第6話 ギャップは正義
運動をして時間を費やした俺は一度家に帰り、簡単な昼食をとった。
食べ終わると2階の自室に一度戻り汗をかいたシャツを脱ぎ制服に着替える。
端末と小6の修学旅行で買った木刀を持って、まずは東校近くの
ギルドの近くに向かうにつれて皮鎧や帯剣している人が目に見えて増えてくる。
探索者協会は地下2階、7階建ての大きな魔物の素材を使用したかなり頑丈な建物だ。
探索者に絡まれるのかなとかなりドキドキしてドアを開ける。
自動ドアをくぐり、中に入るとまずご案内というベースが目に入る。
そのいくらか後ろに銀行の窓口のような場所が10口あり現在全て対応しているようだ。
ラノベあるあるの美人受付嬢の窓口だけ長蛇の列なんてものは流石にこの現代日本ではなく、少し残念に思う。
まあ、普通に考えて異世界だろうと長蛇の列なんて出来てたら「次のお客様こちらにどうぞ」って言われてそそくさと移動するだけだと思うしね。
もう一つ受付で絡まれるって事もなさそうだ。
酒場が併設なんてされてもいないし大きな声でしゃべってるような
とりあえず、ご案内のベースに行き国立探索者高校の生徒である事、探索者登録はそれまでした事がない外部入学で端末は貰ったがダンジョンに入るにはどうすればいいか分からない事を案内の女性に話す。
「ダンジョンに入る場合はそちらの端末をダンジョンゲート前にある改札に端末をかざせば中に入る事ができます。探索者登録はこれまで行われてなかったとの事ですので探索者カードの発行もその端末基準ででき、通常探索者になる場合の説明を受付の方から聞く事も可能ですがどうなさいますか?」
と案内の女性に言われる。
学校ではまだ入学式にしか登校しておらず、ダンジョンや探索者についても何も聞けていない事やもしかするとエスカレーター式の高校であるためにそれらの説明は今後もない可能性を考えて説明してほしいと言う事を案内の女性に話す。
「わかりました。現在は順番待ちが5人ほどいますので、こちらの番号が呼ばれましたら受付の方に行き、今こちらにした話をして下さい。探索者
「はい、わかりました」と俺は答えると案内の女性が端末を押し出てきた紙を受け取り指示された待機場所の椅子に向かった。
程なくして自分の番号と受付窓口番号を呼ばれ向かう。
「本日はどういったご用件でしょうか」
金髪の目つきの鋭いギャル系のおねぇさんが要件を聞いてくる。
「国立第一東校に高校から外部入学して端末を貰ったのですが、ダンジョンに入った事がなく探索者カードなども持っていないので準備やダンジョン、探索者活動について教えてもらいたいです」
「なるほど、国立第一校の生徒さんであればその端末をダンジョンゲート前の改札にかざせばダンジョンへ入場する事が可能となってます。端末で全て代用できますが、別の登録証や個人情報も端末には入っていますので、ダンジョンに入る時は探索者証だけで入る事も可能です。探索者証を発行しておきますか?」
「はい、宜しくお願いします」
「では一度そちらの端末の中の探索者情報を読み込ませていただき探索者証の方に反映いたしますのでこちらに端末をかざして下さい」
俺は受付嬢の指示に従い端末を操作する。
「では、登録証の発行には少し時間がかかりますので、その間に次の質問の回答に移らせていただきます。ダンジョンに入るには探索者登録が必要で、国立第一生徒さんであれば学校に所属した時点で名前や年齢など登録に必要な情報がギルドの方に送られており専用端末の方に登録されます。ただ、既に探索者になっている場合はそれらの情報は統合されてなく、一度こちらに来ていただいて端末とカードのすり合わせが行われます。その後はどちらを使っても常に両方で反映されます。今回は学校特典により、初めての場合でも通常のランクより2ランクUPから始まります。ダンジョンに入る場合は防具や武器を持ち込むかレンタルをして下さい。ここ、東京ダンジョンですと1Fはスライムとビッグマウスが出現します。スライムは核にダメージを与える事で倒せます。各階層の説明などについては此方の小冊子をお読みください。ここまでで何か質問はありますか?」
説明を受けながら小冊子を渡される。
表紙だけチラ見してみるとこちらがした質問の事は網羅してそうな冊子だ。
「いえ、大丈夫です」
「では続きまして、探索者の活動についてですが基本的にあちらの掲示板、もしくは近くのPC端末の検索でクエストが掲示されていますので、ランクや内容を確認の上受付に来ていただいて受けるクエストを教えていただけますと、こちらでランクに合っているかクリアできそうかなどを確認した上で受理されます。PC端末の方ですとクエストが印刷できますのでそれを渡してくれても対応できます。その後クリアされた場合は、買取の素材がある場合はこのギルドの隣の解体、素材買取専用の会館の方へ持って行っていただいて対応してもらって下さい。最後に魔石買取とクエスト達成報告は此方の受付へ報告です。探索者は階級によって一定期間内にクエストを達成する必要があり、されない場合は降格や除名もありえます。ただ、国立第一の生徒さんの場合は学校での課題などがクエスト達成と同等とみなされますので学生の間は此方のクエストはしなくても大丈夫です」
「なるほど、ありがとうございます」
「そろそろ、探索者証が出来ていると思いますので少しお待ちください」
おねぇさんが探索者証を取りに行っている間に、国立第一の生徒ならクエストを受注しなくても良いのは気楽で良いなと思いながら、先ほど貰った冊子をパラパラとめくる。
というか、おねぇさんが教えてくれた内容の殆どがこの冊子に書いてあるっぽい。
渡してそれを読んでね、ハイ終りって対応じゃなかったのはあのギャルねぇさん、もしかして良い人なの?
長々と説明させてすまんな。
戻って来るお姉さんを見ながら心の中で謝っておく。
「こちらが探索者証です。ダンジョン内で大きなトラブル‥‥‥同じ探索者に襲われるなどした場合は、専用端末の方でもできますが、ダンジョン内でこちらの探索者証に助けてほしいと言う意思を持ちながら自分の魔力を流して下さい。そうすれば緊急ヘルプ要請がこちらのギルドに伝わり救出クエストが出されます。その場合はギルド職員が救出に向かいます。向かった時点でクエスト代30万円ほどかかります。犯罪に巻き込まれている場合は、犯罪を犯している方への請求です。魔力を流した時に一帯の簡易情報がこちらに送られますので、犯罪などにはお気をつけ下さい。他に何か質問はありますか?」
探索者証を受け取る。ふむふむ、ダンジョン内は犯罪し放題かと思っていたけれどそうでもないのか。
まあ犯罪する側はまず一番にカードを処分するんだろうが。
「ダンジョンの各階層の魔物の情報などはどこかで調べる事はできますか?」
「それなら、この会館の3F資料室で閲覧可能です」
「わかりました。親切に今日はありがとうございました」
「いえいえ、ダンジョン攻略頑張ってね!」
ぐはぁ、ここにきて満面の笑顔プラス敬語なしでの応援だと‥‥‥?
金髪ギャルの見た目で丁寧に説明し最後に個人として俺への応援。
ギャップもあって凄い萌え度だ。
営業スマイルだと分かっていても恋してしまうじゃないか。
でもおねぇさんに会いたくても、番号札で窓口指定をされるので会えないんだね。
ぐすん。
俺は小さくハイ、と言いながら受付を後にして3Fへ向かった。
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