第7話 あなたと

「高希君♪」



4人で飲んでいる時の事、私はいつもの様に酔っ払い、自分から高希君にキスを求めた。


「珍しいー、高希君にキス要求?」と、衣千子。


「大胆じゃん!」と、瀏遠君。


「だって二人共キスしてくれないから〜」



甘えたように言う私。




「まあ、確かに」と、衣千子。


「俺達の唇は二人だけのものだから」と、瀏遠君。



「ほら!そう言うでしょう?…あっ!でも、高希君は私じゃ不満だよね?だって、25歳のおばさんだから、やっぱり若い子の方が良ぃ…ょ…」




グイッと引き寄せ、唇を塞いだ。



ドキッ


胸が大きく跳ねる。


そして唇が離れる。



「そんな事ないですよ」



ニコッと微笑む高希君に再び胸が大きく跳ねる。




「二人って、お似合いなんじゃない?」と、衣千子。



「「えっ?」」



同時に口を開く。




「本当、二人がキスしているの目の当たりにしてるから分からないけど、良い意味で、お似合いかもな」



瀏遠が言った。




「この際、憐花、高希君と付き合ったら?年下だからって気にしなくても良いんじゃない?」



衣千子が言った。





「そ、そんなの…お互い選ぶ権利あるし!第一、それとこれとは違うから」


「またまた〜」



私達は騒ぐのだった。






ある日の事。




「あれ?高希君?」




偶々、寄ったバーに一人で飲んでいる高希君の姿に私は迷わず声をかけた。




「あれ?憐花さんじゃないですか?」

「高希君、一人?」

「…はい…」

「酔ってる感じ?」

「…それなりに…」

「…何かあった?」

「…優しくされると…甘えちゃいますよ…」




《…可愛い…》




普段見る事もない高希君の姿に、つい可愛いと思ってしまった。




「私で良ければ甘えて良いよ」

「マジに取っちゃいますよ…俺…」

「どうぞ」



「………………」



「その前に…その髪型…」

「えっ?髪型がどうかした?」

「俺…初めて見た気がするんですけど…何かあったんですか?」

「うん…まあ…友達にどうしても来てって誘われて合コンに…」

「…合コン?…何だよ…それ…」



ちょっとイジケ気味にも聞こえる口調に続き、そのまま高希君は話を続ける。



「憐花さん…お楽しみの帰りだったんですか?…髪型が違うと…ガラリと変わるんですね…。お目当ての人は?カッコイイ人いたんですか?」


「う〜ん…どうかな〜?まあ、そこそこカッコイイ人はいたよ」

「…キスは?」

「…それは…した…かなぁ〜…」



「……………」



「妬く?…な〜んて…そんな訳…」




グイッと私の手を掴み引き寄せると、キスをされた。




ドキーーッ



まさかの突然の出来事に胸が大きく跳ねた。




唇はすぐに離れ、至近距離で



「妬く……」




ドキッ


再び胸が大きく跳ねた。




「…って言ったら?」


「…えっ…?」



私の胸がドキドキ加速する中




「…な〜んて…ちょっと意地悪言ってみました!」



ニコッとおどけて見せる笑顔と微かに微笑むような表情に私の胸は、大きく跳ねた。




「と、年上をからかわないのっ!」

「怒ちゃいました?」

「お、怒るも何も…」

「第一、憐花さんも年下の俺をからかうじゃないですか」

「それは…」

「どうぞ!座って下さい!今から俺だけ憐花さんを独占しますから付き合って下さいね」




微笑む高希君に再び胸が大きく跳ねた。





《ず、ズルい》

《ていうか…その笑顔とか反則!》




私の胸はざわつく中、私達は肩を並べてカウンターで飲む。


私に愚痴をこぼし、高希君は酔い潰れ、私は自分の部屋に連れて帰る事にした。


スヤスヤ寝息をたて気持ち良さそうに寝ている高希君を見つめる。




「弟みたいな存在だけど、時々、大人の男の人だなぁ〜って思う時あるんだよね…ドキッとさせられる事、何度あっただろう?」



私も眠くなり高希君が寝ているベッドの隣で顔を伏せ眠っていた。




「んー……あれ…?…俺……」




高希君がふと目を覚まし辺りを見渡す。


そして眠っている私に気付く。


そんな事など知るよしもなく、私はスヤスヤ寝息をたて眠っていた。




「あ…そうか…昨日…」




眠っている私を優しい眼差しで見つめる高希君の姿がある。


ふと横に向きを変えた私の顔をのぞき込むように




「憐花さん…あなたは、とても素晴らしい大人の女性だよ…。あなたは、おばさんなんかじゃないから、もっと自信を持って俺に頼って」




そう言うと優しく、そっとキスをさた。




「あなたの事…本気になった時…どう対応してくれる?」







二人の距離は


少しずつ


少しずつ


縮まっていた






―――― 次の日





「んー…」




目を覚ます私。





「あれ…?…高希君…?」




ベッドの上に寝ているはずの高希君の姿がなく、私は辺りを見渡す。





すると――――




「あっ!おはようございます!憐花さん。キッチン勝手に借りました」




テーブルの並ぶ朝食。


朝の美味しい香りが部屋中に広がる。





「これ…高希君が…作ったの?」


「はい!…すみません、冷蔵庫の中のを適当に使わせて頂きました」


「す、凄いかも…。私よりも料理上手だったりして…」


「そうですか?」




 《…料理の出来る男の人って良いよね?》




「あっ!今、何か考えましたね」




ギクッ



「えっ!?う、ううん!な、何も考えてないよ!」


「本当ですか?」


「ほ、本当です!」


「動揺してますよ」


「し、してないから!」




図星で胸の内を当てられ焦るものの、からかわれる中、私達は騒いでいた。







































  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る