詩「四方八方敵だらけ」

ふるなる

四方八方敵だらけ

 透明

 無色

 むご

 慄く

 見えない敵が見える

 見える?

 消せないモンスターが

 四方に八方に

 上に下に

 既に包囲


 誰もそれに気づいちゃない

 誰もそれが見えちゃない

 隙を見せりゃ襲われるので

 私は瞬きもできはしない

 誰にも秘密それを言えちゃない


 誰にも心を開かないようにして

 誰にも秘密はバレないようにして

 日々を生きている

 今を流していく

 無愛想にならないようにして

 オルターエゴで演じていて

 日々を演じている

 みなを騙していく



 幽霊

 リアル

 安く

 死ねる

 消えたい私が見える?

 見えない?

 消したい過去が

 四方に八方に

 上下に

 無下にできない


 誰も本当の私を知っちゃない

 私も本当の私を覚えちゃない

 好きになった人には晒したい

 私を好きになってくれる

 今はそんな人は誰もいない


 誰にも心を開かないようにして

 誰にも秘密はバレないようにして

 それで時間がかかる

 そのせいで私は遅い

 変化で素が現れないようにして

 常にいつもができるようにして

 それで変化を恐れる

 そのせいで毎日同じ

 誰かの後ろを歩いてた



 LINEを開いてして

 返信しようと考えたりして

 いつしかアプリを閉じていて

 私がバレるのが怖いから


 そういやさ?

 私ってさ?

 何で心を閉じてんの?

 もう一人の私はいつからいるの?

 どうしてこうなってるの?



 誰にも心を開かないようにして

 誰にも秘密がバレないようにして

 そういう風に過ごしていた

 いつの間にか、ね

 四方に八方に見えない敵がね

 上にも下にも見えない敵がね

 いたから

 油断も隙もなかったんだ

 見せられないから

 オルターエゴを作ったんだ



 見えない敵の正体は

 四方八方上下にいるそいつは

 私自身だった

 有象無象の誰かに人に

 怯えた私だった


 もう変わった方がいいのかな?

 変わりたいという気持ちが一ミリあるよ

 私は変われるのかな?

 木霊こだまが響いた

 変われるよって──

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