第2話 弱肉強食

 和正は風早かざはや神社に恋人の月子とやって来た。

『風早』という名称には、千葉常胤ちばつねたねの孫に当たる風早四郎胤康かざはやしろうたねやすが上本郷の地に館を設けて風早庄を治めたことから由来している。創建年代は不詳であるが、風早氏の居館跡に経津主命を勧請したことが始まりとされており、風早庄内119ヶ村の総鎮守として崇敬されてきた。


 戦国時代には、小金城主の高城氏より三百石相当の社地を受領し、時代が下ると徳川家康より五石の朱印地を寄進されて庇護されていた。また、旗本としてこの地を治めていた佐野氏からも寛文年間以来度重なる社殿修理に協力したことや1695年(元禄8年)9月の祭礼には神輿の寄進を受けたという記録もある。その後、1906年(明治39年)に明村の村社に指定される。

  

 松戸の獅子舞がこの神社では有名だ。

 市内大橋・和名ヶ谷・上本郷の3地区に伝わる獅子舞であり、三匹の獅子、太鼓、笛などで構成されている。五穀豊穣や悪霊退散を祈る行事として行われてきたが、その起源と由来は不明である。


 和正は高校時代の友人、前田康彦まえだやすひこの豪邸にやって来た。昔はもやしっ子だったが、今は豚みたいに太ってる。

 水槽の中にはデンキウナギがいた。

「強力な電気で周囲の魚を気絶させて食べるんだ。肛門が喉にあるんだ。デンキウナギは南アメリカ北部の河川に棲んでる」

 康彦は丁寧に教えてくれた。

 

 俳優の大次郎は名門・財津家の一員でありながらも、陰気な性格故笑いものにされていた。また、財津家の財政状況は当主、番太郎の乱費により悪化の一途を辿っていた。番太郎の妻で、大次郎の理解者である貴恵が死に、大次郎は番太郎に近づいたと期待したが、大次郎が望んだのは召使いとしての現実だった。大次郎はその申し出を断り、松戸での生活に戻る。大次郎はアパートで首吊り自殺を図ろうとする刑事の永野遥を見つけ、助け出す。

 大次郎は見返りとして彼女に恋人になってもらうことに成功し、有頂天になった大次郎は若王子剴わかおうじがいに恋人のことを話す。

 若王子は大学時代の友人だ。

「今まで苦労をしてきただけに、遥の存在はありがたいよ」

 バーで大次郎はソルティードッグに酔いしれていた。

 剴は大次郎に内緒で宝くじ売り場を訪れて、スクラッチを買った。同じマークを3つ揃えると当たりだ。🦁🦁🦁

 剴は飛び上がって喜んだ。 

 一千万が当たった!  

 剴はその若さと金で遥を篭絡し、間もなく2人は結ばれる。遥に裏切られ、激しい怒りを覚えた大次郎は復讐を誓う。


 大次郎は番太郎の息子でしっかり者の冴(婿に入り香川に姓が変わる)の相談に乗り金貸しを紹介してやるが、利息があまりにも高かったため、メイドらを解雇せざるを得なくなる。

 

 また、遥はヘッポコ刑事だった為に巡査部長から巡査に降格。信用を失った遥に、大次郎は超イケメンのライアンを紹介し彼に遥を誘惑してもらう。遥降格の件ですっかり気を落とした剴は、前田康彦に金を貸してもらうよう懇願し、友人の娘の頼みは断れないと彼は銀行に金を持っていこうとする。そこに大次郎が現れ、遥が借金話に激怒しているので、代わりに金を持っていくという。康彦はその話を信じて、大次郎に金を渡してしまう。


 大次郎の計画は着々と進んでいくが、ここで予想外の出来事が起こる。ライアンが遥を本当に愛してしまった。だが大次郎はこれを逆手に取り、ライアンが遥宛に書いたラブレターを偽造し、これを番太郎と若王子剴に読ませてやる。


 剴は急ぎ足で着替えに行き、番太郎は深刻そうな顔でやってきた冴の話など聞こうともせず、らいに会いに行く。番太郎の放蕩の後始末が手に負えなくなった冴はメイドらを連れて逃げ出す。

「親父は病気だ。精神科に行ったほうがいい」

 ライアンに会いに行った番太郎は彼が遥と激しく愛し合っているところを目撃し、ショックで気絶。

「スッゴい大きい♥」

「そっちこそ濡れてるじゃないか」


 なんとか一命をとりとめたものの番太郎は下半身不随の廃人と化してしまう。前田康彦が貸すといった金がなかなか手に入らない剴は彼から大次郎の話を聞き、彼は大次郎に問い詰める。大次郎は、金は遥が持って行ったと話す。

「とても刑事とは思えない」

 頭に来た剴は遥を殺そうと拳銃を持ち出すが、歩道橋の上で誤って車椅子の番太郎を殺してしまい、彼は逮捕される。



 

 

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