第7話 友里恵②
「かなり臭うぞ!覚悟しておけよ。」
と言うと、丈太郎は先程切り開いた彼女の膣をさらに大きく切り開くと、その中に両手を突っ込んだ。
ゼリー状になった血が溢れ出す。
片手はメスを握ったままだ。
「先生、メスは大丈夫なんですか?」
と綾が尋ねると、丈太郎は一度右手を抜いて
「このメスはスイッチで刃を出し入れできるんだ。」
と実演してくれた。
丈太郎が腕を動かすたびに悪臭が強くなる。
先程回避した便の臭いではなく、何か生臭い臭いだ。
魚のものとも違う嗅いだことのない臭い。
「横隔膜を切るから、また臭いが変わるぞ!」
丈太郎の警告と共に、悪臭に新しい刺激が混じった。
今までに嗅いだことのある匂いとあまりに違うために、綾には何が不快なのかさえわからない。
「まずはいちばんの危険物からだ。」
友里恵の膣から端を結ばれた大腸が取り出される。
元々は筋繊維で繋がっていてまっすぐ取り出せる様なものではないのだが、丈太郎が手探りで解したらしく、口からバルーンを出すマジックの様に次々と腸が引っ張り出される。
血と脂にまみれた大腸に続いて小腸が出てくるが、分類上いろんな名前が付いているものの外観でわかるのは十二指腸ぐらいのものだ。
十二指腸の途中で、丈太郎はまた両手を突っ込むと食道の下部で切り離された胃を繋がっている食道を折り曲げた状態で引っ張り出した。
「この辺は死んだ瞬間から自分を消化し始めるから、ソーセージを作るぐらいしか使い道がないんだ。」
丈太郎の説明に人間の業の深さに呆れる綾である。
腸が作業台の下にある保存容器に納められても強烈な異臭は無くならない。
綾の表情に気付いた丈太郎は
「猟銃免許を持っている知り合いの鑑識官の話では、熊の内臓の臭いがいちばん近いらしいが、人間の方が肉を多く食っているせいか臭いらしい。この臭いを嗅いだらエターナルビューティーの会員になる気が失せるだろうな。」
何か喋ると吐き気がこみ上げそうになるため無言で頷く綾だが、同性なだけあって美少女に過大な幻想を持たない分、深く同意できる意見だ。
大量の腸を失ったため不自然に凹んだ友里恵の腹から腎臓に続いて子宮と卵巣が取り出される頃になると、綾の鼻も悪臭に慣れてきたせいか、もし自分が奨学金を受けていた頃に死んでいたら、友里恵の様に丈太郎の手で膣からお腹の中身を引っ張り出されたのだろうかと妄想を始めていた。
顔の赤い綾に気付いた丈太郎が少し更衣室で休むように勧めたため、綾は更衣室へ戻ってスツールに腰掛けようとして、自分の内股に伝う愛液に気付く。
「私も変態なんだ・・・。」
と呟いた綾だが隣の部屋で丈太郎が友里恵の死体を切り刻んでいると思うと興奮が抑えきれず、シャワーを使って自慰をしてしまった。
体の火照りが収まるのを待って処置室に戻ると、丈太郎が友里恵に抱きついていた。
「先生?」
と声をかけると
「もういいのか?」
と言いながら丈太郎が何かを持った血だらけの手を友里恵の脇の下を切開した穴から引き抜いた。
「声帯だよ。これを移植すると婆さんが少女の声で喋るんだ。」
綾が更衣室で休んでいる間に胴体の中の内臓の摘出は終わっていて、あとは眼球だけになった。
「いくら死体でも見栄えがいい方が仕事に身が入るから、いつも眼球は最後にするんだ。」
と言って、丈太郎はアイスクリーム屋さんで使うような器具で眼球を摘出した。
確かにいくら美人でも眼球を失った顔はちょっと怖い。
「残るは脳味噌の処理だが、これはかき混ぜて洗い流すだけだ。」
丈太郎は作業台の脇にある2つの蛇口を上に向けると俯せにした友里恵の頭の位置を合わせ、2つの蛇口が眼窩に入っていることを確認すると、彼女の後頭部を軽く小突いた。
「眼窩底は簡単に折れるんだ。」
と言うと友里恵の頭を蛇口1つ分横にずらして蛇口が嵌まっていない方の眼窩にアイスクリームスプーンの様な器具を突っ込んでかき混ぜながら眼窩に嵌まっている方の蛇口を開く。
水と一緒にとろとろになった白い脳味噌が流れ出すが、意外と匂いはしない。
流れ出す水が透明になったところで両方の蛇口から水を出し、頭の位置を戻して最後のすすぎを済ますと、
「これで急ぎの処置は終わりだ。続きは明日にしよう。」
と言って取り出した内臓が入った10個ほどの大きさの不揃いなケースを壁に作り付けられた扉の中に入れる。
これは壁の向こうからも出し入れのできる両開きの冷蔵庫らしい。
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