第125話 家族mission

 キイちゃんとさっちゃんが親に連絡をとった所、どちらの家も夫婦揃って話が聞きたいとの事で、確実に話し合いができる養護施設の方へ先に父さんは話をしに行くことになったようだ。


 そこから順に二人の両親が揃った家から回るようで、夕食は先にとっておいて構わないということと、壁を超えたことで覚えられるスキルや魔法を簡単にだが共有し合った結果、先に決めて取得しておいてよいという話になった。



 キィちゃん達と別れた俺たちは家に戻ってリビングに集まる。


 「全員契約魔法はリストに出ていたようだけど、それ以外で重要そうなのってあった?」


 俺は契約魔法以外で重要そうな魔法やスキルが出ていないか母さんと今宵に聞いてみる。


 「ちなみに俺は、錬金術、氷結魔法、雷魔法、それと技を見てNinpoでなくても訓練すれば使えるかもと思ったせいか分らないけど、今宵の影残も取得可能だった」


 「えー! 今宵が名付けた技をそんなあっさり取得できるようになるなんて!」


 「でも理論的には普通に取得できそうだから、母さんたちも練習するんじゃないか?」


 「そうね。でも空間魔法のレベルが上がれば短距離テレポートを覚えるし、空間魔法をもっていると思われないための偽装で技を覚えられたら良いくらいになるのかしら」


 「お母さんも酷い! テレポートの劣化版みたいに言うなんて!」


 今宵はむーっと言って頬を膨らませる。

 忍者っぽくてカッコいいけど、たしかに俺たちは空間魔法を覚えているから使い道は限られるのか? 

 でも魔力コスパはかなり良さそうだった。


 「魔力をほぼ使わないから、影残は使えると思うよ」


 「でしょー! さっすがお兄ちゃんわかってるね!」


 俺の一言で簡単に機嫌を直した今宵はニコニコし始めた。

 チョロい。



 「私の壁以外では覚えにくそうなものと言うと……、ダメージ減って言うのがあるわね。取得しようとすると、どうも物理攻撃でも魔法攻撃でもなんでも20%も下げるっていう説明が頭に浮かぶのだけれど……、受けた後のダメージを先に判定して下げるとも思えないし、攻撃力を20%下げる感じなのかしら?」


 ダメージ20%減って凄くない? 

 ただ、母さんが言うように個人の防御力やステータスによって受けるダメージは違うだろうから、20%減と言われてもよくわからないのも確かだ。

 数値化されているわけでもないし、体調や気分でも人の能力は変わるものだしね。


 いや、でもダンジョンができてゲーム的なステータスが既にある以上、実は数値化されていたりするのか? 

 気分や体調にしても最大値と最小値があればその間で数値が動いているだけかもしれない。


 「契約魔法は俺か父さんがとるべきだと思うから、母さんはそのダメージ減をとったらどう? ステータスが分かるようになったようにステータスやダメージだって実は数値化されている可能性はあるよ」


 「そうね。ならそれにするわ」


 「今宵は?」


 「んーっとね、細工……」


 「いやそれは前も言ったけど、必要ないよね?」


 「えー。じゃあ他はー、鑑定でしょー? それと付与とカリスマMeTuber、後は魔法は前も出てた雷魔法かなー。というか今回はもう取るものを決めてるんだよね! 付与! ゲットー!」


 !?!? え? 付与をとっちゃったの? 

 鑑定なんて言うラノベお約束の絶対に取るべきスキルが出ていたのに? 

 後、1回出演しただけでカリスマMeTuberもでちゃったの? 

 しかもそれって職業じゃないの!? 

 スキルで出てたのか? 

 聞きたい事は山ほどあったが、既に付与をとってしまっていて今聞く意味はあまりないだろう。


 「いや、どう考えても取得するなら鑑定だったんじゃないか?」


 俺がそう言うと、今宵はチチチッと人差し指を動かす。

 ちなみにチチチッは小さく声を出していた。


 「わかってないなぁお兄ちゃんは! 実はこの度、今宵は自力でクラフトというスキルを取得しました! 指輪に付与をつければ、椿ちゃんとお兄ちゃんが持っているような指輪を作ることも可能になったのです!」


 ばーん! とカミングアウトしちゃったぜ! みたいな感じを出しているけども。

 前は細工を覚えようとしてたりしたし、小学生の時に椿に俺とお揃いだって自慢されていたのがそんなに悔しかったのか? 


 でもその指輪、今では椿からいらない物扱いされてるからな? 

