第27話 ゴールデンウィーク②
学校に到着した。制服が購入できるのは武器がレンタルできる場所と同じらしい。
装備品扱いだからだろうか。
「すみません。制服のサイズが合わなくなったので購入したいのですが」
「はい。希望サイズは……、あら、ふふっサイズが全然あってないじゃない」
ブカブカな俺の上着を見て担当してくれた人が笑う。
そこは我慢してほしかった!
ここに来るまでに普段着も購入したが、サイズはMだった。
「173センチ85キロから173センチ65キロになったんですよ」
「今のサイズがLLよね? と言うか173センチ85キロならLサイズでもギリギリ行けたのにLLを買っちゃったのね。Lサイズなら今の体重でも少し大きいくらいで問題なかったのにねぇ。今日買うのはMにする? Lにする?」
そう言われると迷う。
今の状態から太るもしくは筋肉がもっと付けば、サイズをあげた方が良い気もするし、Lなら現状とその後も対応可能だ。
ただ、ここに来る前に見た服屋ではLとMを着比べた時にLは
太る前提であればLなんだろうが、今なら少し太るもしくは筋肉質になったとしてもMで十分に思えた。
「Mでお願いします。Lだと着丈が長く感じるので」
「まあそうね。じゃあMサイズ一着で税込み98000円になります」
98000? 制服上下で? 高すぎない?
「きゅ、98000円? ですか? 服なのに?」
「あら、これでも政府から補助金で通常価格の3分の1なのよ? 防具としての性能で考えれば普通に30万以上はするレベルだしね」
まさかのお値段。
そしてそれでも3分の2が補助されているらしい。
両親が制服について何も言っていなかったのは、高校から支給されていたからか。
買い直す場合のことは聞いているだろうから、一着の値段自体は知っていると思うけどね。
「そ、そうなんですね。はい、これ10万円です」
「お釣りは2000円ね。ところで今着ている服もサイズ調整できるわよ?」
「そうなんですか?それならお願いしたいです。幾らですか?」
「サイズ調整が2万だったかな?」
「おお、ではちょっと今買った制服と着替えてくるのでお待ちください」
「そこの更衣室使ってね」
「はい」
なんと普通にサイズ調整ができたみたいだ。
それなら新しく買う必要はなかった。
制服を着替えて戻り、着ていた制服を渡す。
着丈は通常のLサイズよりも2センチ短くしてもらうようにした。
「これ、お願いします。あと2着ほどあるのですがそれもまた持って来ればお願いできますか?」
「はい。お預かりしますね。勿論できますよ。仕上がりはここへ届けられてから3日ほどあればでき上がると思います」
「わかりました。また残りの2着を持ってきます。それとレンタルの剣をもう一振りお願いしたいのですが」
「剣? じゃあ選んでから持って来てくれたら登録するわよ。まだ6つ以内よね?装備品は合計6つまで貸し出し可能だけど、それ以上はダメなのよ」
防具は借りていないので、今借りている剣は予備を合わせて2本。
一振り借りてもまだ半分か。
俺はもう一振りではなく2本の剣を持って受付に向かう。
「借りているのが2本なのでもう二振りお願いします」
「はい。制服の直しは3日後以降に来てくれたら渡せるからね」
「わかりました」
ゴールデンウィークでも関係なく仕事をしているみたいだ。
お疲れ様です。
剣を二振り借り建物の外に出ると、アイテムボックスにそれをしまう。
思ったよりも時間が掛かってしまった。今からすぐにダンジョンに入ると、昼ごはんを食べない事になるので(10秒チャージで食べないという事はないが)予備の制服をここに持って来てから軽く食事をとってダンジョンに入る事にした。
「最終的に制服が4着にもなる件……。多すぎる気がする。1着はSサイズにしてもらってワッペンを外すとかできるのだろうか。できるなら、今宵に着せる事も可能だ」
予備の制服を持って行って話を聞くと、Sサイズにした上でワッペンも取り外し可能、そしてそれは学校関係者以外が着ても犯罪にはならないという言質を取ったために1着はSサイズでとお願いした。
軽く食事をするためにセルフうどんの店に入り、小腹を満たすとギルドで低級ポーションを1本買う。
ヒールが既に使えるようにはなっているが、魔力がない時や人前で使用を控えたいためだ。
そうしてこの後に、俺はやっとダンジョンへと向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます