第106話 校内ランキング

 6月4日月曜日。

 俺が登校して教室に入ると既に中にいたクラスメイトたちになにやら噂されている。


 「あ、来たよ。どうする? 私たちも部活にいれてもらう?」


 「でももう別の部活に入っちゃってるから退部しないといけなくなるよ……」


 「でもあそこに入れば私たちも強くなれるかも」


 ふむふむ。

 ダンジョン攻略道も入りたい人が増えてきたのかな?


 「あ、あおっち~! 学年ランキングが確定したみたいで話題になってるよ!」


 ついに来てしまったか……。

 実は対人戦のランキングはたった数戦でランキングが大きく変わることや、連戦することが精神疲労から困難なこともあり、始まって二週間は暫定ランキングだった。 

 それが今日正式なランキングとして学校から発表されたようだ。

 俺は端末を動かして学年ランキングを表示した。

 

    1年校内ランキング


1位 1-5 蒼月 矜一 44戦44勝0敗 183P

2位 1-1 東三条 天音 6戦5勝1敗 100P

3位 1-1 皆川 春斗  8戦8勝0敗 80P

4位 1-1 佐々木 亮  5戦4勝1敗 65P

8位 1-1 鏡 真一   3戦2勝1敗 40P

30位 1-5 七海 由愛  5戦5勝0敗 25P

30位 1-5 葉月 陽菜  5戦5勝0敗 25P


 ……。

 というかみんな対戦数少なっ。

 七海さんと葉月さんまで載っちゃってるんだが!?


 まあ確かに、上位クラスは持ちポイントが高いから対戦数が少なくなるのはわかるが、鏡君で2週間で3戦なの? 

 しかも『列強』とか言ってたのに負けているんだが? 

 いや、東三条さんが相手の可能性があるのか?


 ポイント計算をすれば3位の人は1-3クラスを相手に全勝して4位の人も1クラスの人と戦っているのは1回だけって計算になるのかな? 

 1クラスを3人で4クラス1人の可能性もなくはないけどね。


 「あ、ななみんとはづきちおはよー」


 俺がランキングを見ていると七海さんたちが登校してきたようだ。


 「おはよーって蒼月君どうしよう!? 8時過ぎてから端末に対戦申し込みが殺到してるのー」


 「私も! そのせいで少し来るのが遅くなっちゃった!」

 

 七海さんと葉月さんは猪瀬さんへの挨拶もそこそこに端末が鳴って困るという話を俺にしてくる。

 でもそれ俺にされても……。

 あ、掲示板の告知が朝の8時からだからか。


 「朝の8時に対人戦のランキングが発表されたみたいで、七海さんと葉月さんは30位にランクインしてたよ」


 「「えぇ!?」」


 「二人ともすごいし」


 「いやー、これは困るなー」 「うんうん!」


 「ランカーは倒すとポイント30Pで申し込んだ時のランキングで計算されるから……」


 俺が説明をしてみるが七海さんと葉月さんはどうしようと困惑していて、猪瀬さんはすごいしと言ってはやし立てていた。



 「おーし、お前ら―。ホームルームを始めるぞー」


 俺の席の周りでワチャワチャしていると冴木先生がやって来た。

 どうやらホームルームの時間になっていたようだ。

 七海さんと葉月さんそして猪瀬さんは急いで自分の席に戻り座った。


 「あー、もう見た奴もいるかもしれないが、対人戦のランキングが発表された。5クラスには関係がないことだと思っていたんだが、どうも3人ほどランキングに載ったのがいるみたいでな」


 3人ほどウチのクラスからランカーが出たと冴木先生が話したところでクラスがザワつく。


 「あー、静かに。それで今年は1学年の1位がちょっとおかしな対戦数でポイントも高い。しかも5組ということから前代未聞だということになって、職員会議が開かれた。そこでは普通は同格と戦うから対戦数も少ないのに、今回のようなことがあっては困るという話になった。通常はこの正式ポイントの上位者が全学年の総合ランキング30位に載るんだが……今年から学年内でもランキング同士で戦ってそのポイントで総合ランクが決まる仕組みに変わった。だから今回はまだ総合ランクにランキングされているやつはいない。まー、関係あるのはウチだと3人だけどなー」


 なるほど。俺のせいで仕組みそのものを変えてきたってことかな? 

 たしか学年ランキング同士の戦いで勝てば30Pだったはずだから、まずランカー同士で戦って勝った方が30Pで総合ランク入りするってことか。


 総合ランクが30位まで決まった場合は学年のランカーを複数倒して総合入りをしなければいけないというように、1-5クラスの俺や七海さんはランカーと対戦すれば負けて総合ランキング入りはしないだろうという考えで作られた仕組みだろう。


 しかも総合ランク入り同士で戦えば勝てば50ポイントということもあってどんどん差が開くために下位クラスを倒してポイントを貯めて学年ランキングに載ったと思われる俺や七海さんは排除できるというわけだ。


 「しかし桃井先生が急に1-5の肩をもって発言しやがってなー、その仕組みはおかしいって。1-5クラスに不利だってな。まあ、教頭に首にするぞと言われて即撤回していたが……可哀そうだから庇ってみたら、蒼月君の言う通りとか言って会議が終わった後に飲みに行こう飲みに行こうってずっと誘ってきてウザ…いやうっとお…いやマジで蒼月、お前なにを桃井先生にいったんだ?」


 冴木先生の話が途中から愚痴になってそして俺へ話しかけてくる。

 いや俺はなにも言ってないはずだけど……。

 いやあれか?


 「えーっと……、桃井先生を部活の顧問に売ったのは冴木先生だからきっと評価のことや何かあった時に、顧問になっておけば冴木先生が助けてくれますよー……みたいなことは言ったかもしれません」


 「おま……。ハァ。まあ策を授けたのは俺だし……一回くらい飲みに行くだけなら良いか。ハァ。あんまり変なことを桃井先生に吹き込むなよ。あの人なんか変なところでぐいぐい来るんだよな」


 「はい!」


 俺は超いい笑顔でハキハキと返事をする。

 そしてそれに合わせてクラス内で笑いが起こり、結構俺もクラスで認められてきたのかな? と思うのだった。







 ―――――――――――――――――――

 ・他の回もそうですが、表やステータスのような時に見る機種によっては画面の大きさによってズレがあるかもしれないです。

 何か綺麗に書くやり方があれば、誰か教えてもらえると嬉しいです。

 PCで書いた時は揃っているんですよね。

 スマホで確認してみるとズレていたりします。


 ・今回の話は説明を書いている作者ですらなんか難しいポイントの話ですが(メモにポイント計算したりしながら書きました)難しく考えずに適当に読んでください。

 一応突っ込まれないように書いてはいますが……書いても読んでもなんか難しい……。

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