第105話 日曜日は訓練だ!

 次の日の日曜日。

 俺たちは先週の日曜日と同じメンバーでダンジョン前に集結した。


 「矜おにいさん! 私たち偽装ステータスを覚えました!」


 ダンジョン前につくと、さっちゃんとキィちゃんがこちらにやって来てステータス偽装を覚えたという。


 「これで私たちも一緒していいですよね」


 「え、うーん……。危ない事をしないなら」


 「「やったー!」」


 二人はそう言うと今宵の所へ戻っていく。


 「矜一さん。今日は一緒できますか?」


 きぃちゃんとさっちゃんが戻っていくのを見届けているとマコトが話しかけてくる。


 「あー、マコト達は12階層の魔法陣まで行っていないから13階層にいけるようにするために前回と同じメンバーでするって父さんがいってたよ。そっちは12階層の魔法陣までマラソンじゃないかな」


 「そ、そうですか……」


 「えー! お兄さんのお父さんたちスパルタだから嫌なんだよなぁ」


 「いや話を聞く限りかなり配慮してると思うよ? 桃香たちはもう少し頑張らないと。キィちゃんとさっちゃんは壁を超えてステータス偽装をとったらしいよ」


 「うげぇ。」


 「次にもしステータス偽装が出たら取っておくように」


 「ちぇー。わかったー」 「「はい」」


 「お前らちゃんと家で魔力操作の練習をしているのか? 生活魔法もできるだけ使ってレベルを上げて属性魔法を覚えられるようにしないとダメだぞ」


 「わかってるって。なんだよ。父親だけじゃなくてお兄さんも小言かよ」


 「ちょっと桃香。矜一さんは私たちのことを思ってアドバイスしてくれてるってわかってるでしょ」


 「はいはい、マコトは忠犬だねぇ」


 「もうっ」


 「聡も生活魔法を覚えるために魔力操作の訓練はしっかりするように」


 「はい!」


 俺がマコト達にアドバイスをしていると七海さんと葉月さんがやってきた。


 「あー。私たちが一番遅かったかー。お待たせー」


 「遅れてごめんね!」


 時間を見るとまだ5時55分。待ち合わせは6時だったから5分前行動で遅れてはいない。


 「ううん、まだ6時前だし遅れてないよ」


 「よーし、みんな集まったな。じゃあ先週と同じチーム分けで行動するぞ。俺たちのチームは今日は12階層の魔法陣への到達が目標だ。さっちゃんからスタミナポーションも一人2つずつ分けてもらってるから疲れたら飲むように」


 そういうと父さんはマコト達にスタミナポーションを渡していく。



 「俺たちはどうしようか? トラップ部屋で集団戦でもするか?」


 俺は今宵に向かって今日はどうするか聞く。


 「先には進まないの?」


 13階層以降なぁ。

 進みたい気持ちはもちろんあるんだが、昨日のイオリさんの反応をみて帰って調べたら12階層の時点で学生が行くのは結構な高階層のようだった。


 まあこれは国立が付いていない探索者高校の第二~第五の学生を含めての話みたいだから国立第一の俺たちからすれば普通なのかもしれないが……。

 ただ九条たちはまだミノタウロスも倒していないはずで、それから考えれば少し急ぎすぎな気もする。


 リザードマンに苦戦していたようにまだまだこの辺りの階層でやれる事はたくさんあるから地に足を付けて強くなっていきたい所でもある。


 「先週に父さんたちがやろうとしてた金銀トラップ部屋での集団戦の練習でもするか?」


 「えー? 50匹ぐらいいるでしょー? さすがに囲まれたら危なすぎないー?」


 「でもハーピーは10匹相手でもなんとかなったからいけるかも!」


 七海さんは少し引き気味で葉月さんはやる気ありって所かな。


 「スタンピードが起きたりしたら俺たちが前線で戦う事もあるだろうし、特にゴブリンで練習はしたけど倒した後の死体がある状態での戦い方とか足さばきは強い相手でも練習しておいた方が良い気がする」


 「そう言われるとそうかなー」


 「じゃあ今日は11階層でレベ上げだね!」


 俺たちが今日の予定を話し合っていると父さんたちは先に話し合いを終え先に行くようだ。


 「じゃあ矜一こっちは先に行くな。お前も無理はするなよ」


 「うん。父さんも気をつけて。ハーピーは空から10匹くらいで来るからね。近くに来るまでは魔法か投擲……そうだ、これ持って行っておくと良いかも」


 俺はそう言うと投石用の石を父さんに大量に渡す。

 父さんはそれを受け取ってアイテムボックスにしまった。


 「おう、助かる。じゃあ行ってくる」


 


