応援コメント

第24話」への応援コメント

  •  第5章を読ませていただきました。
     話のおおまかな流れとしては、「ドラゴンが海上に現れるんだけどイージス艦では歯が立たない」、「イージス艦に戻った海斗くんたちが遠山さんを懲らしめる」というこの2つが主軸になるのかな、と思います。話としてやりたいことは分かる気がしますし、単にワープして遠山さんを懲らしめて終わらせるのではなく、展開に起伏がついているのは面白いです。

     ツッコミどころについては、岩井さんが以前、本作の執筆に行き詰っているという話をなさっていたことを考えれば、そこは大目に見るべきかもしれませんね。
     今後の創作活動の役に立つかもしれないので、一応、ダメ出しさせていただきますが、全体に関することで言うと、作中の出来事や展開、キャラクターの判断や言動などについて、理由や必然性をもう少し明確に打ち出してほしい感じがしました。
     話がごちゃごちゃしてしまいましたが、論点ごとに番号を振ったのでお付き合いくださると幸いです。

     1点目。
     第4章までの内容では、遠山さんや相模さんは海底のダンジョンにどんな存在が秘められているか、具体的には知らなかったんじゃないかと思いますが、その割に、出てくるのがドラゴンであることをまるで事前に知っていたかのような反応をするのが気になりました。
     結果的にドラゴンは肺呼吸するタイプだったようなので浮上するのが自然な流れっぽいですが、深海の怪物ですし、巨大な魚やイカ、クラゲなどであれば水上に浮上する必要はないでしょうから、出てきたところを叩くだけでなく対水中戦闘も用意しなければならないだろうと思います。そうなると、どのタイミングで何が出てくるか分からない状況に備えているのがイージス艦1隻なのはどうかと思います。空自はなぜかやる気がないようですが(電波障害を想定しろとは言いませんが「せめて仲間と連携を取りやすい距離にいろよ」とは思います)、海自も海自で、潜水艦くらい用意しておかないと、大波を起こされただけで船が転覆して作戦失敗になりかねません。

     2点目。
    相模さんの判断として「何か動くものが出てきたからまずは攻撃しよう」というのもよく分かりません。遠山さんが「捕縛」という言葉を使ったり、生物兵器に使いたがっていたりすることを考えると、力任せに最大火力で攻撃するのは不合理な行動に思えます。

     3点目。
     海底ダンジョンから脳波に似た波が発せられているという話があったことを考えると、ドラゴンがダンジョンを飛び出した後に臨戦態勢になるのではなく、その前に海底から発せられる波動の変化を感知してイージス艦が臨戦態勢をとる、という描写にしても良かったのではないかと思います。

     4点目。
     そもそもどうしてドラゴンがこのタイミングでダンジョンを飛び出してきたのか、もう少し説明があった方が良いように思いました。「ドラゴンは目覚めていればいつでもダンジョンから抜け出せたんだけど、ダンジョンの中ではこの1万2000年ほどずっと眠らされていて、海斗くんたちが部屋に訪れたから目覚めてしまった」という理解で良いのでしょうか。しかし、それでは「檻」とは呼べませんよね。しかも、ダンジョンの外から感知できるほど強烈な「波」を発しているドラゴンのことを警告せずに、海斗くんたちを不用意に近づけさせてしまったSQが「元凶」である可能性が……(笑)

     5点目。
     第5章というより第4章のツッコミどころとするべきかもしれませんが、海斗くんたちがイージス艦に戻ってくるくだりで、イージス艦がドラゴンに歯が立たず撃沈寸前になっている状況で海斗くんがワープしてきた理由が、よく分かりませんでした。僕としては「第4章終盤で海斗くんが海上に戻るのを見送ったのは、ドラゴンに襲われるタイミングでイージス艦に戻っても何もできずに沈められるままになることを警戒してのことだろうな」と(勝手に)思っていたのですが、そういうわけではなかったんですね。ならば、SQの報告を待つとか言わずに、さっさとイージス艦に戻れば良かったのではないでしょうか。イージス艦に戻っても役に立てるとは限りませんが、ダンジョンに留まれば本当に何もできなかったでしょうし。

     6点目。
     意図したわけでもなさそうなのに、海斗くんと華凛さんがCICの真横にワープするのはさすがに不自然な感じがしました。
     ただ、第4章で使えなくなったっぽい描写があったワープポイントが問題なく復活したのは、情報や記述を整理すれば事情が分かりそうなので別に構いませんし、泰一くんの登場も、場面として映えるのでそれで良いのです。
     それに、これはこの場面の問題というよりも、第18話のSQの発言「恐らくは、お主らが乗っていた母船の甲板にでも飛ばされるじゃろう」が邪魔になっているのでしょうね。ワープ先はSQにも予想がつかないのではなく、SQがワープポイントに働きかければ会場の好きな場所に海斗くんたちを送り届けることができる、という設定にしておけば問題解決だと思います(余計なお節介ついでに言うと、この設定にすれば華凛さんが美希さんを人質にした一件の後、SQがワープポイントを一時的に停止して華凛さんに身の上話を要求するという筋書きにできると思います)。

