挿話 青木・張本ナンパに成功!?
今回の話は本編210話と211話の間の話になっています。お気をつけ下さい。
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青木と張本はいつもダンジョンに一緒に行くメンバーに予定が入ったことで、二人でギルドにやって来て簡単なクエストを受けようとしていた。
「クソッ。あいつらダブルデートするから、今日はダンジョンに行けないってなんだよ」
「マジで東校を舐めすぎ。あいつらが遊んでる間にレベルを上げて順位を抜かそうぜ」
「それな!」
青木と張本は5クラスの友人同士でパーティを組んでいるが、その仲間の二人が学外で彼女を作ったことから愚痴を言い合う。
しかし今回来なかった二人からすれば、東校に入学してから一度も青木と張本より順位が下になったことがないので、お前らが頑張れよと言う話でもある。
「だけど二人じゃ行けても5階層までだから、まともなクエストなんてないよなぁ」
青木がギルドのクエストボードを眺めながら呟く。
「おい! あっちのボードを見てみろよ。あれ、第二東校の制服だよな? 女二人でボード見てるってことはチャンスじゃね? 結構可愛いし」
張本は興奮した声でボードを見ている青木に話しかける。
青木がその声で隣のボードを見てみると、第二東の制服を着た女子二人がクエストボードの前にやって来ていた。
張本の声が聞こえたのか二人はこちらに反応している。
そしてその目線は割と好意的だ。
第一東校の制服はこの辺りでは有名だし、他の高校と違い国立で入学しているだけでステータスとなっているのだ。
これは張本の言う通りチャンスか?
今日来なかった二人の彼女は普通の高校に通っていると聞いている。
第二東校は国立ではないが、第二とついているだけあってこの辺りではエリート校だ。
もし彼女にできるなら自慢できることだろう。
そして何より二人とも可愛い。
それに張本は付き合うもしくは遊び相手にできるチャンスか? という意味で言っていたが、この場にいてこちらの数も少ないので野良パーティに誘うことができるかもしれないという意味で言ったと思われているはずだ。
しかも第二東校のあのリボンの色は、たしか自分たちと同じ1年だったはず。
これはたしかにチャンスだな、と青木も考えて彼女たちに向かって声をかけた。
「君たち二人なの? 俺たちも今日は二人で探索をしなきゃいけなくて困ってたんだよ。どうかな? 今日は一緒にパーティを組んでダンジョンダイブしない?」
「ちょ、聡美! 第一東校の子があーしらとパーティ組もうだって!」
「麻里奈、私も近くにいるんだから聞こえてるよ」
やはり好感触だ。
青木は今日来れなくなった二人に感謝した。
そして話はとんとん拍子に進んで行き四人は自己紹介を済ませると、6階層を目指してダンジョン内へと移動する。
1階層から3階層は青木と張本の二人がゴブリンを瞬殺して何の問題もなく進む。
4階層のコボルトでは初めて彼女たち二人の戦いを見たが、淀みなく動いていて簡単に倒していた。
5階層のスケルトンも彼女たちはあっさりと倒し、青木と張本は良い所が見せられずに焦り始める。
「ってかこれ、里香より強くね?」
「今の実力は知らないが、俺たちと潜った時で言うならレベチでこの二人の方が強い」
青木と張本は猪瀬がまだ攻略道に加入していなかった頃に、何度か一緒にダンジョン探索を行っていた。
その当時の猪瀬の強さと比べると、第二東校の麻里奈と聡美は圧倒的に強い様に感じる。
もしかして、自分たちよりも強いのでは?
そういう危機感を抱き始めた青木と張本は、今まで彼女たちに任せていた敵も良い所を見せようと自分たちで倒し始める。
青木たちは知らないことだが、彼女たちは第二東校と言っても1クラス生で、やはりここでも国立の方針を見習って成績が優秀なものほど上のクラスになっている。
だから、第二東と言えども、第一東の5クラス生よりも経験も知識も備えているエリートでもあった。
6階層に上がると、この連携の乱れは顕著になった。
「ちょっと青木君? ブラックウルフとフォレストウルフは動きが早いですから、もう少し連携をとりましょうよ」
「あーしたちの動きでここで戦えることはわかるっしょ!」
「はぁ? 別に倒せているんだから問題ないだろ!」
「第一東校だから大丈夫だと思ったのに、ハズレをひいちゃったかー」
「おい、そりゃどういう意味だよ。俺たちをバカにして――」
ウルフを倒し、その戦闘での連携のまずさを指摘されて青木は頭に血がのぼる。
しかもどうやらハズレだと馬鹿にされているようだ。
なんで第二東の生徒に自分たちがバカにされないといけないのかと彼女たちに文句を言おうとしたその時、口論をして警戒を怠っていた四人は多数のウルフに囲まれていることに気が付いた。
「チッ 結構多いが、何とかなるか」
「だから、それは連携できたらの話でしょ! スピードが上回る相手なんだからしっかりと連携をしないと敵が弱くても抜けられたら――」
麻里奈の声に反応をしたのか、ブラックウルフとフォレストウルフが混合された12匹は一気に四人へと襲いかかる。
同時に襲い掛かられたことで、1匹1匹への対応が上手く出来ず四人はウルフを仕留めることができない。
誰か一人でも攻撃を受けて戦闘が継続できなくなれば、一気に形勢が逆転することだってあり得てしまう状態だ。
麻里奈と聡美の二人は仕方なく青木と張本が対処しきれないウルフを牽制して連携をとることで何とか場を持たせることには成功していた。
そしてそんな均衡は、青木が腕を噛まれたことで一気に崩れ始める。
聡美はこれはまずいと青木に噛みついたブラックウルフへ防御を捨てて攻撃に転じ仕留めることに成功する。
それを見た麻里奈も聡美の動きに釣られて動いたフォレストウルフを一匹倒した。
それでも……、2匹のウルフを倒しても青木は怪我を負って戦力が大幅にダウンしてしまった。
そして2匹を倒すために大きく動いたことで、四人は隙を作ってしまっていた。
ダンジョンを自力で出られるだけの傷で済めばいいなと聡美が考えたその瞬間、他のパーティが目に入り聡美は助けを求め声を上げる。
「ああ、良かった! 援護をお願いします!」
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麻里奈……第二東校1年1クラス 自分をあーしと呼ぶ
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