第3話 キス~Kiss~
それから数ヶ月が過ぎ、衣千子との合コンは相変わらずだった。
でも、衣千子は最近、年下の彼、木元 瀏遠(きもと りゅうえん)さん。23歳の相手とゆっくり付き合ってみようかなぁ~?とボヤキつつある。
優しくて、一緒にいると安心出来るとか?
どうやら度々、出掛けたりしているみたいだけど……
「ねえ、憐花。今度4人で飲みに行こうよ!」
「えっ?4人!?」
「うん。高希君と瀏遠君の2人と私達で。どう?駄目かな?嫌?」
「別に駄目でも嫌でもないよ。別に良いよ」
「良かった。じゃあ決定ね!ちなみに高希君は年下だけど大人なんだから偏見しないで仲良くしなよ。高希君、可哀想だよ」
「分かってるけど…」
「まあ憐花は年下は自分と釣り合わないとか思うんだろうけど恋愛には年齢差なんて関係ないと思うよ。もし憐花がそう思うなら高希君も気にしちゃうんじゃないかな?」
「………………」
そして当日。
「キ~ス~ぅ♪」
「今日は駄目~っ!」
「ええーっ!?どうして?」
「駄目なものは駄目~!」
「衣千子の意地悪!いつもならキスしてくれるのに…」
私はイジケると、そのまま眠りに入った。
数時間後。
「んー……あれ…?私…」
「憐花さん、目覚めました?」
「…高希君!?…ごめん…私…」
「良いですよ。2人に任せられたので」
「任せられた?…ごめん…迷惑かけちゃったね」
「大丈夫ですよ。気にしないで下さい!2人には幸せになって欲しいので」
「…そっか…確かに2人には幸せになって欲しいかな?」
「そうですね。それより憐花さんって年下って苦手なんですか?」
「えっ?」
「聞きましたよ!衣千子さんから。理由があるから恋愛対象にならないんですよね?」
「あ…うん…」
「その理由は?年下だから頼りにならないとか?後は自分をさら気出せないとか…そんな所でしょうか?」
「まあ…。…正直、自分が年下に甘えるのは想像…つかない…かな…?」
「そうなんですね」
「だから私に恋しても無理だと思う」
「ハッキリ言いますね?会ってまだ数ヶ月なのに」
「数ヶ月だからこそ早目に言っておかなきゃ!」
「じゃあ、もし俺が憐花さんを好きになったら苦労しそうですね」
「うん、すると思うよ。振り向かせるのに苦労するよ~。それに私が高希君を好きになる保証ないし」
そう……
これが当たり前だった
友達として
ただ話して
その時間を
普通に過ごしていた
それから4人で集まって飲む事が増えてきた。
そして……
瀏遠君と衣千子が付き合い始めた。
そんなある日、4人で飲んでいる時、高希君の飲むペースが早く、酔っ払う高希君の姿が………
「高希?」
「…ん…」
「あーあ…眠っちゃったよ」
「高希君、何かあったの?」
私は尋ねた。
「ちょっと仕事でさー」
「そっかぁ」
衣千子と私は言った。
「こっちに来る時、とことん飲むって言ってたしな」
「飲んで忘れるってやつだね?」と、衣千子。
私達は自分達の失敗雑談で盛り上がる。
そして……
「衣千子ぉ~♪。瀏遠く~ん♪」
「あっ!そうだった…」
「そう言えば憐花…」
2人は私のお酒癖をハッと思い出したように
「キ~ス~ぅ♪」
「「お預け~」」
2人が声を揃えて言った。
「ひど~い…!…2人が付き合っているからって……」
私は残念がる中、膨れっ面をする。
「だって!お互いの唇は私達2人だけの唇だも~ん」
「「ねえ~」」
2人は再び声を揃えて至近距離で言い合いながらも、チュッと軽いキスまでをも見せ付けられた。
ラブラブ感を見せ付けられる感。
羨ましいけど
幸せになって欲しいけど
この対応に淋しさを感じた。
「…ズルイ…!2人が付き合っているからって~!しかもキスのオマケつきぃっ!?ラブラブオーラ全開なんですけどっ!もう何なの~?」
次の瞬間!
グイッと私の腕を掴まれ、頭を寄せられると私の唇が塞がれた。
ドキーッ
突然の出来事に胸が大きく跳ねた。
そして唇が離れる。
私の目の前には寝ていてはずの高希君の姿。
ドキッ
再び胸が大きく跳ねる。
「憐花さん、どうかしました?物足りないですか?」
「ち、違…っ!」
すると再び唇が塞がれた。
ちょっと若干長めのキスに深めのキスをされる。
唇が離れる。
かああああ~!
私は体全身が熱くなったのが分かった。
「顔赤いですよ。憐花さん」
至近距離で言われる。
「お、お酒のせいです!ていうか突然過ぎるから!」
私は押しのけ、お酒を飲み干すと、すぐにお酒の注文をした。
3人はクスクス笑う。
「憐花ちゃん、コイツ、案外こう見えて、人の目気にせずに大胆にやる時やるから年下だからって甘くみない方が良いよ」
「えっ?」
「学生の頃からモテてたみたいだから。彼女も大変だったみたいだけど?彼女だけだって、一途だって思わせる為に、かなり奮闘して大変苦労の欠かせない日々だったみたいだけど?」
「そ、そうなんだ…」
「だから憐花さんが思う年下のイメージは俺には全く当てはまらないと思いますよ」
「自分で言うかな?」と、私。
「だって早目に言っておかなきゃ憐花さん、年下である俺をある意味毛嫌いしてるじゃないですか」
「だって…!」
「ちなみに俺…年上の女性が好みなんで」
ニコッと笑顔を見せる高希君の姿に私の胸の奥がトクンと小さく跳ねる。
《ヤバイ…》
私は目を反らす。
「あれ?どうしたんですか?」
顔をのぞき込む高希君の行動に私の胸がおかしくなりそうだ。
「な、何でもない!」
クスクス笑う高希君。
ポンと私の頭を押さえる高希君。
ドキッ
胸が大きく跳ねる。
「憐花さんって照れ屋さんなんですね。可愛いですよ」
かああああ〜!
ストレート過ぎる対応に私の胸がおかしくなりそうだ。
「もう!さっきから高希君反則!」
「えっ?俺は別に何もしてないですよ!」
無意識なのか…?
実は計算なのか…?
分からな過ぎて対応が難しい…
振り回されそうだ。
私達は飲み直すのだった。
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