     最後に、7点目。
     SQがテレパシーの応用で華凛さんの「思い」をドラゴンに送ったという展開が、もしかして作品のテイストをぶち壊しているんじゃないかと心配です。
     釈迦に説法というものですが、本作の場合、ダンジョン攻略を通して海斗くんたちの過去の問題が解決したり、考え方が前向きなものに変化したりするわけじゃないんですよね。少なくとも今のところ、「自身の過去を他者に対して打ち明けることで、自身の過去や他者と正面から向き合っていく」のが本作の根幹だと思います。言い換えると、「過去は変わらないし美化することも乗り越えることもできないけれど、他者に打ち明けることで何か(おそらく癒しに似た何か)を得られる」というのが本作の持ち味のはずです。少なくとも僕はそう読んでいました。
     ところが、ここに来てSQが華凛さん本人の同意なく心を読んだ挙句に、それを勝手に問題解決に使ってしまうとなると、華凛さんが自分の意志でみんなに過去を打ち明ける機会が失われますし、その重みもなくなってしまいます。それに、本人の心情変化や決意に関係なく、過去を思い出すだけで問題が解決されてしまう(この場合はドラゴンが鎮まってしまう)なら、本作でやってきたこと全体が茶番になりかねないんですよね。
     SQがテレパシーで会話できるだけなく他者の「思い」を「想念」として伝えることができるということが、ここに来て明らかになるのもどうかと思います(個人の感想です)。そんなことができるなら最初から使えよ。ダンジョン攻略を始める段階で4人の心を読んで、必要と判断した記憶や気持ちを共有させておいた方が、チームワークは高くなったじゃないですか(最初は海斗くんと泰一くんが少しギスギスしてたわけですし)。4人にとっては命の危機、SQにとってもダンジョン最奥部の怪物を再び相手にして世界を守れるかという瀬戸際だったはずなので、手っ取り早くチームワークを高める手段を使わない手はないでしょう。世界の危機に比べれば「青くさい青春ごっこ」にも見えそうなことのためにプライバシーを尊重してあげるような場面じゃなかったんですよ。
     また、SQが想念を相手に送ることができるなら、ダンジョン内の怪物たちに対しても精神攻撃や威嚇くらいできたんじゃないかという疑念が出てきますし、「そもそもダンジョン攻略を海斗くんたちがやる必要ってあった?」って話にもなってきます。ダンジョンを人間が入れるように整備したり、青少年に武器を与えたり、武器を通して泰一くんたちの身体能力を強化したり、ダンジョン内の案内をしたり、ケガを治したり……という今までの流れだけでも「SQにおんぶにだっこ」なんですから、最終的にラスボスを鎮めるのもSQなら、最初から全部SQがやった方が安全で確実だったように思えます。もしそうなら、海斗くんたちがチームワークを高める必要なんてどこにもなかった、ということになってしまいます。
     長くなりましたが、何が言いたいかというと、華凛さんが過去を思い出すのとドラゴンが攻撃をやめることの間にSQを挟むのは問題が多すぎるということです。ドラゴンは元々心が読めるんですから、SQを介在させるくらいなら、華凛さんの心をドラゴンが読み取ったという話にしてしまった方が良いと思います。

     以上、第5章の全体的なツッコミどころの話をしてきました。
     細かいツッコミどころとしては、明らかな誤字というよりは、言葉や表現の選び方などが多いです。ただ、例によって、細かい話はリクエストがあればということにさせてください。
     すぐに直せる箇所についてだけ申し上げておくと、第19話で華凛さんが口にする「遠藤睦」という名はおそらく「遠山睦」の誤植だと思います。
     また、第21話序盤に「はッ、時速約〇・五キロの速度で、直上へ上昇中!」という台詞がありますが、時速0.5kmではペンギンが地上を歩く速度の半分くらいです。水深8000メートルから16秒で浮上してくることを考えると、「秒速0.5km(=秒速500m)」あるいは「1000ノット(10ノットが秒速5.14mらしいので)」ではないかと思います。僕も詳しくはありませんが、海の上でのことなので、時速・秒速よりも「ノット」を使う方がリアルな気はします。

     長文失礼しました。
     今回も批判ばかり書いて長くなったので、ご確認くださった後は削除していただいて構いません。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます!
    今回もまた、俗っぽい言い方をすれば『舌を巻く』ような論理的なご指摘の数々、頭が上がりません。

    しばらくは、このお話の完成度を上げられるだけ上げて、今後の勉強材料にしていくべきだな、と。
    ただ、これは完全なわがままですが、『もし』『万が一』拙作の良い点などあれば、第五章に限らずご指摘いただくことは可能でしょうか?

    書き込みをいただく場所はどこででも大丈夫です。純粋に、「こりゃあモチベーションの維持が必要だなあ」と思ったまでのことでして。

    お時間・お心に余裕がおありであれば、一カ所でも『良い点』など上げていただけると幸いです<(_ _)>