第九話 なんとか…なってねぇええええ!
「俺様もいる事を忘れるな『ゴブリンインパクト』」
「!?」
キングゴブリンの剣を間一髪ギリギリのところでかわし鎧に傷がつく程度で済ませたミイナだが。
「これでもくらいなさぁい『ゴブリンキャノンフレイム』」
「うぐぅ」
ゴブリンナイトメアが杖からドラゴンブレスレベルの炎を放出しそれをミイナはまともに喰らった。
「ミイナ!」
「大、丈夫『ホーリーバニッシュ』」
全身から光を放出して火を振り払ったがかなりのダメージはあったようで肩で息をしながら膝立ちした。
ナイトメアゴブリンはキングゴブリンの腕に手を回しながら。
「この程度の攻撃でもうバテたのぉ。アナタがワタクシを呼んだから苦戦してると思ってわざわざ来たのになんだか拍子抜けだわぁ」
「ふん。俺様もお前なんぞ呼びたくながったが上位の勇者相手に万が一があってはいけないからな」
「うふふ。相変わらず慎重なのねぇ。そんなアナタが私は好きよぉ」
「寝言は寝て言え」
「つれないわねぇ。一晩過ごした仲でしょ」
「そんなもの忘れた」
「照れちゃって」
ナイトメアゴブリンがキングゴブリンの頬をつつく。俺はミイナがヤバい状況っていうのにステータスを見ていたせいか今の会話を聞いてベッドで絡み合う二人を想像してしまった。
あの二人やっぱそうゆう関係か。でもナイトメアゴブリン《経験人数》6人だから他にもしてるんだよな。
「いつまでイチャイチャしてるつもり」
ミイナが剣で支えながら立ち上がる。
『よかった』そう思う俺だったがミイナの足が震えているのを見て『やっぱりよくねえ』と考えを改めた。
「諦めろ勇者よ。お前はもうここまでだ」
「ワタクシ達四天王二人相手にするだけでも褒めるとこだけどもう楽にしてあげるわぁ」
ゴブリンキングとナイトメアゴブリンがオーラと魔力を体から放出する。
離れている俺の肌にも鳥肌が立つレベルのオーラと魔力にミイナは怯むも。
「この街を守る領主の娘としてアンタ達に負けるわけにはいかなのよ!」
ミイナの鎧が二人のゴブリンに負けないくらい神々しく輝いた。
「ほう」
「あらぁ。まだこんなに力を隠してたのねぇ」
「当たり前じゃない。私は勇者なのよ」
ミイナが剣先をゴブリン二人に向けた。その先には今まで以上に光が集まっていく。
「懲りない奴め」
「面白いわぁ」
キングゴブリンとナイトメアゴブリン二人の前に魔法陣が浮かび上がる。まさか合体攻撃をするつもりか。
「これで決めるわ『ホーリーライトキャノン・フルバースト』」
Wガン◯ムのバスタ◯ライフルクラスの凄まじい光の殺戮光線がミイナから発射された。
「「消え(ろ)(なさぁい)『ゴブリン(キング)(ナイトメア)エクススロージョン』」」
キングゴブリンとナイトメアゴブリンの魔法陣からドス黒い魔力の塊が発射され、ミイナの殺戮光線とぶつかった。
「うぐぐ」
「「はあああああ!」」
僅かながらにミイナが押されている。
ヤバい。あんなの喰らったらミイナが、ミイナが死んでしまう!
「こうなったら」
俺は覚悟を決めた。
「ミイナが殺されるくらいなら俺は――!」
吐き気を必死で堪えながら相棒の聖剣を召喚し拮抗している間を狙って。
「今助けるぞミイナ! 『シャイニング・スター・スラッシュ』」
ズドオオオオ!
俺の一撃は二つの攻撃にぶつかって跡形もなく消滅させた。
「ジン!?」
「バカな!?」
「嘘でしょ!?」
想定外の横槍にゴブリン二人は俺を宇宙から来たエイリアンを見るような目で見てきた。
「その剣にその力。まさかあなたがぁ?
でもぉ天使どもから送られる勇者は二人もこれないはずよぉ。ならどうして――」
「あの威力。まともに喰らったら俺様とて今のは……」
混乱してる今なら!
俺は聖剣を構えて聖剣の力を解放した。
「「!?」」
ゴブリン二人は聖剣から発せられる聖なる光を見てようやく俺を危険視し始めた。
正直もう剣を振るほどの力はないが頼む。今だけでも俺のハッタリにかかってくれ。
俺の願いを聞いたようにミイナが。
「ようやくアイツらを滅ぼせる力が溜まったようねジン」
「何!?」「何ですって!?」
「アンタ達なんか私の旦那様にかかれば瞬殺なんだからね」
ミイナの言葉にゴブリン二人は。
「……今日ここまでだ」
「そおねぇ。これ以上はただでは済まないかもぉ『ゴブリンワープ』」
ナイトメアゴブリンが空間に次元の扉のようなものを開いた。
「あら。私達から逃げるつもり」
「3日後の夜にまた来る。次に会うときがお前達の最後だと覚えておけ」
「そうゆうことぉ。じゃあね可愛い勇者様とその旦那様ぁ」
ゴブリン二人は次元の扉の中へ消えた。
それを最後まで見届けてしばらく経ってからミイナは。
「やった……よかったああああぁ」
緊張が解けて息を思いっきり吐きながら汗だくで四つん這いになり地面に崩れた。
「正直もうダメだと思ったわ。こうして私が生きてるのもジンのおかげよ。ありがとう。お礼にキスしてあげ――」
オロロロロロロ。
我慢の限界を越えた俺はその場で嘔吐した。
「――ようと思ったけどやっぱり無理だわ」
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