第二十四話 暴走ジンビーストマックス(笑)
それは予想外だった。『斬撃無効』なんてスキル、俺の倒した世界の魔王すら持っていなかったからだ。
「ちくしょう。そんなスキルをなんでゴブリンなんかが」
悔しくて、悔しくてたまらないのにまだイチャイチャしているゴブリン二人が視界に入る。
イイナァ。ウラヤマシイナァ。タノシソウダナァ。
リア充のリア充っぷりに、俺の中にあったドス黒い何かが溢れ出し、それは俺の体半分を覆い尽くした。
なんだこの闇は。体半分からどんどん殺意が溢れてくる。
「なんだか最高にハイになった気分だ」
俺は聖剣を強く握り。バッ○マンに出てくるジョー○ーのように笑いながら。
「ヒャハハハ。こうなったら二人まとめて地獄に落としてやるぜ。リア充どもおおおおお!」
殺人鬼のような気分で一番斬りがいのありそうなガーディアンゴブリンの丸太のような太い首を狙い、包丁で刺すように聖剣を持って走った。
「ガーくんだめ、そこはぁあんっ」
戦闘中なのに二人の世界に入っていたランサーゴブリンとガーディアンゴブリンだったが、胸を揉まれていたランサーゴブリンが恥ずかしさのあまり顔を横に向け、そして俺が聖剣を持って近づいていることに気が付き。
「っん!? ガーくん危ない!」
「ぬう!? 我らを守れ『ゴブリン金剛盾』」
ガーディアンゴブリンが右手を前にだすと、俺の前にあの巨大な盾が意志を持った門番のように立ち塞がる。
「ヒャハハハ邪魔だあああ!」
ATK値+90000の聖剣で、ATK値+15000の『ゴブリン金剛盾』を刺す。
数値だけで見たら俺の方が圧倒的に有利な展開だ。
案の定聖剣はあっさりと盾を斬り裂き、次にガーディアンゴブリンの首を斬り落とすつもりだったが。
「ガーくんはやらせない」
ランサーゴブリンが槍先を俺の心臓の位置に動かしてあったため、野生の本能的で危機を感じ、攻撃をやめて一旦距離をとった。
「チッ、あと少しダッタノニナァ」
「危なかったねガーくん」
「助かったぞランサーゴブリン」
「どういたしまして。お礼に」
「……うむ」
俺が見てるのにまたチュッチュッしあうゴブリンの二人。
「イイナァ」
リア充の連続キス行為に、俺の殺意はほぼほぼMAXまで高まる。そのせいか今の俺は俺を完全にコントロール出来ない状態になっていた。
ミ○トさん、俺殺るよ。目の前にいるリア充をこの世から抹殺してみせる。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。ニゲチャダメダアアアアア!
「ウアアアアアアアア!」
俺の咆哮でバトル漫画のように衝撃波が発生し、辺り一面が震えた。
「何今の衝撃」
「ヒ、ヒヒヒ、ヒャハハハ!」
今度は俺の笑いが夜の平原に響いた。
「怖っ!? アレは本当にさっきの人間なの」
「そのようだ」
「なんだかやばくない」
「やばいな。
ランサーゴブリン、我らであの狂った人間を倒すぞ」
「共同作業ってことだね。いいよ。ガーくんと一緒なら私、狂った化け物が相手でも戦える」
恋人繋ぎをしながらランサーゴブリンとガーディアンゴブリンが俺を見て何やら覚悟を決めていた。
手ツナイデル。ラブラブ。ウラヤマシイ。
「離セェ。ソノ手ヲ今スグニ離セエエエエエ!」
殺人鬼のような気迫で聖剣を持ちながら二人のゴブリンへと全力ダッシュする。
「来るぞランサーゴブリン!」
「うん!」
繋いでいた手を離し、ガーディアンゴブリンは斬られた盾の代わりに両腕をクロスし、ランサーゴブリンは槍を構えた。
「ヒャハハハ!」
俺は走った勢いを殺さないままノーモーションで夜の空高くジャンプした。
「「なにっ!?」」
正面から攻めてくると思っていたゴブリン二人が驚きながら上を見上げる。
盾ヲ失ッタ今ガチャンスダ。二人マトメテ地獄ニ送ッテヤル!
背中を月に照らされながら、それに負けない輝きを聖剣から放出し、呆気に取られたリア充どもへ年齢=彼女無し(天使との結婚は認めていないのでノーカン)の男による必殺技をお見舞いする。
「死ネェ『シャイニング・スター・スラッシュ』」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます