、『若い女の子の体を触りまくってるから』だって。」
丈太郎の手が止まった。
「両手が塞がってなかったら尻をひっぱたいてやるところだ。」
綾は両手でお尻を押さえて、
「それはセクハラでパワハラですよー。」
と返した。
「もっとマシな言い方はなかったのか?」
「これでもいろいろ考えたんですよー。でも、質問されるような言い方したらボロが出ちゃうかもしれないし、秘密だって言ったらいろいろ憶測されるじゃないですか。『丈太郎先生とユミさんが若いのは卒業生の生き血を飲んでいるからだ』って噂もあったんですよー。」
「俺たちはどこの女王様だ。」
「自分たちもよく触ってるから可能性があるかもって言ってましたから、これからは追及されにくくなると思いますよ。」
みなみあたりが裸で着せ替えをしなければいいがと思う綾だ。
「インナーコルセットを頼む。」
と言われて取りに行く綾の後ろで丈太郎が
「事前に打ち合わせをしておくべきだったな。」
と零した。
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