第13話 想い
「あれ…?…私……」
「憐花さん」
「…高希…君…?」
「かすり傷で済んだ。気を失っていただけ」
「…そっか…私…生きてたんだ…」
「…憐花さん…」
「ごめん…ありがとう。彼女大丈夫だった?誤解させたよね。私の事は良いから彼女の所に戻って。私は平気だから…」
「憐花さん、誤解です。彼女は妹だよ」
「えっ…?」
「先走り過ぎ!まあ、俺が待ち合わせ場所に現れなかったからのが、いけなかったんだけど…」
「………………」
「…妹を呼んで、お互いを紹介するつもりで、ホームパーティーする予定だったんだよ。憐花さんと待ち合わせしたのも寄りたい所があったから…待ち合わせして、憐花さんと一緒に行く予定だったんだ…予定が狂ってしまって…待ち合わせ時間に行く事出来なかった信じて欲しい…」
「……………」
「憐花さん…信じてくれない…?信じられない…?」
「………………」
嘘じゃないって分かっていた。
こんなに悲しく
淋しい表情をする高希君が
嘘をついているわけないって――――
――― だけど ――――
「…そっか…それが…君の答えなんだね…分かった…これ以上は何も言わない…帰るよ…」
「…ごめん…高希君…」
「仕方ないよ。言い訳にしか聞こえないんだろうし」
帰り始める高希君。
涙がこぼれ泣きそうになった
自分が受け入れられない思いに―――――
私はぼんやりと窓の外を見つめながら口を開く。
「…ねえ……高希……。私…あなたとイブ…過ごせると思って…正直嬉しかった…。…でもね……私…もう26だし…すぐ、おばさんになっちゃうし…自信なんて全然なくて…だけど…あなたに…伝えたい事があったんだ…」
「……何…?」
「…私…あなたが…好き…」
振り返りながら言い終える前に、キスされた。
ドキン
胸が大きく跳ねる。
そして唇が離れ私を見つめる高希君。
「憐花の想いが要約聞けた。やっと素直になってくれたね」
ドキン
《今…名前…呼んでくれた…?》
「…高…希…」
「…それじゃ…」
それだけ言い残し高希は何も言わず病室を後に出て行き始める。
「高希っ!待って!」
高希の背中に向かって呼んだ。
だけど高希は振り向く事なく
足を止める事もなく
静かに病室を出て行った。
ねえ高希
そのキスの理由は何?
何も言わずに去るなんて
やっぱり私は
あなたにつりあわないの…?
病室の外の廊下には、まだ、高希の姿があった。
高希は病室の扉に寄りかかり――――
「…憐花…俺も好きだよ…今日は、キス以上は何も言わないけど、俺の気持ち改めて言うから」
高希は帰って行った。
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