第8話 フレンドデート
「憐花さぁ〜〜ん、待って下さぁ〜〜い」
「しつこいってば〜〜〜、勘弁してよぉ〜〜〜」
とある合コンで、私と同じ類いの人が参加していた。
そんな私の今日は、酔わないようにと決心していた為、まさか、そんな時に限って同じキス魔か参加者にいたなんて知るよしもなかったのだ。
その相手から、合コン後、かなり気に入られてしまい、しつこく後を追われている状況なのだ。
――― 一方では……
「高希くぅ〜〜ん、待ってよぉ〜〜」
「冗談きついって〜〜」
どうやら彼女も似た類いなのだろう?
同じように追われる姿があった。
お互い、そんな事も知るよしもなく近くの同じ公園に来ていた。
次の瞬間 ――――
ドンッ
誰かとぶつかる。
「きゃあっ!」
「うわぁっ!」
「「すみません!」」
二人同時に口を開き謝る。
「「あっ!」」
「高希君っ!?」
「憐花さんっ!?」
同時に口を開き、お互いの名前を言い合った。
そして―――
「憐花さぁ〜〜ん」
「高希くぅ〜〜ん」
私達の名前を呼ぶ声。
グイッと私の手を掴まれたかと思うと、力強く引っ張られ、木の影に隠れバレないように深くぎゅうっと私を抱きしめるようにされた。
「ちょっと我慢してもらって良いですか?憐花さん」
ドキッ
耳元で言われる聞き覚えのある私の心臓は大きく跳ね、ドキドキと加速していくと同時に顔が熱くなったのが分かった。
《高希君の声…》
「憐花さぁ〜〜ん」
「高希くぅ〜〜ん」
私達の前を、お互いすれ違うように名前を呼びながら走り去って行くのが何となく分かった。
正直、冷静な判断は出来ていないだろうけど……
パニックに近い位、私の胸はドキドキしていたのもあるからだ。
「…行ったようですね」
「………………」
「一体、何があったんですか?」
「………………」
「憐花さん?」
「えっ?あっ!ごめん…」
と、のぞき込むようにしている高希君に気付く事なく、顔を上げる視線の先には至近距離にある顔に更に胸が大きく跳ね上がった。
「わわ…」
私は押しのけるようにする。
「ち、近い…」
「えっ…?」
「こ、高希君の顔が…」
「あ〜…で?何があったんですか?」
私は説明をした。
「そうだったんですね」
「うん。そういう高希君は?」
「俺も同じですよ。まぁ…憐花さんとする分は良いんですけど…違う人だと何か抵抗あって…」
「そう?」
「はい」
「………………」
「だけど、珍しいですね?憐花さんが酔っていないなんて」
「えっ?」
「本来なら、その相手とキス位、いつも平気で出来るはずなのに」
「それは…。でも、今回は酔わないって決めてたから」
「へぇ〜…何か心境の変化ですか?それとも気になる人がいるとか?」
「いませんっ!さてと帰ろうかな?ありがとう!助かった。それじゃ、お先」
帰り始める私。
グイッと引き止められた。
《えっ?》
私の体は半回転し、私の唇に高希君の唇が重なった。
唇が離れ。
「先に帰るとか寂しい事言わなくても、一緒に帰っても良いでしょう?憐花さん」
「えっ?…それは…」
見つめ合う私達。
私は耐えれず、背を向ける。
スッと背後から抱きしめられた。
ドキン
「高希…君…?」
ゆっくりと振り向く私の唇に再びキスをされる。
そのキスは長く、何処か、お互いの心を許した瞬間のキスだった。
唇が離れ、私達は向き合うと同時に、高希君は抱きしめ、私も、それに応えるかのように抱きしめ返した。
好きとか
嫌いとか
そんなの抜きに
今の
この関係を
ゆっくりと築いていきたい
年下なんてと
思っていた私の心は
彼に出逢い
変わり始めていた
―――― あなたの事
本気になりそう ―――――
もし本気になった時
友達としてじゃなく
恋人として
私と付き合ってくれる?
――― そう ―――
一人の男と女として………
ある日の事――――
「憐花さん、今度二人きりで出掛けませんか?」
「えっ?私と?…いや…でも…」
私の唇を人差し指で軽く触れる。
ドキン…
胸が高鳴る。
「おばさんなんて台詞は聞き飽きました。もっと自信持って下さい。憐花さん」
「…だって…」
「出掛けてくれますよね?絶対ですよ!」
「…本当に…私で良いの?」
「良いですよ。駄目とか嫌なら誘いませんから」
「そっか…」
私達は出掛ける事にした。
そして当日。
「あっ!憐花さん、俺の車の運転で助手席乗って出掛けるの初めてですよね?」
「あっ!そうだね!言われてみれば確かに」
私達は色々話をしながら出掛けた。
その日の夜。
「今日はありがとう!良かったらあがって」
「いいえ。今日は辞めておきます」
「そう?遠慮しなくても良いのに」
「お言葉は嬉しいのですが……今日の俺……」
「うん、何?」
「…Hな気分なので……」
「えっ!?」
グイッと引き寄せられたかと思うとキスをされたかと思うと深いキスをされた。
優しい眼差しで見つめる高希君の表情にドキドキしながら胸がざわつく中、また不意にキスをされ吐息が洩れてしまった。
「…憐花さん…反則ですよ…」
熱っぽい眼差しの高希君に再び私の胸はざわつく。
「…か、帰ります。おやすみなさい」
高希君は車を走らせ帰って行った。
「…Hな気分って…別に良かったのに…って…私…何言って…」
だけど淋しく感じるのは
あなたともう少し一緒にいたいと
そう思ったからなのかもしれない
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