 今宵が指輪にどんな付与を付けて誰にあげるのかはわからないが、もし俺にくれたとしても数年後にあげるんじゃなかったキモッとか言われたら俺はきっと泣く……。


 ただまあ取っちゃったものは仕方ないか。

 それに鑑定という定番スキルがあったからそれにつられたけど、今宵の指輪を作ると言う発言で重要なことを思い出す。 

 付与は矜侍さんにもらった箱庭を無限に使えるようにするために必要な条件の一つだった。

 ファインプレーじゃないか今宵!


 「じゃあ契約魔法は俺がとるよ」


 俺はそう言って契約魔法を取得した。

 現状でできるのは口止め程度のようだが、秘密を話したり書いて知らせたりそういう行動自体ができなくなるようなのでとりあえずは十分に思える。


 「あ、お兄ちゃん。付与でたぶん契約魔法のスクロールを作れると思うから、これに契約魔法を使ってみてくれる?」


 今宵はそう言うと、既に付与をかけているのか今宵の魔力を感じるルーズリーフ・・・・・・を俺に渡す。


 えぇ……? 

 矜侍さんにもらったやつはこうなんて言うか巻物っぽく巻かれていてこれぞスクロールって感じだったのに、ルーズリーフって。

 ほんとにこんなのでスクロールみたいに使えるようになるのか?


 俺は半信半疑ながらルーズリーフに契約魔法をかけてみる。


 「いや、できたわ」


 「でしょー。じゃあ念のために家族が持っておく分……一人10枚くらいかな? はいコレ。作成お願い」


 俺は今宵が付与をかけたルーズリーフを受け取ると、決済ハンコを押すかのように一枚一枚契約魔法をかけていった。

 今宵はその作業が終わると、今度はアイテムボックスから自分の東校の制服を取り出す。


 「お母さん。ダメージ減を制服に掛けていってー」


 お、おお……。付与。

 めちゃくちゃ有能じゃーん。


 「今宵。家族全員分の装備にそれを付けていこう」


 「ほらね。今宵が付与をとって良かったでしょー!」


 俺はそれに何も言い返すことができずに、今宵に自分の装備やクマさんフード付き外套を手渡すのだった。


 俺たちはその後にダメージ減のスキルを装備に掛けることに熱中し夕食をとるのも忘れて、父さんが帰ってきたことで一緒に遅い夕食をとることになるのだった。


 ちなみに父さんも契約魔法を使えるのは二人いた方が良いということで契約魔法を選び、俺たち家族の契約魔法を覚えようという今日の家族ミッション任務は大成功で終えたのだった。






 ――――――――――――――――――――――――――――――

 本文外、4人の125話終了時点のステータスです。


 <名前>:蒼月 矜一

 <job> :魔法剣士

 <ステータス>

 LV  : 21

 力  :B

 魔力 :B

 耐久 :B

 敏捷 :B

 知力 :C

 運  :D

 魔法 :生活魔法6、基本属性魔法(火2・水2・風2・土2・光2・闇2・無2)、回復魔法2、空間魔法3、契約魔法1(NEW)

 スキル:剣術4、体術3、槍術1、杖術1、危険察知3、気配察知3、気配遮断1、空間把握2、魔力制御3、ステータス偽装2、孤独耐性1、暗視1、身体強化2、思考加速1、疲労耐性1


 <名前>:蒼月 今宵

 <job> :NINJAニンジャ

 <ステータス>

 LV  : 21

 力  :C

 魔力 :C

 耐久 :B

 敏捷 :B

 知力 :B

 運  :B

 魔法 :空間魔法2 生活魔法3、付与1(NEW)

 スキル:武術全般3、Ninpoニンポー2、魔力感知3、 ステータス偽装1、魔力制御3、思考加速1、暗視1(NEW)、クラフト1(NEW)


 <名前>:蒼月 恭也

 <job> :剣士

 <ステータス>

 LV  : 21

 力  :B

 魔力 :C

 耐久 :C

 敏捷 :C

 知力 :C

 運  :C

 魔法 :生活魔法7、空間魔法2、基本属性魔法(火・水・風・土・光・闇・無)、契約魔法1(NEW)

 スキル:ステータス偽装1、気配察知1、剣術3、身体強化1



 <名前>:蒼月 咲江

 <job> :マジシャン

 <ステータス

 LV  : 21

 力  :D

 魔力 :B

 耐久 :C

 敏捷 :C

 知力 :B

 運  :C

 魔法 :生活魔法8、空間魔法2、基本属性魔法(火2・水2・風3・土2・光2・闇2・無2)

 スキル: ステータス偽装2、魔力制御3、身体強化1、魔力感知2、気配察知1(NEW)、ダメージ減1(NEW)


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