第18話 理沙②

「渡すぞ。」


 と丈太郎に言われて、理沙の臍の内側辺りでインナーコルセットの切れ端を受け取ると、綾は彼女の体を傷つけないように気をつけながら、切開した膣からそれを取り出した。

 小柄な理沙のそこは切開してあるとは言っても狭い。

 綾は腕の太い丈太郎ではなく、できれば自分が全部やってあげたいと思った。


 残ったインナーコルセットを全て取り出すと、丈太郎に言われて2人は水道で腕に付いた理沙の血を洗い流した。


「これから午前中と同じように新しいインナーコルセットを入れる訳だが、その前に」


 と言って丈太郎は理沙の下瞼をめくって内側の血色を確認すると背中に腕を回し、彼女を起こす。

 ミュージアムのように磁力で引かれていないので、彼女の頭は力なくうなだれたので、投げ出された脚のせいもあって、まるで人形の様だ。

 股間から腹腔内に溜まっていた血が流れ出す。

 少し粘度を増しているが、量は1リットルに満たないだろう。


「中の血液が出なくなるまでしばらくこのまま支えておいてくれ。」


 と言われて、綾は反対側から理沙の背中に手を回して彼女を支えた。

 指先にささやかな胸の裾野の柔らかさと体温を感じ、少しドキドキした。

 顔が首筋に近付いたこともあって、体臭も感じるが不快なものではない。


 綾が何やら感じている間に、丈太郎が昨日と同じ扉から新しいインナーコルセットを出してきた。

 友里恵のものより少し小さい。

 それを理沙の背中側に置くと、足元にあったケースの中に綾が並べた古いインナーコルセットの残骸を片付けて、手を使って水道の水で作業台の上を流し始める。


「私の仕事じゃないですか?」


 と綾が言うと、


「わざわざ交代して説明するのは面倒だ。明日からやってもらうから今日のところは見ていてくれ。」


 と言って全部流してしまう。


「少し水がかかるぞ。」


 と綾の足元の床も流す。

 確かに理沙のお腹から流れ出た血が溜まっていて、裸足で踏んだら気持ち悪そうだ。


「もういいだろう。」


 と言って反対側に回った丈太郎の手に力が入ったのに合わせて綾は力を抜く。

 理沙を寝かそうとしたら後ろに置かれたインナーコルセットが邪魔になったので、

 綾が取り上げた。


「ありがとう。もらおう。」


 と言われて、綾は手に持ったインナーコルセットを丈太郎に渡して理沙の足元に回った丈太郎のさらに後ろに回る。


 理沙の脚を開かせ、膣から畳んだインナーコルセットを入れた丈太郎は両腕を彼女の中に突っ込みインナーコルセットを伸ばす。

 後ろから見ていた綾は、丈太郎の太い腕が2本、肘まで理沙の小さな股間に入るのを見て、改めて苦しそうだと思った。


「頼む。」


 と言われて綾が丈太郎と入れ替わりに理沙の膣に両手を入れ、インナーコルセットの端を押さえると、反対側に回った丈太郎が彼女の脇の下の切開部から両手を入れ、インナーコルセットを引っ張る。

 目線を低くして理沙の陰部の向こうに見えるお腹の凹凸を確認していた綾は、


「どうだ?」


 と丈太郎に訊かれて


「問題ありません。」


 と答えた。


 少し幼児体型気味の理沙のお腹はメリハリが少ないので、少々角度が違っても影響しないのかもしれない。

 綾が顔を上げると、


「今度は大きい方を頼もうか。」


 と言って丈太郎が4本の注射器が載ったトレイを理沙の脇腹の横に置いた。


「この栄養剤は血液検査の結果から川田が作ったオリジナルブレンドだ。」


 何気に川田も仕事が多い。


 綾は自分の鼠蹊部を探り、参考にしながら理沙の白い鼠蹊部から大動脈を探り当て、大きな注射器で栄養剤を送り込んだ。


 丈太郎と一緒に、濡らした手で血の付いた理沙のお尻周りを拭っていると、丈太郎が珍しく言いにくそうに


「ちょっと頼みがあるんだが・・・」


 と話し始めた。


「昨日の黒木緑の検診で見たと思うが、姫の肛門は中で結ばれているだけで括約筋は緩んでいるから、どうしても生きている時と比べて周りの筋肉や皮膚が緩みがちになるんだ。

俺にはよくわかんのだが、ミュージアムスタッフの子たちに言わせると、姫には美尻が少ないらしい。」

「肛門の結び目を内側から引っ張ったらどうかと思うんだが、中に手を入れて引っ張れるのは処置室の中だけだから、よくわからん俺が見ても仕方がないし、そもそも自分で引っ張っていたら近くからしか見られないから尻の形自体わかっているかどうかも怪しいもんだ。」

「だから、肛門を引っ張ったらどんな感じに尻の形が変わるか確認する手伝いをしてもらえないだろうか?」


 綾は昨日見た緩んだ緑の肛門を思い出して、


「あれだけ緩んでたら違いがあるかもしれませんね。彼女たちが綺麗になれるなら協力します!」


 と力強く答えた。

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