 俺たちはもう少しゆっくりしながら話をしていると、九条たち5人パーティがやって来た。


 「矜一。これから七海さんたちとダンジョンなの? あれ? 今宵ちゃんも? それにその制服……」


 「ああ、椿おはよう。今宵がコスプレしたいってうるさくてね」


 「そ、そうなの」


 「七海さんと葉月さんほんとに蒼月君と部活してるんだ。僕たちは今日は9階層まで行く予定だから一緒に来ないかい?」


 「そうそう! 二人とも4組相手に全勝でしょう? あたしに色々教えてほしいな」


 九条が俺たちに部活動をしているの? と聞いたくせに七海さんと葉月さんを連れて行こうとしてるんですが? 

 一ノ瀬さんも同意してるし……。


 「あ、あはは。ごめんねー。私たちパーティ組んでるから抜けるのはちょっとー」


 「レン! さすがにそれはダメだろう。七海さんと葉月さんの二人が矜一のパーティから離れたら戦力が大幅に下がる事になる。そう言うのは良くないと思う」


 九条の強引な勧誘を椿がダメだと言ってくれて非難してくれる。


 「そ、そうだな。いや二人ともごめんね」


 「あはは。あたしも教えてもらいたくてつい誘っちゃったごめんね~」


 「ううん大丈夫だよー」


 「レンも一ノ瀬ももう行くぞ!」


 堂島君が九条と一ノ瀬さんを促してダンジョンに行こうとする。


 「矜一、この間の授業でレンと一戦交えてたでしょ? あれで口では互角だって言いながら有効打を一切いれられなかったから、後でレンはプルプルしてたのよ。だから怒らないでいてあげて」


 「ああ。大丈夫怒ってないよ。椿もダンジョン気を付けて」


 「ええ。じゃあ」


 なんだ、九条君はあの時の授業で結構悔しがってたのか。

 椿はそう俺に話すとダンジョンに入っていった。


 「いや、俺たちもすぐ行くと中で鉢合わせで気まずいんだが!?」

 

 俺はすぐにダンジョンに入ると、一緒に移動する事になる事に気がついて声をあげた。


 「お兄ちゃん20分くらい待ってからいこっかー。どの道一階層を一緒しても2階層で今宵たちがいなくなるから不審に思われちゃうよ」


 「それもそうか」


 まあ20分程度なら今なら魔力操作の練習をしたりして時間は有効に使う事ができる。俺はそう思い訓練を開始したが……。今宵たちは買い物に行って何を買っただとかの話で盛り上がっていた。


 

 その後は俺たちは11階層のトラップ部屋で集団戦を午前中までやって、午後は12階層でガラドクヘビがいる所で気配を感じる練習をしたりと訓練をして1日を終えたのだった。


 ちなみにダンジョンに入る前に俺だけ訓練をした事の腹いせに11階層のトラップ部屋ではキイちゃんとさっちゃん、七海さんと葉月さんにはかなりギリギリの戦いになるように調整しながら敵の誘導をしておいた。


 え? 今宵にはしないのかって? シュピンシュピンして意味がないからね。しかも今宵はちょいちょいキィちゃんとさっちゃんに俺がしている嫌がらせ……スパルタを楽にして調整をしていた。


 だからどうやれば厳しいスパルタになるかって考えながらする俺と、それを邪魔する今宵とで頭脳戦が勃発して結果的に全員の訓練がうまく行われたのだった。







―――――――――――――――――――――――――――

本文外、キィちゃんとさっちゃんの105話終了時点のステータスです。



<名前>:綾瀬 季依

<job> :剣士

<ステータス>

 LV  : 16

 力  :C

 魔力 :D

 耐久 :D

 敏捷 :D

 知力 :D

 運  :D

 魔法 :生活魔法3(UP)

 スキル:身体強化1、ステータス偽装1(NEW)、剛力1(NEW)


<名前>:琴坂 佐知

<job> :聖水士

<ステータス>

 LV  : 16

 力  :D

 魔力 :C

 耐久 :D

 敏捷 :D

 知力 :D

 運  :E

 魔法 :生活魔法3(UP)

 スキル:身体強化1、ステータス偽装1(NEW)、魔力制御1(NEW)

 

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