第5話 ドキドキの誘惑
そんなある日の事――――
「あれ?また飲んでいるんですか?」
ビクッ
突然の声に驚く中、振り返る視線の先には見覚えある顔。
ドキッ
胸が大きく跳ねる。
「…高希君…」
《あの日以来だ。どうしよう?》
「隣座りますよ」
「駄目!」
「えっ?連れいる感じですか?」
「…いないけど…」
「まさか気にしてるんですか?」
「えっ?」
「この間の事」
「………………」
「図星…」
「………………」
「気にしなくて良いって言ったじゃないですか?」
「そう言われても…」
「………………」
「じゃあ考え方変えて下さい」
「えっ?」
「俺に恋愛出来るように憐花さんが協力してくれませんか?」
「えっ!?」
「ゆっくりで良いので。お互い気軽に話が出来たり、こうやって肩並べて飲んだりして…憐花さんも年下の俺が嫌なら嫌で構いませんから仲良くしませんか?飲み友達で良いので心開き合いましょう!」
「…それは…」
「友達なら良くないですか?恋人同士じゃなくて、今は付き合うとか付き合わないとか、そういうの一切抜きにして友達になりましょう!俺、もっと憐花さんと仲良くなりたいです」
ドキン
違う意味で胸が大きく跳ねる。
「それでも駄目ですか?…まぁ…強制的にしようとは思わないですけど…でも…身近な異性って憐花さんしかいないんですけど?共通な友人いるし…」
「わ、分かった。分かりました!」
「ヤッター!」
ドキッ
無邪気に喜ぶ高希君が可愛く見えてしまい胸が大きく跳ねる。
「一歩前進した!」
《反応が反則じゃない?》
《年下ってこんな感じなの!?》
「………………」
「どうかしました?」
「ううん…べ、別に…」
顔を反らす。
「あっ!もしかして年下って良いかも?とか思ったりしたとか?」
「し、してません!反応に困ってるの!」
クスクス笑う高希君。
「な、何?」
「憐花さん、まだ俺の事、良く知らないから。今、こんな状態なら先々、どうなるんですか?」
スッと片頬に触れる。
ドキッ
胸が大きく跳ねる。
「憐花さんの事、本気にさせちゃおうかな?」
ドキッ
「…えっ…?」
「…な〜んて…言ってみる?」
スッと触れた頬から手が離れる。
「意地張らなくて良いですよ。自分の気持ちに嘘はつかないで下さい。ちなみに俺は思うまま行動するので、キスしたくなったらするかもしれません」
ドキッ
「えっ!?こ、高希君っ!?」
かああああ〜っ!
「…憐花さん…その反応可愛すぎですよ!どれだけ純粋(ピュア)なんですか?」
「もうっ!年上からかわないで!」
ポンと頭をされた。
ドキッ
「お互いの年齢関係なく、特に憐花さんはありのままでいて良いですから」
私達は話題を変え飲む。
そして私は眠りに入ってしまった。
「あーあ、寝ちゃった。本当、相変わらず。だけど、これってある意味安心してくれてるのかな?……すみません。彼女の分も一緒にお勘定お願いします」
俺は彼女を連れ、店を出る事にした。
俺の部屋に連れて帰るとベッドに乗せ離れようとした次の瞬間、憐花さんに抱きつかれてしまった。
「んー…」
そして目を覚ます。
「きゃああっ!」
「うわあっ!ち、違いますよ!これは何しようとかじゃなくて……」
お互い慌てて離れた。
「………………」
「ご、ごめん…私…」
「い、いいえ」
コーヒーを作りにキッチンに向かう高希君の姿。
「ご、ごめん…。何かいつもお世話になりっぱなしだね」
「大丈夫ですよ。気にしないで下さい。お陰様で慣れました。同じ方向の帰り道とはいえ俺の部屋に連れて来る事しか出来なくて」
「そうだったね。あっ!お金」
「えっ?」
「いくらだった?出してくれたんでしょう?」
「あー、大丈夫ですよ」
「いやいや。駄目だよ!貸し借りしたくないし」
私はバッグから財布を取り出す。
スッと手で止められた。
ドキン
「じゃあ交換条件しましょう!」
「えっ?」
「今度一緒に飲む事になったら憐花さんの部屋に連れて行って下さい!」
「えっ!?」
「それが交換条件です」
「………」
「それは…」
「どうしますか?」
「…分かった…じゃあ交換条件で」
「やった!」
無邪気に喜ぶ高希君。
私達は色々と話をしていた。
それから一ヶ月が過ぎたある日の事――――
「高希君、起きて!」
4人で飲んでお開きになる時だった。
「んー…」
「珍しいな…。コイツ何もない時に酔っ払う事ってないのに」
「じゃあ、私、お持ち帰りしようかな?」
「えっ?憐花…お持ち帰りって…」
「いや…だって私いつもお世話になりっぱなしだし」
「じゃあ、お願い出来るかな?」と、瀏遠君。
「うん、任せて!」
私は初めて高希君を部屋に入れる事にした。
多分、彼なりの計算だったのだろう?
だって他に理由はない気がするから……。
ドサッとベッドに高希君をおろす。
そして離れようとした次の瞬間。
私に抱きつく高希君。
ドキーン…
《わ、わ…これ…前回の逆パターン…》
「ちょ、ちょっと…」
どうしようかうろたえる私。
「んー…」
目を覚ますかもしれないと思う状況になり、離れようと必死だった。
「うわぁっ!」
「きゃあっ!」
目を覚ました高希君は慌てて離した為、私自身も勢い余って転びそうになる。
「あっ!憐花さんっ!危な…っ!」
ドサッ
私達は勢いで転ぶ私。
「大丈夫ですか?」
ドキーーッ
至近距離にある高希君の顔に胸が大きく跳ねた。
「あ…うん…」
「良かった」
そう言うと離れようとする高希君を引き止める。
「憐花…さん…?」
「えっ?あっ!…ごめん…あの…」
キスをする高希君。
ドキッ
胸が大きく跳ねる。
「駄目ですよ、誘惑するような行動は。年下とはいえ男だって事忘れないで下さい。マジにとっちゃいますよ。憐花さん」
「…ごめん…」
「帰ります」
「大丈夫!泊まっていって。都合悪い?」
「いいえ。大丈夫ですよ。じゃあ、お言葉に甘えて良いですか?」
高希君は泊まる事にした。
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