第26話 なつみ

 翌日、綾が出勤するとオフィスの机の上に白いヘアブラシとかんざしが置かれていた。白い玉が付いた玉簪で、音叉のように二股になった二本挿しというやつだ。

 下に敷いてある紙に丸っこい可愛い字でメッセージが書いてある。


「次からはユミちゃんって呼んでね♡ ユミ」



 丈太郎がオフィスに入ると、綾が簪で髪を纏める練習をしていた。


「もう出来たのか。」


「どうですか?」


 綾が首を回して纏めた髪を見せる。


「うまいもんだな。」


「そういう感想だと思いました・・・。」


 不満な様である。



 処置室に移動すると、綾はテーブルの上の頭蓋骨の横に買ってきたブロックが入った籠を置くと、一緒に入っていた小さな座布団を頭蓋骨の下に敷いた。


「カラフルなブロックだな。」


「何色がかわいいか迷ったんですけど、これがいいかなと思って。」


 サイケデリックな頭蓋骨になりそうだ。


「今日のメンテナンスは1人だけだから、午後はそれで練習できるぞ。」


「やった!頑張ります。」



 処置室に入る。

 簪のおかげで、綾は少し遅れただけだ。


「先生、ヘアブラシ、器具トレイに置いておいていいですか?」


「構わない。」


 作業台を押して行って少女を引き出しから載せ替える。


「彼女は清水なつみ。高校生だった。死因は失血死、交通事故だ。」


「傷跡は死後でもナノマシンが治してしまうんですか?」


「ああ、ふた手間ほどかかるが、そのうち経験できるだろう。」


 作業台を戻すと、丈太郎が


「お腹を触ってみろ。」


 と言った。


 撫でてみたが違和感はない。

 柔らかくすべすべだ。

 しかし軽く押すと弾力がある。

 綾は自分のお腹を押して比べてみるが、力を入れていないときはもっと柔らかく、腹筋に力を入れるともっと固くなる。


「なんだか不思議な感触ですね。」


「インナーコルセットを入れ替えてからもう一度触ってもらうから感触を憶えておけよ。」



 いつもの様に丈太郎がなつみの脚をM字に開き彼女の会陰部を切開する。

 なつみの陰毛は濃いが範囲は狭く毛足も短い。


「今まで縮れの強い子がいませんでしたけど、奨学金の面接で減点になるんですか?」


 綾がお風呂で見たことのある範囲では、みんなもっと縮れている。

 むしろ綾の様な直毛に近い方が珍しかった。じっくり観察していた訳ではないが・・・。


「面接基準は知らんが、ここに運び込まれた時はみんな普通に縮れてるぞ。それがメンテナンスで見るたびに縮れがなくなっていく。陰毛が縮れるのは下着で擦れるからだという話もあるから姫が動かないせいかもしれんし、ナノマシンがそうしているのかもしれん。」


「じゃあ髪の毛もですか?」


「そっちの方は元が天然かどうかわからんからな。ミュージアムスタッフの方が詳しいんじゃないか?たまに坊主にされている姫がいるから、パーマが伸びてきておかしくなってウィッグを被せているんだろう。」


 丈太郎が切開した彼女の膣からインナーコルセットを取り出し始めたので、綾はそれを受け取る。


「この子は髪が長いから早速ヘアブラシが活躍できますね。」


 なつみのストレートの黒髪は背中の真ん中ぐらいまである。

 特別スタイルが良い訳ではないが、胸もあり、しっかりくびれもある。

 ピンクの乳輪が載った胸の形がとても綺麗だ。


 丈太郎がなつみの上半身に移動して脇を切開するので、綾もその隣に移動する。


 目がパッチリして少し唇が厚いなつみの顔は人懐っこそうだ。

 笑うとえくぼができたのかもしれない。

 前髪の下から覗く眉は綺麗に整えられている。


「そろそろ終わるからインナーコルセットを持ってきてくれ。」


 綾はインナーコルセットを持ってきて、


「先生、今のうちに髪を梳かしてあげようと思うんですが。」


 と言うと、


「そうか、じゃあ俺が支えよう。」


 と言って、なつみの上半身を起こす。


 綾は丈太郎の反対側から丁寧に彼女の長い黒髪を梳かしてゆくが、丈太郎の側がやりにくい。


「場所を替わってください。」


「こっち側は俺がやるよ。」


「このヘアブラシは硬くて尖ってない剣山みたいなものですから、先生には任せられません。」


 場所を替わった。


 髪を梳かし終わると、その間に股間から流れ出した血液を洗い流してからインナーコルセットを入れる。


 丈太郎がなつみの中に入れたインナーコルセットを伸ばしたので、上から引っ張れるように、綾は切開された彼女の膣に両手を入れ、インナーコルセットの端を押さえた。

 濃い陰毛の割になつみの性器は幼く見える。

 小陰唇は小さく、色は周囲の皮膚とほとんど同じだ。

 今まで自分の物もじっくり見たことのない綾は、ここは顔より個性が出るのかもしれないと思った。


 なつみのメンテナンスを終えると、綾は彼女のお腹を触ったが、明らかに反発力が小さかった。


「さっきと違って押し返す力が小さいだろう?インナーコルセットが癒着していないから骨組みの隙間が固定されていないんだ。」


「そう言われると押すのが怖いですね。」


「通常はやらない。」


 もう一度なつみのお腹の形を見て、インナーコルセットがずれていないか確認し、

 作業台に里菜と載せ替えて状態を確認した。


 里菜の髪も長いので、ヘアブラシで梳かすと彼女の美しさが増した。

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