第135話 決めポーズ
今宵がロックゴーレムの攻略法を発見してから、その文字を確認するために何度かゴーレムの周りをまわって探すと、毎回同じ所にはないことがわかった。
しかもすぐにはわからない箇所に
「いや、こんな見にくい場所で、しかも小さいのに奈落みたいな技で良くeの文字だけ消せたな?」
俺はNinpo奈落が落とし穴を作った挙句、雷を纏った連撃スラッシュで小さな文字を消せることに驚いて今宵に問いかけた。
奈落ってどちらかといえば大技で、相手を落とし穴に落として動けなくして、連撃のスラッシュを放ち、雷を纏っているために更に麻痺(今回が岩なので麻痺はせず)を加えるような必殺技だ。
「そこは技術だよお兄ちゃん。意識を集中して
……
「それはスキルの攻撃範囲を限定できるってこと?」
「え?」
「え?」
俺の言葉に今宵はいまさら何を言っているんだって顔でこちらに聞き返すが、俺も今宵こそ何を言っているんだと言う顔で聞き返す。
「意識を集中させてスキルを放てば、魔法と同じで威力や効果範囲は限定できるのなんて魔法でできると分かった時点でスキルでも試すよね?」
今宵はキョトンとした顔をして、何を当たり前のことをという感じだ。
これだよ。
天性の才能があるとこうやって知らないうちに凡人と差をつけて行くんだ!
その技術もこっそり後で練習しよう。
「さすが今宵ちゃんですわ! でも二人でロックゴーレムの周りをまわって攻撃を避けながら文字を探している姿は、シュールで普通はやらない行動なので面白かったですわ!!」
それって滑稽だったってことかな?
まあ、ロックゴーレムの攻撃を
ロックゴーレムは簡単に倒せるようにはなったが、念のために何度か全員で普通に戦って倒す訓練はしておく。
少しずつ削った後に倒して先に確認をしておいた刻まれた文字の場所を見ると、そこに合ったはずの文字はなかった。
倒すと文字自体が消えるようだ。
「倒した後に刻まれた文字が消えるのなら、今までバレていなかったのもわかるな」
「これって動画で配信すればバズるんじゃない?」
今宵が良いネタを見つけたという感じで話す。
話題性は十分だが、これロックゴーレムの攻撃を躱して刻まれた文字の1文字だけを消すことが出来る人自体が凄く限られそう。
俺たちが文字を探せるのを見て自信満々に東三条さんが『私様もやってみますわ!』と言ってやろうとしたけど、結局出来なかったしね。
ゴーレムの攻撃は一度でも当たると大ダメージとわかる威力で、しかも遅いということもない。
それを避けながら探すと言うのは、威力の高い攻撃を紙一重でかわすことになって、精神疲労が凄いらしかった。
東三条さんは試した後に汗だくで戻ってくると、『これを探せる二人はおかしいですわ』と言っていた。
「それより今宵ちゃんがロックゴーレムが出現した時に印を結びながら周りをまわって、その間に探して一瞬で倒す方がカッコ良いよ!」
「えぇ~? そっかな~? 次で試してみるね!」
さっちゃんの言葉に乗せられた今宵は、ゴーレムの倒し方でいかに魅せることができるかを考え始める。
その後は九字を切りながら弱点を探して倒す魅せ方で、今宵がロックゴーレムを倒してキィちゃんとさっちゃんがガーゴイルを倒すという三人一組のスリーマンセルでの戦い方が確立されてからは、楽しいらしく敵が出るたびに率先して戦っていた。
「私様たちも負けていられませんわ!」
今宵たちを見た東三条さんが俺と東三条さん、そしてマコトでスリーマンセルを組んで今宵たちと似たような事をしてみるが、キィちゃんから「待った」が掛かる。
「矜一お兄さんたちのそれは普通に3人で倒しているだけですよね? 私たちみたいにスリーマンセル! って感じじゃないです」
むむ?
でもそれって今宵が最初に九字を切って印を結んでいるからカッコよく3人一組って感じなだけで、キィちゃんとさっちゃんは普通にガーゴイルを倒してるだけなような?
「最初にポ、ポーズでもとってから攻撃でもしてみますか?」
それを聞いたマコトが提案する。
ポーズってギニュー特〇隊みたいな?
「それならロケッ〇団のポーズをしますわ!」
東三条さんってペカチュウ好きだよね。
でもあの3人の決めポーズって毎回同じだったっけ?
まあ何となくできるけど……。
俺たちはしばらく進み、ロックゴーレム一体とガーゴイルが二体を発見すると、先ほど決めた口上を述べることにする。
「なんだかんだと聞かれたら(東三条)」
「答えてあげるが世の情け(矜一)」
「闇を払い(東三条)」
「この世界に新たなる夜明けを!(矜一)」
「にゃ、にゃーんてな!(マコト)」
とぅ!
俺たちはポーズを決めながらそう言うと、魔獣に近寄り俺がシュバババッと手で印を結ぶ。
仕方ないよね、カッコいい忍者がやる印はみんな練習するから出来ちゃうよね。
「敵を
俺は剣で攻撃をする振りをしながら風魔法を唱えてゴーレムに刻まれた文字を消すと、それと同時に東三条さんとマコトもガーゴイルを倒す。
そして倒した後にまた3人で決めポーズをとった。
「おお~! すごーい! 初期のロ〇ット団だ~! でも途中からヤッター〇ンも入ってたね! かっこい~!」
今宵からは大絶賛だが……これ死ぬほど恥ずかしい!
俺はそう思いマコトの方を見ると、決めポーズをした時は堂々としていたのに、今はモジモジしていた。
うんうん、恥ずかしいよね。
そして次に東三条さんを見ると、胸を張ってやり切ってやりましたわ! という表情をしていた。
うん、東三条さんはこういうの気にしないのかもしれないな。
その後俺たちは18階層の魔法陣を見つけるまで、6人で決めポーズを考えたりしながら17階層を突き進んだのだった。
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作中のセリフは短くありふれた表現であると……考えますが、念のために作品名(一部伏せ)を使いその作中のセリフであることがわかるようにしています。
問題があれば変更します。
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